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【オト・コク】「神無月」の民間語源について

こんばんは、しめじです。

いよいよ10月も下旬に入り、すっかり寒くなってしまいました。
旧暦だと、今はまだ9月、長月です(旧暦10月は、今年は11月15日からです)が、一応今の暦で10月なので、ちょっと10月の話をしようと思います。

以前も一度お話ししましたが、10月は「神無月(かんなづき)」と言います。

この「無」は、「無い」という意味の文字ではなく、連体修飾の「な」に充てられた漢字であるだけで、音しか担っていない、という考え方が主流ですが、「神が無い月」という字の並びから、日本の神話に結び付けた民間語源が存在しています。

飽くまで民間語源ですので、本来の語源ではないのですが、せっかくなので、日本の神話のお話をしようと思います。

「国譲り」

日本の神話が書かれた本としては、「古事記」や「日本書紀」が有名だと思います。
この中に、この民間語源のもととなった「国譲り」の話が収められています。
また、「古事記」「日本書紀」以外にも、「古語拾遺」などの他の書物にも、同様の話が収録されています。

「国譲り」とは、文字通り、国を譲るお話です。

出てくる神様は、(漢字で書くのがめんどくさいのでカタカナで書きます)

アマテラスオオミカミ
マサカツアカツカチハヤヒメアメノオシホミミ(以下、アメノオシホミミ)
タカミムスビ
オモヒカネ
アメノホヒ
オオクニヌシ
タケミカヅチ
ヤエコトシロヌシ
タケミナカタ
他多数出てきますが、かなり端折って書くので、そこにだけ出てくる神様は省きます。
また、「古事記」と「日本書紀」で若干中身が違いますが、手元にあるのが「古事記」の本なので、こっちをベースに書きます。

1 葦原中国(あしはらのなかつくに)を平定したい!!

高天原(たかまがはら。天津神がすむところ)のアマテラスオオミカミは、葦原中国(地。つまりは私たちが住む地上の世界)を、自分の子であるアメノオシホミミに治めさせたい、と思っていました。

そこで、アメノオシホミミに葦原中国に向かわせますが、葦原中国は騒々しい世界。アメノオシホミミは、自分には無理だと諦め、アマテラスオオカミにその旨を報告します。

2 派遣した神が戻ってこない!!

そこで、タカミムスビ(男神で、何かとアマテラスオオミカミのサポートをしている)が、アマテラスオオミカミの名の下で八百万の神を集め、会議を開きます。

猛々しい国つ神(葦原中国に住む神)が住むところに、誰を派遣すべきか相談した結果、思慮の神であるオモヒカネは、アメノホヒを遣わすのが最善であると結論付けます。
ところがこのアメノホヒ、国つ神のリーダーであるオオクニヌシをすっかり気に入ってしまい、いつまで経っても戻ってこない。
そこでアマテラスとタカミムスビは、再び神を集めて会議を開き、また別の神を送ったが、そいつらもなんやかんやで戻ってこない。(省略)

3 タケミカヅチの大活躍!!

というわけで最終的に、アマテラスらはタケミカヅチを葦原中国に送りだします。(ちなみにアメノトリフネという神も同行します)

タケミカヅチは出雲に着き、オオクニヌシにあって葦原中国を譲るよう迫ります。
それに対してオオクニヌシは、自分は返答できないので、子であるコトシロヌシに聞けと言います。そこでコトシロヌシが呼び戻されたところ、コトシロヌシは「恐れ多いので譲りましょう」と即答してどこかへ隠れてしまいました。

他にも何かあるかとタケミカヅチがオオクニヌシに迫ったところ、オオクニヌシは、もう一人、タケミナカタという子がいるということを話します。
そこにちょうど、とんでもなく大きな岩を手に提げてタケミナカタが帰ってきます。力自慢のタケミナカタは、タケミカヅチに力比べを挑みますが、実はタケミカヅチも怪力の持ち主。タケミカヅチに手を掴まれたタケミナカタは、まるで葦のようにへなへなと力が抜け、あっさり降参してしまいます。

二人の子両方から、「国を譲りましょう」という言葉を引き出したタケミカズチは、いよいよオオクニヌシに迫ります。

オオクニヌシは、高天原に届くくらい高く木を組み上げた家を作ってくれたら、国を譲ってそこに隠れると約束します。そういうわけで、出雲の国に高い高い社が作られ、そこにオオクニヌシは隠れます。タケミカヅチは高天原に戻り、無事葦原中国を平定したと、アマテラスオオミカミらに報告しました。

年に一回の神様会議

そして、出雲には、毎年10月10日(旧暦)、日本中の神様が集まり、11日から1週間、会議を行うとされています。
日本中の神様が出雲に出かけて留守にするため、10月を「神のいない月」で神無月というようになった、と言われ始めた、と考えられています。

最近は、スマホのゲームに神話の登場神名をつけたキャラクターが多く出るようになってきたので、授業でたまに脱線してこういう神話の話をすると「名前聞いたことある!」という反応が結構多くてびっくりします。

私が高校生の時はスマホのゲームも無かったので、さすがにアマテラスオオカミとかオオクニヌシくらいは知っていても、アメノホヒとかアメノオシホミミなんて知りませんでしたからね。意外とスマホのゲームも悪いことばかりではないかもしれないですね(性別変えられちゃってたりするのはちょっといただけないですが)。

では、今夜はこの辺で。

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