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学校の「面接練習」は面接の練習ではない。

こんばんは、しめじです。

今夜は、最近ずっと放課後の時間を割いて取り組んでいる、「面接」の話をしようと思います。

一応、過去には、自分が面接指導を担当した生徒が、

二年連続で旧帝国大学文学部のセンター試験無し推薦試験合格。
(一人は自分のクラスの生徒、もう一人は他の学年から依頼されて受け持った、初めましての生徒)
就職とは無縁の進学校から、東京都特別区と某政令指定都市の公務員に合格。
工業高校担任時は40人全勝。

という程度には面接練習はやってきているので、全く的外れではないだろう、という風に考えています。

もし、悩んでいる人や、この後控えている推薦入試の面接が不安だ、という方の一助になれば幸いです。

1 学校の「面接練習」は面接練習にはならない。

いきなり何を言い出すんだという感じですが、学校の面接練習は面接練習ではありません。

なぜなら、学校の面接練習でやったような雰囲気で面接が行われることは、どうやらほとんどなさそうだからです。
少なくとも、「しめじ先生がやってくれた通りでした」と言われたことは一度もありません。(それでも普通に進路指導部はじめとした他の教師に「この子は無理だ」と言われていた子が合格して来てるんですけどね)

理由は簡単で、私が大学や企業の面接官をやったことが無いからです。
国語科なので、学力試験の採点にまわりますから、高校入試の面接官すらやったことがありません。

だから、分かりっこないんです。
また、就職活動の面接は受けた経験がありますが、てんでばらばら。大学入試は、国公立前期試験しか受けていないので面接を受けていません。

要するに、「練習相手」になるほどの面接経験が無いんです。
多分、ほとんどの教師がそうです。
手に入れられるあらゆる受験レポートを入手し、大学別、企業別の想定問集を作って、(砕けているとか、フォーマルだとかの)ロールプレイまで細かくやる教師は日本全国探せばいるかもしれませんが、まあ私は知りません。そして私はやりません。

2 なら、何をするための面接練習なのか。

私は二つのことを意識していますし、意識させています。

・部屋に入って3秒以内に印象が悪くなるのを避けること。
・話のなかに、自分の軸を見出すこと。

これだけです。

まず、徹底的に部屋に入るときの作法や挨拶の練習をします。
立った姿勢から始めて、歩き方、手の指、声の出し方、そういうところまで一通りやります。
声の大きさは人それぞれですし、もともとハキハキしている人もいればそうでない人もいるので、例えば大きな声を出せ、とかは言いませんが、通りやすい声の出し方や、しゃんとして見える立ち方なんかは誰にでも出来ることです。
見た目で人を判断するなという人もいますが、だったら中身を見るまで待つのか、ということになります。
そんな悠長に自分の中身を知るまで待ってくれと言うのは傲慢であって、まず初めに「ちゃんとしている人が来たな」と思ってもらえるようにするのが筋でしょう。

はっきり言って第一印象は大事です。
ここをちゃんとクリアすれば、それだけで幾分好意的なバイアスを得られます。

で、次は志望動機やら最近気になった時事、高校生活での経験などを聞いていきます。
あの手この手を使って、様々な聞き方を繰り返します。

とにかく、「事前に書いて覚えてきたものを口にする」ということを一切放棄してもらうまで繰り返します
面接といっても、行われることは会話です。
さっきの質問から、今の質問へ、そして次の質問へと、そこに求められるのは連続性のある自分
ですが、大抵の場合、想定した質問に対してノートとかに書いて覚えたものを喋ると、その連続性が保たれていません。

なので、それを口にするのをまずは諦めてもらいます。
そして、ひたすら質問に答えながら、「何がしたくて自分はそこを志望しているのか」「そこで学ぶ(働く)ことで自分は何が出来るようになりたいのか」「自分はどんな良いところがあるのか」「自分はどういうことを第一に考えて行動する人間なのか」ということの、ぶれない軸を少しずつ作っていきます。

私は話を聞きながら、「ずっと話をしていく中で、○○という内容が何度も出てくるんだけど、どう思う?」というようなフィードバックを返しながら、生徒自身がそれを自覚するのを手伝うだけです。

生徒がそれをしっかり自覚して、「確かにこれが自分だ」と思えるところまで煮詰めていけば、後は原稿を作って覚える必要は皆無です。大体何に答えても、その軸からぶれない範囲に収まっていきます。

3 時間はかかる

はっきり言って、お手軽ではありません。
生徒も私も、莫大な時間を割きます。
ただ、それに見合った結果は得ていることがほとんどだと思います。

大体面接を終えた生徒や、合格しましたの報告に来てくれた生徒に、面接練習の感想を聞くと、「先生がやってくれた面接とは全然感じが違ったけど、先生と話し続けたのが役に立ったと思います」と答えてくれます。

話をする、自分のことを言語化する、その繰り返しによって、自分が自分のことを自覚する、というのはよくあること。
面接でも、同じように思いますね。

では、今夜はこの辺で。


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