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【ターンオーバーの功罪?】第12節 モンテディオ山形戦【雑感】

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この試合のMVPは解説の越智隼人さん、次点は実況の清水春樹アナだった。試合の流れに即して選手の細かい立ち位置や、上手くいかない理由を的確に指摘。もうレビュー書く必要ないじゃんと思うほどハイクオリティだった。山形サポが羨ましい。

この越智隼人さん、存じ上げなかったのだがTBSの番組「消えた天才」で取り上げられたことのある元Jリーガーで、元日本代表GKの川島永嗣が衝撃を受けたストライカーとして紹介してるらしい。Jリーグでは7試合の出場にとどまり22歳の若さで引退、一時サッカーを離れるがパーソナリティやコーチなどを務め…って越智さんの紹介はいいか。気になる人はWiki参照で。

5連戦で早くも2敗目を喫してしまった長崎。前述の通り実況・解説を聞いてるだけでマズイ部分は明白だったのでレビューは不要かと思ったが、それではさすがに雑すぎるので自分なりに負けた理由を列挙しておきたい。

なお今回は【雑レビュー】ですらなく【雑感】というタイトルにした。試合は一応観なおしたが細かくメモを取ることはしていない。かなり主観に寄ってる気もするが、まぁ所詮素人レビューなのでその辺は気にしたら負けということでご了承いただきたい。

山形は遠い

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当たり前のことだが山形は遠い。一説によると長崎からもっとも遠いアウェイとかなんとか…調べてみると長崎空港から直行便など出ているはずもなく、大阪伊丹か羽田で乗り継ぎが必要になる。飛行機に載ってる時間はおよそ5時間。選手自宅からクラブハウスに集合して、山形のホテルまで8~9時間ほどはかかるであろう。体感としては丸一日移動のような形になる。

「プロスポーツ選手にとって移動も仕事のうち」という事を遠藤保仁が言ってた気がする。この連戦、この暑さ、移動するだけでも大変である。言い訳がましいけど、コンディション的にはやはり厳しかった。

スタメン

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長崎は前節から7人変更、大幅なターンオーバーを敢行。本来のポジションと左右が違う選手が3人、左サイドハーフの澤田は山形の強みである末吉対策で右サイドハーフに、毎熊と出場する時は米田が左サイドバックに、フレイレとは初めてのコンビとなる徳永は左センターバックにそれぞれ立つことになる。左サイドのレギュラーといえる二見、亀川、澤田というコンビが全員不在になったことは、この試合を難しくした一つの要因だったように思う。

一方群馬は前節から3人交代。むしろそれ以外の8人は3戦連続スタメンというガッツある選手起用。それが原因か分からないが、開始早々に中村駿が負傷退場したのは誤算だったと思う。9節徳島戦から4-4-2にシステムを変えて機能しだしたという山形、なんでこんな順位にいるのか分からないくらい戦術的なチームだった。

機能不全の攻撃

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この日の長崎はとにかく攻撃が機能しなかった。理由はいくつか考えられるが、とりあえず4つ列挙した。

①ビルドアップのパススピードが上がらない
後ろ3枚で左右にボールを振りながら山形の穴を探すが、どうにも山形のブロックはズレない。山形のスライドが速いとも言えるが、長崎のパススピードは終始遅かった。サイドチェンジのパス、1人飛ばすパスもほとんど見られない。縦パスが入らない事には攻撃が始まらない。

②山形2トップのカイオ封じ
山形のファーストプレスはカイオにボールを渡さない事を第一優先にしていた。カイオをケアする代わりに左右のセンターバック、つまりフレイレと徳永は空いてしまうがそれは許容する、という守り方だ。カイオにはパスコースを切られても動き直さないという弱点がある。たぶん山形はそれを分かってカイオを2人掛かりで塞いでいたと思う。たとえばボランチが加藤大であればビルドアップの出口になるために動き直してパスを受けられる位置を保つが、カイオにはそれが難しい。ボールを握りさえすれば懐の深さで簡単には奪われないカイオだが、そもそもボールを受けられないと仕事はできない。この辺は涼しくなれば改善されるのだろうか…

③機能不全の左サイド
山形2トップの脇にスペースがあるのだからCBが持ち上がれば良いのだが、慣れない左センターバックに入った徳永はリスクを嫌ったか距離のあるパスを選択することが多かった。強みの左サイドを攻めるなら米田を起点にしたいところだが、単純なビルドアップに対して南のプレスは相当早い。右利きの選手が左サイドバックを務めるのはなかなか難しいことで、米田はどうしても右足でボールを受けてしまうため視野を確保できない。強みのはずの左サイドから、いつものスムーズさを感じる事は出来たのは結局後半79分に亀川が出場してからだった。

④各駅停車でテンポが悪い
試合を通してアタッキングサードでのダイレクトパスやサイドチェンジのパスが少なかった。運動量が少なくて正しいポジションを取れていないせいなのか、連戦の影響で頭の方が疲労しているのか、ボールを足元で貰いたがる氣田・イバルボ同時起用の影響なのか…山形からすれば終始守りやすい攻撃だった。事実、手元の集計では決定機と呼べるチャンスを一度も創出できなかった。

--なかなかビルドアップから崩していけなかったが、難しさをどこに感じていたのか?
相手がブロックを敷いたときの崩し方。同じリズムでプレーしていても相手は怖くない。どこかでワンタッチでリズムを変えるプレーや1人が大きい動きで背後を取りにいくことはもっとやらないといけないなと思います。
(秋野央樹)
--立ち上がりからなかなか前に行けなかったが要因は?
FWに入ってから起点が作れなかった。あとは全体的にビルドアップのところで、距離感も少し遠く感じました。それぞれがいるべきポジションにいることができず、あまりうまくいっていないなというのも感じていました。
(米田隼也)

ルアンが示した模範解答

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後半60分にルアンが出場してからは山形を押し込めるようになった。理由は2つ、左利きの秋野が左センターバックに入るようになったこと、フリーマンのルアンがボランチの位置まで下がってボールを引き出してくれたことだ。ボールを受けたルアンは素早くターン、縦パスを入れるなりサイドチェンジのパスを出すなり、裏のスペースを狙うなり、ここまでの長崎に足りない全てのアイデアを提示した。さすがワールドクラス、ほぼ一人で状況を打開した。惜しむらくは前線の動きだしやパワーが不足したことで決めきるに至らなかった事。

亀川・磯村が出場してからは4-1-2-3気味にシステム変更、最終盤にはフレイレを上げてなりふり構わないパワープレーに出るが結局得点をあげることはできなかった。山形の守備はかなり粘り強かったし、終盤は5-4-1にしてしっかり逃げ切った。後半からイバルボを出していたら展開は違ったかもしれない。

自分たちも攻撃のところでギアを上げていこうとした中でなかなかギアを上げることができなかったのは連戦の3試合目、アウェイという影響があったのかもしれない。
(手倉森監督)

山形のデザインされた攻撃

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山形はオーソドックスな4-4-2から、ボール保持時は右サイドバック三鬼が片上がりする3-2-5の可変システム。基本的には左サイドの末吉が仕留めるorラストパスを出すための仕組みで、三鬼にボールを預けて長崎ブロックを右に寄せて逆サイドのスペースにボールを送るという狙いを持っていた。守備要員として右サイドハーフに入った澤田、対人に強い毎熊が立ちふさがって末吉に決定的な仕事はさせなかったが、山形の狙いは明確で攻撃はスムーズだった。

また前線の山岸、アラウージョ、南はかなり流動的なポジションを取っていた。サイドで起点を作るときは援護に行ったり、ライン間に立って縦パスを受けたり、裏を狙ったり…長崎の硬直した前線との違いは大きかった。失点シーンはセルフジャッジからのつまらないものだったが、チームの機能性という意味でも山形の方がやや優勢だったと思う。

何のためのターンオーバー?

あまり選手を入れ替えていない山形は、さすがに後半70分過ぎからは運動量が落ちたが、試合を通して主体的にアクションを起こした。一方7人もターンオーバーしてコンディション的には有利と思われていた長崎はかなり消極的だった。プレスにいかない、フリーランが少ないから相手の陣形が崩れない、裏に抜ける動きがないから相手のDFラインが下がらない…失点のリスクを嫌うあまりこれまで積み上げたスタイルも影を潜める内容だった。

顕著だったのはボールを失った後のリアクションで、ファーストプレスの出足はかなり重かった。失ったボールを即時奪還して波状攻撃を仕掛ける、というシーンはほとんどなかったように思う。

「得点できないなら失点しなければ良い」というのは手倉森監督の根底にある哲学の一つで、就任当初から、何ならリオ五輪代表を率いているときから事あるごとに語っている。この哲学はゴール前で粘り強い守備という良い側面に出る事もあれば、裏を取られるのを怖がって腰が上がらない守備という悪い側面に出る事もある。群馬戦の飲水タイム明けに披露したような、立ち位置で圧力を掛ける守備はついぞこの試合では発動しなかった。それが(体力温存という意味で)意図的だったのか、それとも後ろが陣形が間延びしてプレスに行けなかったのか、それは外からでは分からない。

まず、アウェイに来て、連戦の3試合目。攻守に仕掛けていこうという中でも、どちらかというとしっかりと守備意識を持って、しぶとく戦おうと話してゲームに入りました。
(手倉森監督)

おわりに

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連戦による疲労は確実に溜まっている。どのチームも負傷者が増えつつあるのはその証拠だろう。長崎は積極的にターンオーバーしていることで、出場時間は上手く分散できている。この選手層のアドバンテージを活かすには、とにかく出場した選手がアグレッシブにプレーすることが必須になる。少なくとも山形戦のような消極的な、インテンシティの低い内容ではターンオーバーしている意味がなくなってしまう。

ここから5連戦の4戦目、5戦目と未知の領域にいよいよ足を踏み込んでいく。水曜の千葉戦は中2日、しかも遠い山形から帰ってきてからのホームという間の悪さ。さらに相手は調子の上がってきた千葉…うーん嫌な予感。前半の貯金は吐き出してしまった。ここは新戦力の台頭を期待しつつ、今シーズン最初の踏ん張りどころになる。

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