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【終わりよければ全てよし】第14節 水戸ホーリーホック戦【雑感】

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5連戦がいったん終わったけどレビューの更新は捗らず。夏休みの宿題とか仕事とか、期限が迫らないと頑張れない性分なので仕方ない(言い訳)もう水戸戦から4日も経ってるけど、記憶を引き出しながら読んでください。

スタメン

①スタメン

長崎は前節から3人変更、ルアン・澤田・カイオがスタメン入りした。12節山形戦で富樫が負傷したため、何気に畑の負担も大きくなっている。この5連戦は2勝2敗と調子が上がりきらなかったが、水戸戦の勝利が勝ち越しに繋がるため大事な一戦。

一方水戸は前節福岡戦から1人変更、三國スティビアエブスに代わって住吉ジェラニレショーンがスタメン入りした。ここまで攻撃回数リーグ2位、シュート数リーグ1位と積極的な攻撃が特徴のチーム。総得点20を誇るが総失点は21、バランスを模索中のチームという印象。注目選手は鹿島から武者修行中の山口一真、アシスト数トップの松崎快。

チームを率いるのは1年目の秋葉忠宏監督、リオ五輪ではコーチとして手倉森JAPANを支えた。試合前のインタビューや談笑シーンから分かるように、お互いの事が好きすぎるオジサン達である。

カイオを塞がれた場合の解決策

②長崎のボール保持

この日も長崎はボールを保持して相手を動かすことを目指す。対する水戸は4-4-1-1のような形でブロックを敷く。カイオを中心にした3-1-4-2システムは、カイオヘのパスコースを塞ぐことで機能不全を起こすことが露呈している長崎への対策だったように見えた。基本的に山口がカイオを見て前線へのプレスを中山が担当していた。

これに対して長崎が用意した対応策は秋野をセンターバック化せず、少し高い位置に立たせることだった。ボールを持てる角田・二見のコンビは中山のプレスをきっちり回避、カイオへのパスコースは塞がれているが浮いてる秋野には簡単に繋ぐことが出来る。山口が秋野をケアすればカイオが浮く。降りてくるルアンも加わってビルドアップはかなり安定した。

加藤大のように細かくポジションを修正できないカイオを起用する時、この秋野がセンターバック化しないケースは今後も多用されるかもしれない。もっとも、最後尾が角田・二見だから実行できる作戦であり、例えばフレイレ・徳永のコンビだとプレス回避が難しくなってロングボールを頻発するかもしれないけど。

ゴール前をいかに崩すか

秋野を1列下ろさないビルドアップを併用しながらビルドアップを安定させた長崎は、最後の局面ではダイレクトプレーを選択するケースが多かった。30分から先制点を挙げる40分ごろまで、ダイレクトパスから3度の決定機を迎えた

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まず31分の場面。カイオが攻撃のスイッチを入れる縦パス、吉岡が抜けかけるがンドカに防がれてシュートは打てなかった。秋野→カイオ→澤田→畑→吉岡と4本のダイレクトパスが繋がった。

⑤ダウンロード

次に38分の場面。水戸の横パスをカットした亀川がそのまま攻め上がる。澤田が畑にフリック、吉岡に落としたが住吉に防がれた。31分のシーンに続き、選手間の距離が近くパスを繋ぐことが出来た。

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そして39分は先制点の場面。コーナーキックの流れからルアンが畑にスルーパス。毎熊に落として吉岡がシュート、3度目の正直でゴールネットを揺らした。ルアンのスルーパス、畑のトラップしない抜け方(専門用語でコントロールオリエンタード)で水戸の陣形を大きく崩した。

3つの場面に共通したのはゴール前から3~4本のダイレクトパスが繋がったこと、畑がシュート前のポスト役を果たしたこと、そして吉岡が2列目から飛び込んだこと。即興性が高いようで実は再現性を持った崩しだったのかもしれない。去年の記憶を思い出したように飛び込みマシーンと化した吉岡、この調子を維持してここからでも2ケタ得点を目指してほしい。

今日も頑張る数的同数プレス

③プレス

ボール保持の改善、ゴール前の崩し、ともに十分な出来だったが、それより良かったのはボールを失った瞬間のリアクション(ネガティブトランジション)だった。

前節千葉戦と同様に、ビルドアップ時にあまり可変しない水戸は4-4-2の陣形を維持したまま攻撃を始める。4-4-2の凸型ブロックで守る長崎にとってはマーカーが分かりやすく、数的同数のプレスを掛けやすかった。前線のプレスから水戸のビルドアップをサイド方向に限定、サイドバックが1列上がって水戸サイドハーフをマーク(たとえば毎熊が木村に対応)することで袋小路に追い込んだ。

畑、吉岡、澤田が相手を追いまわし、最終ラインでは空いた穴をスライドして埋める(たとえば毎熊が上がったスペースを角田が埋める)事でリスクを抑えながら水戸の攻撃力を半減化することが出来た。

もっとも前半終了直前にコーナーキックでマークを外してあっさり失点、さらにアディショナルタイムにはミドルシュートを山口に触られて逆転弾を喰らった。特に逆転弾に繋がった場面では点を取りに行くのか、同点のまま前半を終えるのか、チーム内の意識はブレていたように見えた。結果論だが敵地で、前半終了間際に同点弾を喰らい、残り時間が3分であればそのままのスコアでハーフタイムを迎えるべきだった。追加点を奪って勝ち越す可能性と、さらに失点して逆転を許すリスクを天秤に掛ければあまりにリスクが大きすぎる。この辺のゲームコントロールには大きな課題を残した

被弾した原因の一つはカイオのポーンとしたトラップ、これは徳島戦で電光石火の失点を喫した時と全く同じミスだった。カイオの悪癖の一つが失点に繋がってしまったが、カイオ一人の原因とは言い切れない。

手倉森監督の人心掌握術

監督が選手のメンタルに及ぼす影響はいかほどのものなのか、ただのサラリーマンには理解が難しい。自分の身近な話で想像すれば、上司の言動、一挙手一投足は良くも悪くも部下のモチベーションを大きく左右する。この試合で、ああ手倉森監督らしいなと思ったエピソードが2つある。

①「後始末してこい」
これは手倉森監督がハーフタイムに選手たちに発した言葉。そのままの言葉を発したか分からないが、このようなニュアンスの発言はしたのであろう。前半は山口に手を焼いたもののほぼ狙い通りの試合を進めて、最後の3分で同点・逆転を許すという最悪の展開。交代回数にカウントされないハーフタイムに1人か2人くらい変えても不思議じゃないが「バタつかれてると思われたくない」「あくまで前半は良かったと選手に思わせる」という狙いから交代は実施しなかった。

強い檄を飛ばされたチームは結局コーナーキックから同点、直後の澤田のゴールで再逆転に成功。後半開始15分以内で後始末を完了した。メンタル的に「やってやる」という気持ちは強かったのではないだろうか。

②アウェイでも勝点3
5連戦が始まる前は「ホームで勝点3、アウェイで勝点1」という指標を示した手倉森監督。理論上は狙い通りに星取りをできれば勝点84で自動昇格圏内がほぼ確実になる。ただ振り返ると「アウェイで勝点1」という意識が強すぎたのが徳島戦、山形戦だったように思う。勝点1を確実に取る方法は失点をしない事で、得点を取れなくても失点だけは避けたいという意識に偏りがプレスに行けない、ゴール前にブロックを敷いて引きこもる消極的な戦い方に繋がってしまったのではないだろうか。

アウェイ水戸戦は勝ちに来たと明言しており、選手の意欲はプレスの速さに表れた。監督の言葉一つでここまでチームの重心が変わるだろうかと思うし、言葉だけの影響ではないかもしれないが事実として徳島戦・山形戦の姿とはまるで違う積極性を見て取ることが出来た。

--アウェイでの連敗を止める勝利となりましたが、この勝利で得られる影響は?
今回の5連戦もアウェイの数が多く、シリーズでこれから残り6回の連戦のうち3回もアウェイが先行する。そうなったときにアウェイが先行しても勝ち越せているという事実を勝ち取らなければ、自分たちが少し不安になってしまうので、そういった意味ではアウェイで連戦の最後、勝てたのは非常に意義があるなと思います。
(手倉森監督)

まとめ

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これにて地獄の5連戦パート1が終わり、長崎は何とか3勝して勝点9を獲得した。及第点と言える成績、内容だった。選手の出場時間を比較すれば負担が重かったポジションは一目瞭然だが、補強に動くかどうかは微妙なところ。とりあえず今日(8/28)夏の移籍ウィンドウ①が閉まることになる。

大宮戦から始まる5連戦パート2はさらに厳しいものになる。パート1より涼しくなるが上位中心の対戦相手、アウェイが続く日程的な辛さもある。どのチームも変わらないが蓄積疲労もある。このパート2で大崩れすればあっという間にリードを吐き出すことになる。まずはホーム大宮戦、とにかく重要な一戦になる。

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