残された彼

私の帰国前日の2001年10月17日アフガニスタンへの報復が始まった。

テロのせいか、彼の身辺調査は長引いて、なかなか入隊出来ずにいた。私と過ごしていた時間をアルバイトに当てることにした彼。

思うようにことが進んでいかないのはこの辺りから始まった。

Wendy's時代の貯金もなくなり始めたのか、Marshallsと言う量販店でバイトを始めた。

私と一緒に過ごすことが日課になっていたし

どこも私と過ごしたところばかりで、思い出すのが自然だ。

でも私には泣き言を言わなかったし、電話先で泣くこともなくいつも強く、優しい彼だった。

私の見えないところではきっと落ち込んだり

寂しくなる時もあったと思う。

それでも自分にできることを探して前を向く彼だった。

時差を計算すると向こうが寝る前に電話をすると

こちらは午後で、一日中、作文の練習をしていた私にも都合が良かった。

祖母はもちろん英語が通じないので

日本語で'あやかちゃんはいますか?'と話して

電話を取りつないでもらうようになった。




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