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バツ2はダメなのか

 一度の離婚ならまだしも、二度の離婚は人間的に欠陥があるのではないか。そう思う人も少なくないだろう。バツ2の妻も、そのように思われていると感じたことはないようだが、一般論として、そう思われても仕方がないと考えているようだ。結婚を控え、私の両親に挨拶に行く前、妻の母親は、バツ2であることを私の両親に言わない方が良いのではないか、と妻に伝えたそうだ。でも妻はそんな忠告は聞かず、自分からバツ2であることを切り出した。

 バツ2に対する私の考え方は明確だ。

「バツイチの人がもう1回離婚しただけ」。

 夫婦3組に1組が離婚する。離婚率は3分の1であり、その意味で離婚は珍しいものではない。だから1回でも2回でもそこまでの違いは本来ないはずだ。それなのに、なぜバツイチとバツ2の間に大きく隔てる壁が存在してしまうのか。大きな壁、それは言い過ぎかもしれないが、やはりバツイチとバツ2を見る目は違うように思える。

 ある人は同じ過ちを繰り返している点が理解できないと思うかもしれない。でも、結婚生活は男女が一緒の家で過ごすだけ、といった単純なものではない。歯車が合わなくなると、壊滅的なくらい悪い方向に向かってしまうのだ。

 私は妻にこれまでの結婚生活についての話はほとんど聞いていない。ただ、断片的な情報を総合すると、やはり離婚理由は「性格・価値観の不一致」によるものみたいだ。私も端的に言えば、離婚理由はそれだった。一人が4/4拍子の旋律を奏でながら生活をし、もう片方は3/4拍子の旋律を奏でながら生活をしている。その場合、3小節か4小節に一度はかみあう時があるが、それ以外は不協和音になる。抽象的ではあるが、性格・価値観の不一致とはそういうものだと思う。運よく最初の結婚で良いパートナーに出会える人もあるが、誰もがそうとは限らないのだ。

 と、ここまで綴ってきたが、正直、妻からはバツ2に対する恥じらいなどは感じることはない。その理由は2回離婚したという、言ってみれば負の側面よりも、3回結婚できたという事実に裏付けられた女性としての自信があるためのように思える。


 「海外ドラマ好きの女性って独身の人が多い印象なんだよね」。私がチラッとそんなことを言うと、妻は吹き出して笑った。

* * *

 海外ドラマの話を出したが、妻はあまりそういうようなものに興味を示さず、Amazonプライムでは「孤独のグルメ」ばかり見ている。妻自身は少食だが、人が食べている姿を見るのが気持ちよくてたまらないそうだ。
 最近、親族の集まりがあった際、妻は義弟に孤独のグルメの話を切り出したが、義弟はシーズンが浅い頃の方が低予算感があり、クールに感じるようだ。クリエイティブ系の仕事についている人間らしい捉え方だと思った。
 教職に就く兄はひたすら韓国ドラマの良さを語っていた。日本のドラマよりストーリーも俳優の演技も演出も段違いに良いそうだ。熱弁する兄の手元にはチャミスルがあった。韓国の芸能政策おそるべし。


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