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【いいところを語る映画評】「君の名前で僕を呼んで」 恋愛当事者はいつだって本気で真剣

映画「君の名前で僕を呼んで」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。

はじめに

4〜5年前の映画なので、まずは簡単な情報をどうぞ。

2017年(日本公開2018年)
イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ
監督 ルカ・グァダニーノ

83年、夏。家族に連れられて北イタリアの避暑地にやって来た17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に泳いだり、自転車で街を散策したり、本を読んだり音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオはオリヴァーに特別な思いを抱くようになっていく。ふたりはやがて激しい恋に落ちるが、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてきて……。

映画.comより


男性同士のひと夏の恋物語


この映画は、ひと夏の男性同士の恋物語を描いています。あらすじにあるように、17歳のエリオと24歳のオリヴァーの恋。

まあ「ひと夏の恋」といえば、率直にいって、手垢のついたテーマですよね。いまさらって感じもします。
以前なら、「少年と年上の女性とのひと夏の恋」、もしくは「少女と年上の男性とのひと夏の恋」といったところが主流だったと思いますが、この映画では男性同士に置き換えてるところが新味といっていいかもしれません。

でも今の時代、ただ同性同士というだけで、そこまで新味ともいえませんよね。
じゃあ何が新味かというと、同性同士の恋に「反対する人がいない」という点に、オっと思いました。

この映画では、エリオの両親は息子が同性同士の恋に落ちていることを知っていても、見て見ぬふりをしている。
なんなら、「いくとこまでいっちゃえ」とすすめてるようにも見えます。
自分の気持ちに素直に従いなさい、と。
おお、新しい。

こういうお話だと、古い恋愛観の両親が反対して、それが却ってスパイスになって恋が盛り上がったり、悲劇的な結末を迎えたりするんだけど、それが一切ない。

また、エリオにはいい感じのガールフレンドがいるのだけど、その子からのやっかみというか反発も、ほとんどない。(厳密にいうと1シーンあるのですが、サラッと描かれている)
以前の映画なら、「信じられない!」とか罵声を浴びたり、女友達にいいふらされて白い目で見られる、なんてシーンが想像つくけど、それもない。

そのガールフレンドがどこまで知っていたかは別にして、みんながエリオの恋路を受け入れてくれている。同性愛を特別視していない。
そこがこの映画の美点だと感じました。

素材の味を生かしてます

なので、二人の恋の始まりから終わりまでに物語の焦点が絞られていて、ストーリーラインがシンプル。余計な要素がなにもないです。
料理でたとえれば、調味料はほとんど使わず、素材の味を生かす。
甘酸っぱい恋、北イタリアの夏の風景、まぶしい陽光、すてきな別荘、流麗な音楽、あとイケメン。

まあ登場人物も少なくて劇的な展開はないので途中ちょっと眠くなりましたが、主役2人の気持ちの流れをじっくり描くことで、恋する喜びとか、相手がどう思ってるんだろうっていう不安とか、別れの悲しみとか、そういう普遍的なものが浮かび上がった気がします。

今までの同性同士の恋物語って、「外側からの視点」で描かれてたんじゃないかなあ。「違う世界のことをのぞきみる」といったような。
でも恋する気持ちに対象の性別は関係ないし、当事者同士は相手が誰だろうといつだって本気で真剣。
そんな当たり前のことを改めて気付かされました。

最後に

最後に話は全然変わりますが、タイトルのフォントがお洒落。原題の英語の響きも好きです。

あと、携帯電話が一切出てこないのがものすごくよかったけど、それをスマホで観る矛盾。トホホ。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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