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【B級映画2本の感想】「クリスティーン」「ボディ・ダブル」

「クリスティーン」と「ボディ・ダブル」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。


クリスティーン(1983年 アメリカ)

内気な高校生アーニーはスクラップ寸前の自動車、58年型プリマス・フューリーを買い取り、それにクリスティーンと名づける。しかしアーニーはクリスティーンの恐るべき秘密を知らなかった。不良たちによって破壊されたクリスティーンは自力で再生・修復し、復讐を開始。それは意思を持ち、自らの美を汚す者に容赦なく襲いかかる残忍な車だったのだ! 破壊不可能の車が引き起こす怪現象を描いたサスペンス・ホラー。
映画.comより

B級映画の帝王、ジョン・カーペンター作品。
カーペンター作品は個人的に当たり外れが大きいのだけど、この作品は、当たりでした。佳作です。
(「遊星からの物体X」は大当たり。おすすめです。)

上記にホラーとありますが、ホラー描写はほとんどないです。
まあ車が意志を持って人を襲うからホラーといえばホラーだけど、いわゆるスプラッター描写はないので、ソフトホラーといったところでしょうか。

ちょっとダサ目な高校生が「魔の車・クリスティーン」に魅入られ、覚醒していく(いじめていた奴らに復讐していく)物語なのですが、青春ものとホラーの合体で、そういうのが好きな自分としてはグッとくるものがありました。

車が人を襲うのがこの映画の肝なのですが、いろんなアイデアがあって、ふつうに面白かった。
ただはねるだけじゃなくて、運転席のシートが前進してハンドルと挟んで人を圧死させるところとか、「そういう手があったか」と感心してしまった。
悪趣味ですみません。。。

ほんとに車に特化した話で、その車でできることを一生懸命考えたシナリオは手づくり感があって好きです。
途中、壊れた車が自己修復していく(壊す映像の巻き戻しなのだけど)ところも、素直に「おお~」とうなってしまった。

以前「スキャナーズ」の記事でも書きましたが、CGがない時代なので撮影の工夫が随所に感じられて、ホラーなんだけどどこか素朴というか。
作り手が楽しんで撮影してる感じが伝わってきて、そこがこの映画のいいところだと思います。
だって、オープニングが黒バックに車のエンブレムだけが浮かんでエンジン音が流れるって、もう趣味ですよね。

自分も車に話しかけるクチ(名前は付けないけど)なので、この映画の主人公のように車と一体になれたら、それはそれで素敵なことなんだろうなと思いました。(悪いことはしませんけど)

総合評価 ☆☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

ボディ・ダブル(1984年 アメリカ)

俳優のジェイクはしばらく旅に出ることになったサムの部屋の留守番を請け負う。そこの望遠鏡で向かいに暮らす美女グロリアの部屋を覗き見してしまうジェイク。彼はグロリアを尾行し、その後、ふたりは結ばれることに。しかしグロリアが電気ドリルで惨殺されるという事件が。やがてジェイクは自分が罠にハメられたことに気づく……。
映画.comより

2本目はブライアン・デ・パルマ監督の作品。
まあブライアン・デ・パルマ監督に関してはA級作品も撮っているので、なかなか微妙なところではありますが、まあこの「ボディ・ダブル」はB級といっていいでしょう。

ひとことで言うと、下世話です。
受け付けない人もいると思う。

覗き、なぜか窓際で美女がストリップ。
はたまたストーキングからの、美女が履き替えたパンツをごみ箱から拾う主人公。
もう下世話のオンパレード。
脚本的にもツッコミどころが多くて、もう観ている途中から「なんなんだこれは?」となります。

でも最後まで見てしまった自分がいます。
自分も下世話だからでしょうか。それは否定できません。

ただ主人公の造形に感情移入したことは間違いないです。
この映画の主人公はB級専門の売れない役者で、なおかつ閉所恐怖症です。
で、それにより棺桶に入る仕事がうまくできなくて、降ろされてしまいます。

また、家に帰ると同棲相手の浮気現場を直接目撃してしまうのですが、それに対して何も言わず家を出ます。
(実はこれは「ドライブ・マイ・カー」と同じ。その後の展開の差といったら)

さらに、演技クラスで演出家っぽい人に他の役者が見てる前で追い詰められて泣かされてしまいます。
で、留守番を頼まれた部屋で女性のストリップをのぞき見する。

ここまで情けない主人公って、なかなか見たことがない。
この「情けなさ」「かっこつけなさ」が半端なくて、そこに興味を持ちました。
(なんだかんだいって、映画の主人公ってかっこつけてますよね。。。)
この行き詰まった主人公がどうなるんだろうと、最後まで見てしまいました。

結論から言うと、期待に応えてどんどんアンダーな方向にいくんだけど、最後ちょっとだけ救われます。
この「ちょっとだけ」救われる感じ、好きです。
良くも悪くもここまで軽薄な映画って逆にないんじゃないかなと思います。
ただ重けりゃいいってもんでもないですよね。

情けないんだけど、主人公なりに乗り越えようとしている姿に、何か大事なものが含まれている気が、ちょっとだけするのです。
ほんのちょっとだけね。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

最後に

両作品とも銃が出てこないのがよかった。
銃で解決って安直ですよね。

あ、「ボディ・ダブル」は途中いきなりMV的シーンが始まってこの曲が流れます。
この時に主人公がニヤついてるのも軽薄でいいんだよなあ。

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