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映画感想「別れる決心」

現在公開中の「別れる決心」を映画館で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。

2022年 韓国
監督 パク・チャヌク

男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった・・・・・・。
公式サイトより

はい、「オールド・ボーイ」や「お嬢さん」などで知られるパク・チャヌク監督作品。

結論から言うと、☆3つ半。
う~ん、面白くないってことはないのだけど、すんごい面白いかと問われれば、そうでもないというか。

この作品はパク氏の特徴である、きつい暴力描写や過激な性的描写はありません。
ただ、それは事前情報で知っていたので、それらの描写がないから物足りないってことはありませんでした。
「思ってたのと違う!」ってことはなかったです。

自分はパク氏の映像文体が好きなんですよね。
華麗なカメラワーク、画面の構図、色のセンス、音楽のメロディやトーン、音楽のかかるタイミング。
平たくいえば、映画の盛り上げ方が好き。

あと、俳優を魅力的に見せるのもものすごく上手。
演劇畑の監督だと俳優の演技を直接引き上げていく感じで、その手法の良さももちろんあるのだけど、パク氏の場合は良く見えるように自身が撮る、というか。(映画監督の演出力って、自分はそっちなのではと思います。)
今回の主演2人も例にもれず良かったです。

この作品もパク氏のそういった良点は存分に感じられます。
中身に少し触れると、今回の作品は大メロドラマ。
事件が起こり、その容疑者の女性と取り調べる男刑事が恋に落ちる。
刑事は既婚者なので不倫のメロドラマですね。

自分がいいなと思ったとこは、恋に落ちた2人が最後まで呼び捨てで相手の名前を呼ばないとこ。
こういう「いじらしさ」が好きです。
順序を踏む、というか、作法を守る、というか、大人のメロドラマなのです。

ただ好きか嫌いかと問われれば好きなのだけど、パク氏のフィルモグラフィでベストかと問われれば、違うかなと。
ロマンティックで美しい映画ではあるけれど、作品としての強度はそこまで強くないのでは。

ああ、でもラストシーンは良かったなあ。
あと、女性が刑事のポケットからリップクリームを取り出して、自身の唇に塗る。それを見て、刑事がドギマギしながら「…清潔です」と言う。
中国出身の女性のために刑事が言葉を分かりやすく言い直す。
「○○とは、こうこうこういうことです」。
プラスして、スマホの音声翻訳アプリをばんばん使う。
こういう描写のはしばしが現在進行形(昔のアメリカとは違う)のハードボイルド文体みたいな感じがして、いいんだよなあ。

そっか、誤解を恐れずにまとめれば、ハードボイルドの探偵小説を現代の韓国(アジア性)に置き換え、なおかつヒロインを飾りにせず女性視点も忘れないっていう、最先端の形にアップデートしたものなのかも。

探偵小説ファンとしては、新しいハードボイルドは歓迎したいし、それを発明したパク監督はやはりすごい。
ってことで、☆半分を加点して、☆4つに修正です!


総合評価 ☆☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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