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「老い」は生の一部 映画「午後の遺言状」
「午後の遺言状」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。
はじめに
簡単な情報です。
1995年 日本
監督 新藤兼人
老齢の女優蓉子は避暑のために、豊子に管理を委託している山間の別荘に滞在する。そこで、人間の老いと死や夫婦に関わる事件に次々と遭遇する。
奇妙な短い遺言とともに大きな石を残した用意の良い老人の自殺、重度の認知症になったかつての女優仲間と、献身的に看護するその夫との再会と別れ、亡き夫の思わぬ人物との不倫、義理の娘の結婚(婚約=足入れ式)など…。その度に蓉子は元気付けられたり、落ち込んだり、自身の死について考えたりする。
みんな生きている
ひとことで言ってしまうと、「老い」をテーマにした映画です。
なぜなら、新藤兼人監督が80歳を過ぎて撮った作品だし、主な登場人物はみなさん老齢の方。
だから「老い」の映画と捉えて間違いないと思うのだけど、一方でじゃあ「老い」って何だ?と。
いわゆる「何歳から『老人』になるのか?」ってことにもつながると思うのだけど、これって「何歳までが『子ども』なのか?」と同じで、答えはない気がします。
この映画には「老と生」、「生と死」、「生と性」といった要素があるのですが、これらの要素にすべて含まれている言葉は「生」。
当たり前の話だけど、老人は「生きて」いる。
新藤監督はそれを言いたかったんじゃないでしょうか。
80歳を過ぎても生きていることに変わりはなくて、今の自分はこんなことを感じています、という映画だと思います。
その分、ストーリーのつなぎ方としては少し唐突な印象を受けました。
でも「自分はこれを描きたい」って想いが強くあるんですよね。
描写の輪郭が太くてはっきりしていたので、ぐいぐい引き込まれるものがありました。
雰囲気が明るい
この作品の特徴として雰囲気が明るいところが挙げられます。
「老い」や「死」を扱っている映画ですが、全然暗くない。
重い雰囲気が全くないってこともないけど、まあ明るい。
コミカルだったりファンタジックな部分もあって、これはもう新藤氏の人生観が直結しているのでは。
画面も夏の避暑地の緑がいっぱい映ってて、色調も明るい。
俳優の方たちの演技もフラット。
と、ここまで書いてきて最初の問いに戻ると、「老い」って特別なことではないのでは、と思いました。
老いは生の一部。
どうしてもネガティブに捉えられがちだけど、かといって無理やりポジティブに反転させる必要もない。
個人として「何を受け入れ、何を受け入れないか」が問題というか。
でもこれって年齢関係ないですよね、若い人も中年も一緒。
「どう人生を終えるか」ってことも含めて、やっぱり「どう生きるか」ということ。
この映画のいいところは、「どう生きるか」という究極のテーマを、自分の言葉で図太くありのままに描いているところだと思います。
最後に正直に言うと、小僧の自分には実感がわかないところもありました。。。
なので、⭐︎3つ。
それにしても「#午後の遺言状」が2件。。。
もうちょっと語られていい映画だと思います!
総合評価 ☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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