永遠の憧れ、90年代のすべて。『mid90s』
今年は、予想外の世の中になってしまいましたが、それでも、話題の映画や、観に行って良かったと思える映画が、たくさん公開されていますね。
私が、約半年もの間、楽しみに待ち続けていた映画『mid90s』が、先日、公開日を迎え、ようやく鑑賞することができました。
画像出典:https://eiga.com/movie/90103/gallery/11/
『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』などで知られる俳優、ジョナ・ヒルが初めて監督・脚本を務め、話題の本作。
今回は、実際の90年代を知らない私が感じたことを交えて、本作の魅力をお伝えしていこうと思います!
ストーリー
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1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。
小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。
そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。
彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。(公式HPより引用)
魅力① 散りばめられた90年代の要素
「1995年に撮影されたような映画に仕上げたい」というジョナ監督の思惑通り、本作には90年代が感じられるような様々な視覚的工夫がなされています。
まず、なんと言っても全編スーパー16ミリフィルムで撮られた本作。
私にとって、映画館で全編4:3の画面で観た映画は初めてで、とても新鮮でした。横長な映画館のスクリーンのなんとも贅沢な使い方でした。
また、劇中、フォースグレイドが肌身離さず持ち歩き、様々な日常の場面を撮影していたビデオカメラ。
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あのビデオカメラの大きさや形、そして、それが映し出す映像。
どれも新鮮で、どこか可愛らしさも感じられる素敵なツールを、映画を通じて、体験することができました。
インテリアも90年代そのもの。
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例えば、スティーヴィーがこっそりと部屋に入り、胸を踊らせた、兄、イアンの部屋。壁際には、当時、日本でも流行したNIKEのAIR JORDANがずらりと並べられています。
また、ジョナ監督は、「ゴミに時代感が最も出るから」とゴミまで作成するこだわり様です。
そして、一番私のテンションが上がったのは、なんと言っても90sファッションです!!私が90年代の映画やドラマを観て、憧れを抱いた一つの要因は、ファッションでした。
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何の偏見にも縛られず、カラフルな洋服で思う存分自分を表現している90sファッションは、本当に輝いて見えます。
魅力② 時代を超えて共感できる思春期の心
10代に突入した頃、誰しもが、少し年上のお兄さん、お姉さんに憧れ、振る舞いなどを真似したことでしょう。
もちろん、私も、(一人っ子ではありますが、)その一人です。
そして、本作の主人公、スティーヴィーも、然り。
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暴力ばかり奮ってくる兄と、いつまでも子供扱いしてくる母にうんざりし、居場所のない家庭を抜け出して、気ままにスケートボードを楽しむ少年たちのコミュニティに溶け込もうとするスティーヴィー。
しかし、やはり、彼はまだまだ子どもで、少年らの前では見せる子どもらしい笑顔や、感情を隠しきれずに落ち込む彼の姿には、愛おしさを感じられずにはいられませんでした。
また、スティーヴィーの兄、イアンの気持ちも痛いほど分かります。
クールに振る舞っていたい思春期真っ只中のイアン。
ただ、家庭では、兄である責任もあり、このプライドは、彼を孤独にし、イライラの矛先は、暴力がらみの兄弟喧嘩に向いてしまいます。
それでも、きっと弟思いな彼は、こうして弟とゲームをしている間に、言葉で、自分の思いを伝えることができるのです。
画像出典: https://eiga.com/movie/90103/gallery/
この二人以外にも、大人になろうとするもなりきれない、思春期真っ只中の青年たちの心が、ふんだんに描かれています。
多くの人が、10代の時に感じたであろう思春期のもどかしさ、心の変化と葛藤を、様々なキャラクターに自分を重ねて、痛いほど共感することができるのも、今作の魅力の一つです。
魅力③ 知らなくても分かる、90sミュージック
私は、時代ごとに流行った音楽にそれほど詳しい訳ではありませんが、それでも、聞こえてくる音楽すべてが「これこそ90年代の音楽!」と瞬時に感じられるものばかりでした。
特に、ヒップホップに乗せられた、感情の熱さには、大変刺激を受けました。
画像出典:https://eiga.com/movie/90103/gallery/2/
劇中、ファックシットも口にしていた様に、大好きなスケートボードをしている時だけは、嫌なことも何もかも忘れて、夢中になれる。
彼らのそんなスケートボードへの思いを、音楽が代弁するかの様に流れてくるのです。
また、音楽面での魅力は、ヒップホップの熱さだけではありません。
歌詞のない音楽で表現される人の温かみ、無音の緊迫感。
本作に使われる音楽は、単なるBGMではなく、作品の中心にある、重要な要素の一つであったように感じます。
「音楽の素晴らしい映画は、素晴らしい映画である。」という私の持論を、証明してくれる作品の一つに、本作も加わりました。
SNSに縛られない、自由な生き方。
自分の好きなことをしている時だけ、世の中から開放される、そんな生き方。
90sカルチャーだけでなく、90年代を生きた人々も含め、やはり、90年代は、私の永遠の憧れだと再確認させられた、幸せな時間でした。
90年代を生きた方にとっては、どこか懐かしい、90年代を知らない方にとっては、新鮮に感じる映画、『mid90s』は、シネリーブル神戸ほかで絶賛上映中です!
ぜひ、映画館でご覧ください!
公式HPはこちら↓
シネ・リーブル神戸さんの公式サイトはコチラ
執筆:映画チア部神戸本部(まっぴぃ)
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