J1昇格、その先へ。 新潟に今後期待する3つの事
急に思いついて急に書いたので導入は無し。それでは行ってみよう!
①"優位性"を常備して欲しい
新潟には優位性が備わっていると思います。ここでいう「優位性」とは、立地や資金力という条件を覆い隠す事の出来る要素。どのチームにもある訳ではない新潟の強み。
それはすなわち明確なフットボールスタイルが備わっている事を指しています。スタイルがある事がなぜ優位性に繋がってくるのか、大きな要因としては選手が新潟を選んでくれる点にあります。
地方都市である新潟県にホームタウンを置くアルビレックス新潟。経営規模も豊かであるとは言い難く、2021年の人件費はJ2で7番目に当たる6億9100万。
首都圏にある訳でもなく豊富な資金力を誇る訳でも無い。サポーターの多さなど諸々の強みはありますが、大枠で見るとアルビレックス=ただの地方の1クラブに過ぎないのです。
反町康治(現:日本サッカー協会技術委員長)が松本山雅の監督を務めていた時に「田舎だから」と獲得オファーを断られるなど、地方クラブはその立地だけで移籍先の対象外になってしまうケースも。場所も良ければ給料も良いし環境も良い首都圏のクラブに比べると我々地方クラブは相当なディスアドバンテージを背負っているのです。
しかし新潟には他には中々無い、明確なスタイル (=ポジショナルプレー×ボール保持=得点機会を多く創出する) があり、それに関わりたい・成長したいと新潟の方向性に共感して加入を決めた小見洋太や伊藤涼太郎のように選手に選ばれる環境が整っています。
J2どころかJ1でもこのようなスタイルの導入に苦しむクラブ(東京・清水など)は多く、今新潟が展開するフットボールが注目される理由もそこにあります。時間を掛けながらもスタイルが根付き、ようやく結果が出つつある今だからこそ、このクラブが示すべき優位性を維持して欲しいと思います。
当然このスタイルがいつまでも続くとは限らないし、もしかしたら来年には(アルベルトの後任としてオファーしたと噂の)水戸ホーリーホック・秋葉忠宏監督が爆誕して、今展開されているフットボールとは違った毛色になるかもしれません。
その時はその時で「新潟が優位性を示していくには...?」を再定義する事になると思いますが、アルベルト、いや吉永監督から繋いできた新潟スタイルが続く限りはそれを活かしてあらゆる要素を有利に進めてほしいなと思います。
選手に選ばれるという優位性を更に噛み砕くと、例えば本間至恩のように、新潟在籍時にポジショナルプレーの要素を染みつかせて市場価値を上げて海外移籍。そうして新潟から世界へと進路実績を実現し続ける事で野心ある選手のリクルートに繋げていくとか。
そういう意味でも三戸舜介に懸かる期待は大きい。彼もまた海外へ羽ばたかせないといけません。
これからシーズンが終わり、来季に向けたチーム編成が始まっていきます。或いは既に動き出しているかもしれません。J1で戦うなら現状のスカッドのレベルだと一年で逆戻り、それどころか2017を超える大惨事と化す可能性だって十二分にあります。それほどにJ1のレベルは高い。
だからこそ、質の高い選手を揃えてスカッドを充実させる必要があります。先程示した新潟の優位性を基に、「このフットボールに関わりたい」「新潟のフットボールに触れて海外移籍を目指したい」とスタイルに共感した選手を獲得して欲しいし、そうやって選ばれるクラブであって欲しいなと思います。
②OB登用の行方
新潟では基本的にOB人事が盛んです。日本だと何処もそうでしょうが、例に漏れず新潟も然り。(色々あって) 2020年11月に中野幸夫社長がカムバックしてから、その流れが再び。
チーム編成などトップチームに関する権限を持つ強化部長には寺川能人、新卒スカウト担当には本間勲、アカデミーを統括するアカデミーダイレクターには内田潤。フットボール面での意思決定に携わる主要ポストには全員新潟OBが就いています。
中野社長は2018年を持って一度退任しており、この度の社長就任も突然のものであったために、数年後に新たな者へバトンを引き継ぐ暫定的な立ち位置だと捉えられます。
社長が変わればまた一新される可能性はありますが、当分は新潟OBを中心とした人事が続くかと思われます。寺川強化部長は現行のフットボールに非常に共感を示しており、就任会見時のコメントや実際の仕事ぶりを見てもそれがよく伝わってきます。
アルベルトとの協力体制や松橋力蔵への引き継ぎなど監督人事は勿論、適合する選手をピンポイントで連れてくる補強にも定評が。知見をアップデートさせながら敏腕な手腕によって、新潟の新境地開拓に大きく貢献しています。
強化部長2年目ということもあり、外国人選手の見極めなど改善して欲しいと思う点はありますが、今後も新潟の意思決定に中心となって携わって欲しいところです。
また、現在トップチームに所属する選手の中にもOBとしてこれからも新潟に携わって欲しい人材が。フロント業に興味があるという千葉和彦や指導者を志す堀米悠斗など、アルベルトから薫陶を受けたベテラン選手はその一例。
今後も現行のスタイルを継続させるなら、変革期に選手として携わった彼らの経験値は何よりも不可欠。指導陣が入れ替わってもクラブに哲学や個人戦術(ポジショナルプレー)を残していけるように、人望もありフットボールへの理解もある2人はセカンドキャリアも新潟で過ごして欲しいです。
他にもキムミョンヒ→川合健太監督のサガン鳥栖でヘッドコーチとしてモダンフットボールの知見を高め続ける片渕浩一郎や、新潟での現役引退後、即JFL・FCTIAMO枚方の監督に就任、現在も指揮を執る小川佳純など興味深いOBは沢山。
今後もOB登用を行うのなら、彼らのような優秀な人材を適切な時期に適切な場所に抜擢して欲しいなと思います。
③J1昇格達成
J1で戦うためにはJ1に上がる必要があります。
と進次郎構文のように言ってみましたが、新潟には是非ともJ1昇格して欲しいと思ってます。サポーターとして再びトップリーグで戦うマイチームの姿を見るのはここ数年の悲願でしたし、ここまで築き上げたフットボールがどこまで通用するのかも1サッカーファンとして気になります。
それに、もし来季J1で戦うとなると相当に厳しいシーズンを送る事が予想されます。6月以降、横浜FC・千葉・岡山・長崎・岡山・徳島・大分とJ1経験があってJ2では比較的高い強度を示すチームには1度も勝てていない新潟がJ1で簡単に通用するとは思えません。
それでも、J1の基準を体感する事によって目指すべきレベルがより深く見えてきます。よく松橋監督が「目指す場所はここじゃない」と選手達に語りかけていますが、”目指す場所”を身をもって経験したチームやクラブには貴重な財産が残る事でしょう。
当然残留してJ1に定着する流れを作り出すのがベストですが、もし1年で降格してしまったとしても、上の基準を知る事が出来た1年とJ2でそれなりに勝ってきた1年を過ごすのでは圧倒的に前者の方を選びます。
どのような結果になろうと、まずはJ1で戦って個々の強度やチームの完成度を身をもって体感して欲しい。その経験値を今後に還元して高め合っていければ、今よりも強い新潟になっていくはずです。
そして何よりも、堀米悠斗や高木善朗、早川史哉など新潟をJ1に上げるために戦い続けてくれた選手達に報われて欲しい。彼らにシャーレを持たせるためにも、残り5戦を5連勝で締めくくり、J2優勝・J1昇格を掴み取りましょう!まずはそこに期待!!