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社会人10年で5回も転職した話#1〜空港で"嫌われる仕事"についてしまいました③〜


この仕事は人に嫌われがちではありますが、飛行機に搭乗する前に必ず通過しなければなりませんので
芸能人の方にはよく遭遇していました。
特にVIP専用の荷物検査のレーンになりますと、会う確率はもちろん高いです。
みなさん、とても気さくで荷物検査にも快く応じてくれました。
個人的に一番印象的なのは、手荷物の中に可愛い柴犬の写真が見えており、思わず「とても可愛いですね」とお声がけしたら、柴田理恵さんだったことがあります。(笑)
それまでは全然気づかなかったので、私自身も驚いてしまいました。
他にもたくさんお見かけしましたが、ここでは伏せておきますね
(ま、昔すぎて気にすることもないと思うのですが)

***

さて、今回は荷物検査員を退職した経緯と、この企業で働いたことの感想や考えたことを記します。
これから転職を控えている方、考えているけれどまだ迷っている方、何かしらの参考になれれば良いなと思います。

■退職の経緯
言わずもがな、この職業は固定休みがなく土日祝はもちろん出勤です。
運よく当たらないこともありますが、私は1年目の時に大晦日とお正月に当たってしまったことがあります。これは本当に最悪でした。大好きなイベントにも行けず、年末年始感もなく・・・
と、これが辞めた理由の一つでもありますが、大きかったのは下記2点かなと思います。

1)立ちっぱなし+ヒール+不規則な生活による体力の限界
2)同期の中で仲の良い友人が退職→ゾロゾロとやめていく流れ

では、1つずつ紹介していきますね。
1)立ちっぱなし+ヒール+不規則な生活による体力の限界
シンプルに体力がもたなかったです。
私はこの時に引いた風邪ほど、症状が重くなったものはありません。
一人暮らしということもあり、治りにくいのもありますが、運悪く高熱を出したのが木曜日だったのも悪化させた原因だと思っています。
木曜日って、心なしか病院が定休日の時がかなりありますよね。
病院の分母は少なくなるし、行っても患者さんばっかりでかなり待ちます。
そのせいで待合室ではもう死んだ魚の目でしたもん(笑)
しかも、自宅の近くに木曜日やってくれるクリニックはなく、私は最寄駅から電車に乗って隣の駅の病院まで行ったくらいです。
その時から、絶対今度引っ越すときはクリニックがたくさんあるところにしよう、と考えてしまった程です。
さらに、ヒール+立ちっぱなしのせいで腰を痛めました。
周りの筋肉が無かったのも原因ですが、元々体力ないのに無理をしてしまいました・・・
こんな生活していたら、病気になる!と思い切ってやめたのです。
(もちろん、土日休みではないのがきつかったのもありますが)

2)同期の中で仲の良い友人が退職→ゾロゾロとやめていく流れ
これはもしかしたら、この職業というか風土のせいかもしれません。
ここの企業はとにかくたくさんの従業員が必要でした。
任される荷物検査のレーンが多いのももちろんですが、体力的にしんどい仕事なので辞めていく方もも多くいます。
人間関係は①でも述べたように、配属されるチームによっては厳しく、うつ病や適応障害の方もたくさんおられました。
心と体、どちらもきついなか、唯一の心の支えは同期だけなんです。
先輩やクレームの愚痴、仕事以外のプライベートの話・・・これ全部同期に話していました。
そこでストレスをうまく発散して、なんとか毎日仕事をこなしているのです。
その中で同期がポツリ、ポツリと辞めていくと寂しさと同時に「ああ、辞めていいんだな」という安心感が生まれていきます。
私よりも先に辞めた友人は、どこか生き生きしていて楽しそうで、顔色がいい。
そんな姿を見てしまうと、続けていく気力がなくなってしまうのです。
実際、私はとある友人が辞めてから職場を去りましたし、私がいなくなった後は当時仲が良かった友人がどんどん辞めていきました。
理由を聞くと「辞めていいと思えた」と聞くのである意味、同期の存在は頼みの綱だったのかもしれません。

■この会社から学んだこと
退職した当時は、あまりよくは思わなかったのですが現在はとても良い経験だったなと感じます。
具体的にどんな点が良かったのか下記2点から紹介します。

1)外国人に対する恐怖感が消えた
英語は好きでしたが、得意なのはグラマーやリーディングなどコミュニケーションというよりは知識を重きに置くものだった私にとって、外国人とのコミュニケーションは大の苦手でした。
空港に働いておきながら何を、と思うのですがシンプルに慣れていないから怖いのです。
日本人は勉強するのは得意ですが、それを人対人に生かすのは得意・不得意があります。
そもそも、日本人は外交が苦手なことは有名ですよね。
そのくせ、新しい技術の取り入れ・発展・質は高めるのが上手いのは、勤勉な方が多いからです。
現在も理由合って外国人ともよく仕事をするのですが、特に怖くもないですし、渋谷で道を聞かれてもなんとか対応できるまでになりました。
英語力が単に上がったというよりは、恐怖感が無くなったので自然体でこなせたが正しいと思います。
外国人の独特なテンションは、今では日本人と気まずく話すより楽ですし、アジア人のイメージ(特に中国人)もめちゃめちゃ変わったし、良い経験だったなと思います。

2)荷物検査、という特殊な仕事の魅力
これから私は転職を繰り返すわけですが、正直職務経歴書に書くときはかなり困ります。
資格というものも存在するのですが、私はそれを取得する前に退職しましたので持っていません。
(しかも、使用範囲が狭すぎて全くもって現在は役に立ちません)
ただ、インパクトはあるんです。
なかなかないですよ、空薬莢を見ることも、中国の謎のお茶を捨てることも、見たことのない危険物の数の多さも。雑学的な意味でもそうですし、対応した事案をお話しすると興味を持ってもらえます。
国内外関係なく荷物検査と空港のプロですから旅行もしやすいです。
何よりも、こんな仕事を経験した人なんていないのですから自慢できます(芸能人に会う確率とかも含めて)
もう一度就職したいとは思いませんが(笑)、私はこの時のエピソードはまだまだありますし、人間関係も含めてカオスだったので、機会があれば話してみたいです。

3)ちょっとやそっとのことじゃ折れないメンタルの形成
私は元からメンタル的には人より強いという自負がありました。
でもここで働くと言葉は通じない外国人が相手だし、理不尽なことを言われてムカつくこともありましたし、社内で起きる恋愛の揉め事も、女子ならではの言い争いも正直しんどかったです。
でも、そんなことで心が折れていてはこの仕事は務まらないし、お金にならないのです。
お金のため、生活のため、クレーム客は宇人・・・と言い聞かせていました。
もちろん、耐えればいいかというとそういうものではありません。
心が死ぬくらいなら絶対辞めたほうがいいのです。逃げてもいい。
この「ムカつく!」が「絶対こいつ黙らせてやろ・・・」に変換できるのならいいと思うのです。
私はちょっと調子に乗っていた年下の先輩とか、「クッソ、絶対こいつより仕事できるようになる」と自分を奮い立たせていました。
おかげさまで、今はちょっとやそっとのことでは心は折れないし、逃げることもせず立ち向かっています。

■最後に
空港で働く上で、私が必要なことはこの3点だと思っています。

1)英語などの語学力より、向き合うという気持ちの強さ
ぶっちゃけ、英語力はあんまり伸びませんでした。(笑)
決まり文句があるので、余計な英語を覚えなくて良いので、しょうがないですが。
でも、英語が通じない中国人や、積極的には話さないフランス人もいる中で、いかにお客さんと向き合うのか、空の安全を守る一員としての自覚を持って仕事をするのかがポイントなのです。
それはCAとかGSでも同じことを言えるか、というとそれはないと思います。
彼らは安全を守る上に、ホスピタリティを求められますからね。
でも、語学は知識というよりはいかに相手に「伝えたい!」という気持ちがミソかと思いますので
むしろ荒治療方式で、飛び込むのもアリかもしれませんね。

2)シンプルに体力(心も体も)
まあ、これに自信があるならぜひという感じです。
体力さえついていけば、知識は毎日実践状態なので嫌でも覚えますし、最終的に体が勝手に動きます。
ただ、これは人によるかもしれません。
身体的な体力は、自分で鍛えることが可能ですが、心の体力はキャパシティや性格にも左右されます。
心が辛いなら、死ぬなら、私は逃げてもいいと思うし、それが転職のきっかけになることもあります。
何はともあれ、仕事はいくらでもあるので自身の気持ちと心を優先したほうが良いです。
耐えることは、特にかっこいいものではありませんから。

3)仲間との連携
人脈は、どんな時でも大事です。
それは同期の横の繋がり、先輩・後輩の縦の繋がり、これはいずれにせよ大切です。
私はこの繋がりに何度助けれたかわかりません。
同期には、辛い時、叱られた時、クレーム客に当たった時は、励ましてもらいましたし
先輩・後輩には、仕事のミスをカバーしてもらったり、手伝ってもらったりしました。
1人で完結する仕事ならまだしも、この荷物検査員は完全にチームワークです。
現に退職してからも当時の班長とは連絡をとっていましたし、同期については今でご飯行ったり、ディズニーに行ったりする仲です。
新卒、というピッカピッカのカードはこんな「友」としての繋がりにも一役買っているのです。

長くなりましたが、「空港で人に嫌われる仕事をした話」はこれで完結です。
さあ次回、私は一体なんの職についたのでしょうか?
ちなみに次の転職は退職後1.5ヶ月後には完了しています。
長いのか、短いのか不明ですが最初はこれくらいのペースでした。
(もちろん、就職中も並行して探していましたが)
転職中の話は「番外編」としてお届けしたいとは思っていますので
ご興味がある方はぜひ!

では、また。

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