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【#111】長野県・飯島町長選挙レポート(2023 11.19)


 2015年~2018年、テレビ朝日系列で「イチから住 〜前略、移住しました〜」という番組が有りました。
 縁もゆかりもない地方にタレントが3ヵ月間移住するという内容だったのですが、全国各地の(比較的、田舎な)町に移住する中、長野県で最初の移住先となりタレントさんが来たのが、今回取材した飯島町。 もうこのエピソードだけで飯島町の雰囲気が想像つくコトでしょう。

 長野県南部で東西を南アルプスと中央アルプスに挟まれ、その間が最も狭いため両アルプスが一望できる、山の眺望が好きな方にはたまらない町でしょう。
 そんな町で行われた町長選。 番組で取り上げられるほど移住に適した町で、最も重要視された政策は何か? 今回はそんなお話です。




◆飯島町(いいじままち)・概要

(飯島町役場)
  • 面積:86.96㎢(長野県 第46位/77市町村)

  • 人口:8,961人(第37位)※2023年11月1日現在

  • 人口密度:103.04㎢/人(第33位)※2023年11月1日現在

  • 平均年齢:52.27歳(若い順 第42位)※2019年10月1日現在

  • 衆議院は長野5区に属し、宮下一郎(自民 6期)氏を選出


◆立候補者

唐沢 隆  (66) 無所属 新 元副町長
下平 洋一 (72) 無所属 現 3期目を目指す

 3期目を目指す現職に元副町長の新人が挑む一騎打ちです。


◆前回(2019年)の選挙結果

無投票

 前回は無投票で現職が2選。 8年ぶりの選挙となります。


◆POINT

・昨日の友は今日の敵

 2015年に新人同士の一騎打ちを制して初当選した下平候補。 当選後最初の議会で副町長に指名したのが、唐沢候補でした。 そこから町長の1期4年間、町のトップとナンバー2として町政を運営します。
 そこから2019年に下平町長が無投票で2選したのですが、選挙明けの議会で唐沢副町長が任期満了で退任します。 ただ退任となったのは任期とは別の理由が有るようで、

 2019年10月に町内の公園に設置されていた回転遊具が根元から折れ、遊んでいた児童1人が右足を捻挫、6人が打ち身や擦り傷などの怪我をする事態が発生。 原因を調べると、2017年と2018年の点検で「修繕完了まで使用不可」と指摘されながら使用禁止にしていなかったコトが明らかになります。
 それで今回の選挙の関係性ですが、この公園は事故前の2019年3月末までは一般社団法人が管理しており、同法人の理事長が唐沢副町長でした。 4月からは町の直営管理に替わったものの引継ぎが出来ておらず、唐沢副町長は「危機管理意識の欠如」と責任を認めました。
 唐沢副町長はその責任を取る意味で退任を決断したようですが、次の副町長を選任する際に議会で町長が、

「この(1期目の)4年間でいろいろ学ぶ中でさらにエンジンの馬力アップ、事業をしっかりと進めていく、ステップアップした中での事業展開、それを考えた時に新たな副町長が必要であるとこのように考えたわけでございます」

飯島町議会 令和2年第1回臨時会会議録 ※PDF より)

 と発言していて、「下平町長が唐沢副村長を切った」とも捉えるコトができ、それが両者の間に “因縁”“わだかまり” を生んでいる、かどうかは分かりかねますが、辞任から4年の時を経て「候補者」という対等の立場で相対するコトとなったのです。

 それでは、両候補の選挙運動を見ていきましょう。 演説を聞くと両候補は対照的な話をしていました。 それは掲げる政策のベクトルが「内」を向いているのか「外」を向いているのか。
 果たして有権者のココロを掴んだのはどちらか、有料部分で御確認いただきたく。


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