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【#97】長野県・原村長選挙レポート(2023 7.30)

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(原村役場の標高)

 原村は八ヶ岳山麓の南側に位置する高原地帯で、役場も標高1,000m超えの場所に建っています。 が、やはり今年の暑さ。 気温は余裕で30℃を超え、高原だろうが何だろうが暑いものは暑いのです。
 そんな中で行われた村長選挙。 元五輪選手の新人が立候補し、長野市と山ノ内町に続く県内3人目のオリンピアン首長が誕生するのか注目された選挙でした。 しかし当然ながら五輪選手なら誰でも首長になれる(なって良い)ワケではなく、最後はその方自身の資質にかかってきます。
 果たしてこの選挙はどうだったのか。 汗をかきながら村内を取材し回った成果となるこのレポートを、どうか読んでいただけると嬉しいです。 



◆概要

  • 面積:43.26㎢(長野県 第70/77位)

  • 人口:7,710人(長野県 第41位)※2023年7月1日現在

  • 人口密度:178.22人/㎢(長野県 第26位)※2023年7月1日現在

  • 平均年齢:51.13歳(長野県 第36位)※2020年10月1日現在

  • 衆議院は長野4区に属し、後藤茂之(自民 7期)を選出


◆立候補者

牛山 貴広 (42) 無所属 新 元五輪代表
小林 千展 (66) 無所属 新 元村職員

◆前回(2019年)の選挙結果

無投票

 前回は無投票で8年ぶりの村長選。 そして新人同士の争いです。 この選挙に至るまでを御説明しましょう。


◆POINT  2期8年務めた現職が引退→後継指名へ

原村HP より引用)

 現職の五味武雄村長が2期8年で引退を表明。 健康上の理由だそうです。
 
 ところで、原村を含む諏訪郡3町村(下諏訪町、富士見町)は “平成の大合併” を経験していません。

 おそらく御柱祭で、御柱となる大木の切り出しや「山出し」「里曳き」などを担当する氏子の役割が地区毎に確立されており、行政の事情で合併なんて出来ないのだろうと思われます。 特に原村は1875年(明治7年)に誕生して以来、一度も合併をせず続いてきた自治体で五味氏が第39代の村長となります。 
 この8年間で移住者が増え、人口は少しずつですが増加傾向な原村。 ただ高原地帯で移住者が増えると地元民との軋轢が起きてしまうのは原村も例外ではないようで、共生が課題となっているとのコト。
 2期目が無投票当選なので今回も出馬すれば当選は固かったと思われますが健康上の理由なら仕方なし。 そんな五味村長が後継候補としてしまいしたのが、村職員の経験がある小林候補、、、 ではなく、政治経験が全く無い、元スピードスケート&競輪選手の牛山候補というのが驚くべきトコロ。 そこには一体何が有るのか。 候補者の選挙運動を通して検証していきましょう。


◆牛山 貴広(うしやま たかひろ)候補

 牛山候補は原村出身。 スピードスケートの選手として諏訪清陵高校から明治大学卒業後、長野五輪でスピードスケート競技が行われたエムウェーブに所属。 2006年のトリノ五輪で1000m(28位)、1500m(35位)、5000m(27位)、パシュート(8位)の代表として出場します。

写真右が牛山選手(日本オリンピック委員会HP より引用)

 トリノ五輪閉幕直後に日本競輪学校に合格。 2007年4月に同学校92期生として卒業。 同年7月14日にデビューし、早速同月24日には同期で優勝一番乗りを果たします。

 ※9番(紫)が牛山選手です。

 師匠がいる茨城県に移りS級昇進を果たし、通算1249レースに出走し213勝しました(勝率:17.0%)。

KEIRIN.JP より引用)

 競輪選手を続けながら家族で原村にUターン。 青年会議所や小学校のスケートコーチ、村の観光推進検討委員などの活動をした後、今回の村長選に立候補。「首長は兼職が出来ない」という公選法の規定で競輪選手を引退。 退路を断ち「誰ひとり取り残さない村づくり」を掲げ初当選を目指します。

 スポーツ選手としての経歴は華やかですが、やはり行政経験は殆ど無く村長としての資質は未知数です。 そんな人物を何故現職は後継指名したのか。 お会いすれば手がかりが掴めると思い、向かいました。

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