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妄想彼女:「レイナ」というバイク乗りの理想の彼女

【はじめに】

5月の連休初めに頭の中に「レイナ」が現れた。
誰だろう。アニメは好きだが、アクション系が好みだ。

俺には妄想の趣味はないはずだが。
ただ、忘れられない。理想?の人なのか。

なぜ、レイナなのか?それは知らない。
記録の意味で記します。

【その名は「レイナ」】

レイナの身長は俺と同じくらい。
細身なのに胸の谷間をのぞかせてくる。

俺を何の疑いもなく呼びつける。
そして、俺の考えていることが伝わってしまう。

目線に困っていること。でも見たいこと。
レイナは知っていてのことだ。

でも、うれしいのはなぜだろう。
それは、本当は望んでいることだからだ。

きっと。
そういう妄想であるから。

・・・

長い黒髪、切れ長な目は好みすぎるのが困るくらいだ。
でも、今は彼女にすることはできない。

お互いに理由も知っている。でも離れられない。
それは確証していることがあるからだ。

二人は少し先のことを知っている。
誰にも話していない、それぞれの妄想のことを。

・・・

俺には妻も子供もいる。
理由があって、一家は別々の場所で生活をしている。

俺は50歳前、レイナは20歳中ごろだ。
レイナの年齢ならば、流行りが好みとみえてもおかしくない。

・・・

レイナは俺と同じ名前で妄想を膨らませていた。
今までのことで人間不信になっていたようだ。

俺も家族のとトラブルで家を出て数年が経った。
そして俺もレイナという名の妄想が始めていた。

・・・

だから、妄想の中でお互いを知っている。
そして、妄想したやり取りがこれから現実で再現される。

お互いを傷つけない、素直に考え、素直にいられる。
そんな理想の妄想なのだ。

・・・

そして、ついに現実のレイナに会ってしまう。
お互いの妄想の一つ一つの確かめ合いが始まる。

【出会い】

出会いは急だ。
俺はコロナ以来、初めての職場の飲み会に参加していた。

職場では同性がいるため、名前でよばれていた。
都合の良い話がだ、レイナも同じ店に来ていた。世の中は本当に狭い。

通路を歩く俺に先輩が名前を呼ぶ。レイナは妄想相手か確認するために俺をインプットしてようだ。
トイレで通路を歩く回数が増えていく。

・・・

レイナは突然、目の前に現れ言った。
「迎えに来たよ。○○(俺の名前)。私は誰かな?」

見た瞬間でわかるその容姿。小悪魔的な優しい声。
やばい、レイナと答えてしまいそうだ。

でも、名前で呼ぶなんで、同級生かもと頭を働かせる。
とりあえず、「え~っと。」と答える。

「どうせ二度と会わないよ。言っちゃいなさいよ~」
さすが。。。レイナならそう言うだろう。妄想通りだ。

・・・

「レ・イ・ナ」と小声で答えた。
「そうだよー。やっと会えたねー。本当にー。・・・○○なんだね~。会えるんだね・・・。知ってるよ。全部。。。」

「本当に レイナ?」
「そうだよ。では早速ですが、質問をするよ。知ってるよね。答えてね」

「ああ。うん。(知らない質問がきたらどうしよう)」
「私の彼氏になるための条件が3つあります。まずは彼女なし!」

「あ~あ。それはこれ(指輪)があるから。ちょっと。。。」
「それは困る・・・が、想定内なのでOKとしましょう。ねっ!」

「免許はマニュアルか走りに興味があること!」
「車はマニュアル車だよ。軽だけど。。。」

「よいです。次は難関だよ。バイクに乗ってるかな?原付じゃだめだよ~」
「乗ってます。原付じゃないです~。」

・・・

「よろしい。じゃーバイクでいつ行く?答えは知ってるけど。。。」
「明日です。都合はどう?。会社の人いますけど。」

「行くよ~。本当に何でもわかっちゃうね。すごいね!。うれしい!。」
「本当にあの通りになるのかな???」

「そうだよ~。早速、結ばれたことを考えちゃったでしょ~。エロいな~。」
「うー。素直に言うよー。か・考えました。本当に同じ妄想なのかい?。」

「それをこれから確かめていくんでしょー。」
「確かにね。じゃー明日 10時に〇〇で。そろそろ戻るよ。まだ話したいけど。」

「じゃー明日ね。ウキウキしちゃうよー。楽しみー。じゃーねー。」
「ああ~。じゃー明日。。。」

嵐のような一瞬の出来事。頭が混乱する。
本当に明日来るのか?あの青のGSXで?

【ツーリング開始!】

その日は日曜日。
会社の人と数人でツーリングの日だ。

雨が降らなければ、毎週日曜日が恒例だ。
そこにレイナが参戦?する。

俺も話した時間は数分。いきなりツーリングとは。。。
まだ、半信半疑の妄想君としては、不安が多い。ここまでは妄想通りではあるが。。。

まずはなんてレイナを紹介するか?
妄想では、「仲良くなった知り合いのレイナちゃんです。本日参戦です。」だったな。

・・・

集合場所へ。青のGSXの横に女性が立っている。1000ccっぽいな?。
レイナだ。きっと。昨日はGSXとは聞いていないが、妄想通りなら青のGSXだ。

俺はいつも時間ぴったり派なのだが、少し早めの10分前についた。
それでも先に来られては、かっこがつかない。今度はもっと早く来よう。。。

「レイナ!」
「○○~。おはよう!。よかった。会えて!」

「早いね。みんなあっちで待ってるから行こうか。トイレとか先に行くかい?」
「さすが○○。気を使ってくれるね~。そういうところ好きだよ~。」

「もー。からかわないよー。俺もトイレとか行っておかないとね。」
「では、一緒にトイレへ・・・。ねっ!。」

「はいはい。一緒にね。」相変わらず見透かされている。
素直に考えてしまうことは仕方がないということか。いいこと?かな?

やはりお互い前から知っている感覚だ。居心地がいい。
レイナの言動は素直に感じる。すごいな。信じられるって。

・・・

紹介タイム。
ちょっと緊張するな。

この集まりは、B級グルメチーム。
山間部を走り、お昼にお目当てのグルメを食するチームだ。

先導役の走りはすごい。
俺は2番手だがいつも追いつけない。

では、台本通り。
「仲良くなった知り合いのレイナちゃんです。本日参戦です。」

「レイナです。急な参加ですみません~。よろしくお願いしますー。」
かわいい。がっちりみんなの心をつかんだなー。

挨拶が丁寧っていいよね~。
あとはメンバーからの突っ込みをどうかわすかだな。質問攻めまちがいなしだな。

さて、バイクに戻って集合場所へバイクを移動して合流だ。
ここでレイナとはインカム(トランシーバー)を調整せねば。

集合場所で接続にあたふたすると、みんなに突っ込みの時間を与えてしまう。
移動中のインカムからレイナの声がする。

「そうだ。彼氏の条件で言うの忘れてた!。」
「何-!?。3つ言ってたよー。」

「バイクは難関だって言ったでしょー。」
「え~。ああ。そうだね。」

「そうだよー。レイナより早いことだよー。超~難関でしょ!。」
「確かに、これは妄想の中では速さはわからなかったよー。」

「そうそう。妄想では負けたけどね~。実際はどうかな~?。」
やはり、妄想では勝っていたか。

俺も先導の師匠に鍛えてもらってっいる。遅くはないと思っている。
レイナはサーキットを走っているはずだ。後で確認してみよう。

「ギュギュギュ」エンジンスタート!
ドタバタ ツーリング開始!

【フルーツライン】

どこにでもありそうな「フルーツライン」とう名の道に入る。
地元のフルーツラインは全然フルーティーな道ではない。

道幅はあるが、ブラインドコーナーが連続する。
ここまでの道のりでウォーミングアップは完了している。

先導の先輩が加速する。3気筒独特の加速音だ。
こっちは回すとおとなしい2気筒。(マフラーのせいか?)

俺の後ろで4気筒のかん高いサウンドが響いてくる。
これは早いな!。ストレートではレイナのGSXに追いつかれる。

コーナー入口から出口手前までのコーナリングスピード、加速のタイミングは俺の方が早い。
出口の後でストレートがあるとさすがに分が悪い。

だが。。。フルーツラインはストレートがほぼない。
なのでここでは「俺の勝ち」ということにしてもらおう。。。

【ご褒美】


レイナは悔しがっていた。また、勝負だと意気込んでいる。
サーキットでは俺の完敗であろう。

この結果はお互いに。まあ、想定通りだ。
それでも、勝つ気でいて悔しいというレイナがかわいい。

・・・

お昼も食べて帰路につく。
帰り道もグイグイくるレイナの負けず嫌いがすごい。

レイナはご褒美をくれるはずだが、覚えているか?
ご褒美は初キスだ。ちょっと長めの。。。

途中で休憩を入れる。すでに先輩達とは別れている。
山の中で二人だけだ、ここしかない!

「レイナ、お疲れ様。俺の勝ちだね。ギリギリだけど。」
「わかってるよー。本当に早いね。あの連続コーナーじゃ勝てないよ~。」

「覚えてるよね。あのご褒美をください。。。」
「覚えてるよ~。もうー。ハイッ。。。うう~ん。。。」

ヤバい。とろけてしまいそうだ。
これはご褒美だから悪い事をしていない。と言いきかせながら。。。

【妄想の果て】

相変わらずレイナとイチャイチャしている。
自然なイチャイチャだ。心地いい。

そういえば俺の妄想の果ては見えていない。
俺の妄想は離婚が決まって、レイナと正式にイチャイチャの先のエッチに結ばれるまでだ。

その後は?ある意味で自由なのか?
レイナの妄想の果てが気になった。先があるのか?聞いていいのか?

気になることは素直に聞く。
これがレイナとの暗黙のルールだ。

・・・

「レイナ。俺はこんなことを聞いたかな?」
「どんなこと~?。またエッチなことなんでしょう~。」

「半分あたり。この先のエッチな妄想。その果てだよ。」
「えー。その果てかー。」

「俺の果ては見えるのか?」
「見えるよ~。私はずーっと果てまで妄想してあるよ~。」

「その果てでも、俺はレイナとエッチなことをしているのか?。」
「あたりまえだよ~。恥ずかしくて詳しくは言えないよー。本当に~。」

「ずっと一緒に居られるのか?。」
「私の妄想に終わりはないよ。ずーっと一緒だよ。」

「レイナ。妄想の先をずっと考えていてくれ。頼む!。」
「ふふふ。レイナを大事にするのだよ~。」

【そして 今】

レイナと会って3年。妄想の通り俺は離婚し彼女なしとなった。
これでレイナの彼氏になる条件がそろった。本当に。

レイナとは堂々と街中でデートができる。
今までは山中でこっそりデートだ。ヘルメットをかぶり、身を隠して。

妄想と妄想がつながり理想の彼女が現れる。
こんな現実に出会えて最高の人生がスタートする。

まだ、遅くはない。生きる理由ができた。
絶対にレイナをおいて先にいくもんかー。

いっぱい楽しむぞー。理想の彼女 レイナと!。


おわり


 








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