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沢蟹を飼ったり食べたりした話

先日スーパーの鮮魚コーナーにて、
生きた沢蟹が売られているのを
見かけた話を書いた。
あれから主人より
「次の日には素揚げにすること」を条件に、
許可がおり購入した。

家に帰るなり早速パックから
シンクの金盥に開けてみると、
全部で15匹の沢蟹たちが
ガサガサと忙しなく動き回った。

ちょうど日本産の天然水を謳った
ミネラルウォーターがあったので
ふんだんにかけてやり、
水草を浮かべると
案外生き生きとし出す。
水が汚れれば沢蟹たちを一旦ざるに開け、
綺麗なものと変える。
雑食とのことなので、
試しにパンくずやご飯粒を与えてみると
ムシャムシャと貪り食い始めた。

そんなことをしているうちに
果たして自分が
沢蟹の下処理をしているのか、
もはや飼い始めているのか、
わからなくなっていた。
名前をつけようと私が言うと、
やめておきなさいと主人から制された。

しかしながら私は好奇心の塊である。
沢蟹を生きたまま熱い油へ放り込むと
たまらず鍋から逃げ出したりするなどと
知ったからにはやらずにいられない。
不穏な空気を察した沢蟹たちが、
小さなハサミでする無駄な抵抗を
どこか全能感に浸りながら、
180度の油へ放り込むと
予想外にも一瞬で沢蟹たちは動かなくなった。

塩をかけて食してみたが
蟹らしい旨味や濃厚さはなく、
殻のカリッとした食感を楽しめるのみで
少々期待外れであった。



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