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~スタッフブログ#13~中国の食品ロスについて

こんにちは。プロボノメンバーの、のえです。
今回は中国の食品ロスについて調べてみました。

中国のフードロスはどれほど深刻?


農林水産省によると、2020年に中国の食品廃棄物発生量は約1億300万トンに登っており、世界一位となっています。
これは2位のアメリカの1.8倍の量です。(出典:食品ロスの現状を知る(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html

更に、中国の主要都市にある飲食店では毎年1700万トンから18 00万トンの食品を廃棄しています。
これほどの食品があれば、3000万人から5000万人を養うことができると予想されています。(出典:China adds teeth to crusade against food waste with new law (Nikkei Asia) https://asia.nikkei.com/Politics/China-adds-teeth-to-crusade-against-food-waste-with-new-law

このように、中国のフードロスは非常に深刻な状況にあります。



中国では食べ残しが礼儀?文化と対立する食品ロス対策


そもそも中国には、「食べきれないぐらいの料理を提供するのがおもてなし」と考える文化があります。
おもてなしをされる側は、食べ残すことで「十分いただきました」という感謝の気持ちを表します。
要するに、食べ残すことが礼儀とされているのです。
これにより多くの食品が廃棄されることにつながります。

中国の円卓の様子。たくさんの料理がありますが、これらを少し残すのが礼儀だという文化があります。「遠慮の塊」という言葉がある日本とは真逆の文化ですね。(出典:日本と真逆!?中国では料理を少し残すのがマナー(オリーブオイルをひとまわし)

これに対し、中国では2013年には「光盤行動」という運動が広まりました。
光盤というのはお皿を空にするという意味で、与えられた料理は全て食べようという呼びかけをする取り組みでした。
しかし、この文化が根強く残っているため、あまり効果はありませんでした。

中国の本格的なフードロス対策が復活したのは最近のことでした。
習近平国家主席は、新型コロナウイルスの流行により農作物などの輸入品がなかなか手に入らない現在で食糧安全保障を保つには、国内の食品ロスを最低限に留めておくことが必要となると判断しました。
そして2020年、倹約と反浪費に関する重要指示が出されました。
これをきっかけに光盤の精神はまた復活しました。
(出典:中国のフードロス対策(自治体国際化協会北京事務所)

https://www.clair.or.jp/j/forum/forum/07_genba_1.pdf



光盤行動を促進するためのポスター。2020年に中国伝媒大学により作成されました。(出典:数智学院“光盘行动”系列活动(中国伝媒大学)

2021年には、「反食品浪費法」が可決されました。
これは食べ残しを禁止する法律です。
具体的には、飲食店で過剰に食べ残しをする客には店側が処分費用を請求できる、飲食店が客に適量以上の食品を注文させた場合は店側に罰金が生じる、動画共有サイトやテレビ番組での大食い動画の配信に対して罰金を請求できるなどの効力があります。
(出典:中国で「食べ残し禁止法」が可決。食品ロス削減へ (IDEAS FOR GOOD)



反食品浪費法の具体的な内容。違反した際の罰金はかなり重いですね。(出典:大食い動画にペナルティ…中国政府の取り組みに注目があつまる一方、都民1年分の食糧をムダにする日本は取り組みに遅れ?(ABEMA TIMES)


最後に


このように、新型コロナウイルスの流行により自給が求められたことがきっかけとなり、中国の食品ロス対策は効果的に行われています。
「もったいない」という日本は生産者を大切に思うのに対し、「残すのが礼儀」という中国はお客さんを大切に思う、という違いが興味深いと感じました。
また、個人的に特に印象に残ったのは大食い動画に関する処罰です。
日本ではバラエティー番組で大食いが大きな人気を誇っており、私自身も好きな芸能人の方が出演される際には楽しく拝見しています。
特に飲食店では大食いチャレンジを設けているお店がたくさんあり、エンターテインメントの一種として親しまれています。
中国の根強い風習が時代の変化と共に無くなろうとしているように、日本の大食い文化も無くなるのでしょうか。
それとも、お持ち帰りが可能になったり、次々と食べられる分だけ注文するわんこそばのような大食い競争に変わるのでしょうか。
今後日本の食品エンタメがどのように変わろうとも、「もったいない」という日本が誇る文化だけは忘れないようにしたいですね。

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