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パーソナリティと読書(人格の完成)

パーソナリティと読書(人格の完成)についてまとめてみました。


パーソナリティの翻訳語「人格」と「人格の完成」概念について

井上鉄次郎は、教育(能力開発”Education”の翻訳語)の目的を人格者=人格を完成した聖人 仏陀、キリスト、ソクラテスになることとしました。

大正期に大流行した「人格の完成」の方法論は「読書」という教養主義

教養主義今なお片鱗が残っています。

学生の読書量と自我形成の関係性https://www.tatsuki.org/DoshishaThesis3/thesis/2003/03_OFUKA.pdf

「読書と作文は「豊かな人間性」を育むためにある」という思想に基づく読書感想文について書いています。

パーソナリティは読書ではなく遺伝と環境で定まる

読書、パーソナリティの変化、成長、そして遺伝の関係については、多くの研究が行われています。以下に、いくつかの重要な研究結果をまとめてみます。遺伝的要因と環境的要因の影響: 性格形成における遺伝的要因と環境的要因の影響については、古くから様々な研究が行われてきました1。特に有名なのはミネソタ双生児研究で、一卵性双生児と二卵性双生児の性格の類似性を比較し、遺伝的要因と環境的要因の影響を調査しました1。この研究では、遺伝的要因が性格に大きな影響を与えると結論付けられました1
読書行動と家庭環境の影響: 子どもの読書行動に対する家庭環境の影響についての研究では、親が子どもに与える環境が子どもの読書行動に影響を及ぼすことが示されました2。また、子どもの読書量については遺伝的影響が示唆され、一方で子どもの読書に対する好意度には、親の認知する蔵書量が影響を及ぼしていました2
パーソナリティと遺伝の関係: 遺伝的要因がパーソナリティに影響を及ぼすことは、多くの研究で示されています1。しかし、遺伝的要因だけでなく、環境的要因もパーソナリティに影響を及ぼすことが認識されています1


これらの研究結果から、読書、パーソナリティの変化、成長、そして遺伝の関係は、複雑に絡み合っていることがわかります。遺伝的要因と環境的要因が相互に作用し、個々のパーソナリティを形成していくと考えられます。そして、読書という行動は、そのパーソナリティ形成に影響を及ぼす一つの環境的要因となり得るのです。

https://sl.bing.net/jrMZdlSmYe

読書の効用

フィクション上の読書の効用

フィクション上の読書についてみても、読書したキャラクターのパーソナリティに変化はみられないのは興味深いです。

ちなみにフランケンシュタインのクリーチャーが読んだのはミルトン『失楽園』、プルタルコス『対比列伝』、『若きウェルテルの悩み』でした。

フランケンシュタインのクリーチャーとターザンは、どちらも文盲から始まり、本を読むことで内面が変化するという共通点があります。しかし、その経験と変化の過程、そしてその結果は大きく異なります。

フランケンシュタインのクリーチャー: フランケンシュタインのクリーチャーは、最初は言葉を発することができない野生の存在でした1。しかし、彼は言語の技術や身体能力を獲得し、その過程で内面的に成長します1。彼は人間の社会と文化を学び、自己認識と感情を発達させます1。しかし、その知識と理解は彼に孤独と苦しみをもたらし、人間社会からの排除と拒絶に直面します1

ターザン: 一方、ターザンはジャングルで育ち、初めて本を手にしたときにはすでに成人でした。彼は自己教育を通じて読み書きを学び、その過程で彼の視野は広がり、彼自身のアイデンティティと人間性についての理解が深まりました。しかし、ターザンの場合、彼の学習は彼を人間社会に統合するための手段となりました。彼は自分が人間であることを理解し、自分の場所を見つけるために文明社会に参加しました。

これらのキャラクターは、知識と学習が個々の経験と認識をどのように形成するかを示しています。しかし、その結果は、彼らが直面する社会とその社会の受け入れの度合いに大きく依存します。フランケンシュタインのクリーチャーは、知識がもたらす孤独と疎外感を経験し、一方ターザンは新たな自己認識を通じて社会に適応する道を見つけました。これらの物語は、知識と学習が個体に与える影響と、それが個体と社会の関係にどのように影響するかについて、重要な洞察を提供しています。

https://sl.bing.net/eQ9qTicBk7g

フィクション作品の読書は共感が向上する

読書の効用が全くないかというと、そうではありませんでした。

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