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これからの「カフェの経営」を考える

暮らしの発酵所かもノすは、ざっくりいうと「カフェ」「ランドリー」「ゲストハウス」を組み合わせた空間になる予定。そのなかで経営的にいちばん難しそうだなと思うのがカフェです。

飲食業界の売上は「客単価×座席数×回転数」で考えるのが通例です。

例えば「15席」のカフェで、コーヒー「500円」を提供します。お客さんが2時間で入れ替わるカフェ①と、30分で入れ替わるカフェ②では、売上の差はどのくらいになるでしょうか。

計算を単純にするため、仮に1日8時間きっちり満席が続いたとします。

そうすると①の売上が「500円×15席×4回転=30,000円」なのに対して、②は「500円×15席×16回転=120,000円」になります。

パッと見たらおなじように満席のお店でも、売上は実に4倍の差です。

両者の違いはお客さん1人あたりの滞在時間。

座席数には上限があります。だから回転数で売上を伸ばす。そういう理屈です。

カフェ経営のジレンマ

では、①のカフェはどうすればいいのか。

最初の計算式の「客単価」か「回転数」を上げるのが基本です。コーヒーのおかわりを勧める、焼菓子のセットを用意する、混み合う日は時間制限をする、椅子の座り心地を落として長居できなくする。考え方はいろいろあります。

いっぽうで、お客さんは「コーヒー1杯ですごせる居場所」を求めてカフェを選んでいたりします。「お腹は減ってないし、コーヒーだけ頼んで作業しよ」とか「遠出は疲れるし、カフェでのんびり読書でもするか」とか。

内向的でインドアな最近の少食男子に多いパターンです(わたしです)。

ほかにも、デートの途中でちょっと休憩と思ったけど、おしゃべりが弾んで2時間も経っちゃった、なんてこともあるかもしれません。

でも、そんなお客さんの満足に応えていたら、儲からない。潰れてしまう。

それが、カフェ経営のジレンマです。

「器」としてのカフェ

ところがです。かもノすでやりたいことって、どう考えてもこの理屈のうえでは儲からないほうになるんですね。潰れそうなほうが、楽しそうなんです。

でも「儲からないから、やめとこう」とは思いません。人の集う「器」としてみたとき、カフェという空間のもつ潜在的な力に価値を感じるからです。

かもノすの目的は「ともに文化をかもす」という希望のもとで、あなたとわたしの暮らしの交わり(発酵)を探究すること。そのために、だれもが自由にくつろげるカフェという「器」をつくり、まちにひらくことこそが重要なのです。

そんな話が、こちらの記事でも店舗デザイナーさんの視点から考察されていました。精神的な豊かさが求められる時代。これまで以上に、居心地やコミュニティを重視する「器」としてのカフェは増えていきそうです。

でも、そうはいっても。

まったく儲からないのでは続けられないよなぁ…。

「器」は本当に儲からない?

飲食業の売上の理屈から外れたら、飲食業として儲からないのは当然です。それでもカフェという「器」が欲しいのだから、それはしかたない。

でも「器としてのカフェ」で利益を出すこと自体を諦めるべきでしょうか?

そんな事はないはずです。「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」と、たしかドラッカー先生も言っていました(※言ってません)。儲からない理由を突き止めれば、おのずと解決策も見えてくるはずです。

では「器としてのカフェ」が儲からない理由は何か。

僕は「提供する価値」と「受け取る対価」が連動していないからだと考えます。

「器」の価値と対価

商売の基本は「お客さんが求めている価値を提供して、その質と量に連動した対価を受け取ること」だと思います。

普通の飲食業であれば「価値」は「食事」です。

それは単に食べ物を指すこともあれば、店内の雰囲気やサービスを含めた食事のプロセス全体を指すこともあるでしょう。ともかく、飲食業ならば受け取る「対価」は「食事の質と量」に連動して上下します。それが基本です。

では「器としてのカフェ」はどうでしょうか。

僕の考えでは「価値」は「時間」です。

それは食事の時間かもしれないけれど、そうでないかもしれません。大事なのは、作業、読書、おしゃべり……用途が何であれ、お客さんが心地よくすごせる時間があること。その「時間」こそが「器」の提供する価値ということです。

そう考えると「器としてのカフェ」を単純に「飲食業」と捉えるのは不自然な気がしてきます。カレーの注文と、コーヒーと焼菓子の注文。すごす時間が長いのはどちらでしょうか?その注文で価値に連動した対価が受け取れるでしょうか?

提供する価値が「時間」なら、その対価も「時間」で受け取るべきなのです。

カフェの再発明

そうなると、従来の飲食業の常識から抜け出して、まったく別の発想で「新しいカフェの経営」を設計する必要がありそうです。

つまり「カフェの再発明」をするということです。

とはいえ、最新のIT技術やスティーブ・ジョブズのような店長はいりません。ようするに、お客さんの滞在時間に対して何かしら課金できればいいのです。例えば漫画喫茶やカラオケは、もともとそんな仕組みで営業しています。

実際にそんなカフェないかな?と探したら、やっぱりありました。

変則的なお席料制を採っており、コーヒー1杯でも気兼ねなく何時間でも過ごしていただけるような仕組みになっています(大発明)。

時間制を謳っているわけではないですが、実質的に1時間あたり数百円の対価を受け取る仕組み。まさに「カフェの再発明」だと思います。

かもノすのカフェの経営を考える🦆

最後にかもノすで検討している「カフェの再発明(案)」を雑にご紹介。

① 1時間あたり数百円の席代(時間の計測方法をひと捻りする予定)
② 飲食メニューは原価+αで提供(普通のカフェの席代相当分を値引)
③ 一定のルールのもとで持ち込み自由(アルコールもOK!)

文章だとイメージしにくいかもしれませんが、これがうまく機能すれば、かもノすならではの居心地(=時間)が提供できるのではないかと期待しています。

新しいカフェの経営のかたち、まだまだ考えられそうです。

みなさんはどう思いますか?

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