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親友に大好きなnoteを読んでもらった。

 私には、私の大好きな文章を書いてくれる友人がいる。そんな友人の書く文章の中でも、特に印象深い作品を親友に読んでもらった。

読んでもらったのは次の作品。今回は本人に、紹介する許可をいただいた。

「なんというか…」

 読み終えて、私のスマホ画面から目線を外した親友は、真っ直ぐに正面の私を見た。親友の目の色や表情からその明るさを確認して、私は親友の次の言葉を期待する。

「めちゃくちゃ、ほんまに、分かりやすい文章やな」

 私の文章には主観的な癖が抜けない。親友曰く「りなのことを知っているから理解して読めることが多い」そうだ。
友人__優香の文章にはそんな主観的な癖がない。

「俺はこの人と一回も会ったことないのに、書いてる内容が全部分かる。
情景的な、事実の部分もそうやけど。感情的なところも、真っ直ぐで分かりやすい言葉ばっかりやから、めっちゃ伝わってくる」

 あまりにも分かりすぎて、不思議な感覚になるよな__私がそう同調すると、親友は力強く頷いた。

 私はあまりにも嬉しくなった。実を言うと、親友から感想をもらうまで少しだけ不安だったのだ。
優香と私は好きな作家や作品の共通点がいくつかあるけれど、親友と私はそういった共通点がない。親友とは趣味や嗜好を理解しあっているけれど、共有し合ったことはほとんどなかった。
だからもし、親友にこの文章の__優香の素晴らしさを理解してもらえなかったら、どうしようと。私はひどく悔しい思いをしただろうし、何よりその場で親友に気を遣わせてしまうことが嫌だった。

 でも私を見る親友の表情は、曇りなく明るい。読み終えた余韻を噛み締めているのも分かる。私は1人でに、気分が高揚するのを自覚した。

「そう。優香の文章はほんまに分かりやすくて、そもそも言葉の選びかたが好きで__日常の切り取る部分といい、描写のしかたといい、ことごとく私の好きを拾ってくれるんよな。読んでたらいちいちときめく。
 羨ましい…うん、羨ましいな。私もこんな文章書いてみたいって読むたびに思う。これが憧れなんかな、初めて人に憧れたかも」

 そんな風に、私は一息で語った。ふと意識を親友に戻したとき、親友はひどく優しい表情をしていて__私も頬が緩んだ。

 あぁ、好きだなぁ、と思う。こういうとき__わざわざ外に出て飲みに来てまで、私がスマホ画面を押しつけるようなとき__でも、親友は嫌がるそぶりを見せたことがない。
そういえば、大学時代の頃にも似たようなことがあった。5〜6人で一人暮らしをしている友だちの家に集まって酒を飲んでいるとき、私が酔った勢いでギターを弾き始めたのだ。みんな各々の会話を止めることはなく、BGM程度にしか存在感のなかった私の横で、親友は静かに耳を傾けてくれた。

「これな、私が作った曲やねん」
「そうなん?すごいやん」

 あのとき、そうやって言ってくれたときも、親友は今のように優しい表情で笑っていた。

 大好きな親友に、大好きなものを伝えられた幸せ。私が親友に伝えられる「大好きなもの」を持っている幸せ。
あぁ、この瞬間は絶対に文章にしようと心に留めた。


「あ、そういえばこれどう思った?」
「どれ?」
「優香が書いてる私の印象。『飾らない人柄と真摯な考え方』ってところ」

 ただ好奇心として、気になった。

「あぁ、その通りちゃう?」
「え、そうなん!?」

 親友は、驚く私に不思議そうな顔をした。

「だって飾らんやん。自分を周りによく見せようとか意識なんかしたことないやろ?」
「そりゃあ、まあ」
「まぁ見てて、もうちょっと飾れよ、と思うことあるけどな」

 嫌味をこめた親友の言いかたに、私はあからさまな反抗の姿勢を見せる。こんなじゃれあいを出来るのも親友だけだな、と頭の中でだけ言葉にした。


優香、本人おらんところで勝手に話題にしてごめんよ…
許可くれてありがとう!

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