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人の記憶の中を記録する~南国のツーリング編~
僕は、四半世紀に及ぶ付き合いの友人ポップに、「俺の旅を記録してくれ」と頼まれることになる。
ポップという名の彼は、石垣島の旅の初日に出会ったその日が旅の最終日である女性から、「行って欲しいところがあるの」とバトンを託された。
そして、今回の話だ。
「ポップ。君はそしてバイクに跨がった。行き先はどこだったんだい」
僕は彼の話に興味がないふりをする予定だったのだが、彼はいつも僕の好奇心を根こそぎ持っていく男だった。
「コニシ。行き先を最初に告げる旅なんて今までしたことないし、俺には出来ないんだ。順番に話をさせてくれ」
彼はそう言って、深くレモンサワーを呑んだ。
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食べ放題大好き
「俺は宿泊するホテルを旅の期間中変えなかった。それがなぜだか分かるかい」
彼は、僕が答えようとするのも待たずに答えた。
「朝食にマグロのお刺身、ネギトロ、そして海ぶどうが食べ放題のバイキングだからだ。朝食が食べ放題ならそこに帰ってくる。旅の鉄則さ」と彼は証言した。
彼は、朝食を堪能し食欲が満たされたのを確認してから、自問自答をしたと証言した。彼は女性から受け取ったバトンをゴールまで持っていこうとこの時確信したのだと証言した。
彼が目指したのは、石垣島の最北端のビーチだった。彼は南の島へ来たのに、その島の北へ向かうということにロマンを感じたと証言した。彼はHONDAのPCX125に跨がり、アクセル全開で北を目指した。石垣島は、一周約3時間ほどで出来るらしい。
彼は久しぶりに乗ったバイクで、驚くほど街が静かだと気付いた。約5万人ほどの住民がいるのだが、北へ向かう道には彼の他に誰もいなかった。人がいない自然の中にいる静けさは、普段の生活では自分のことで精一杯で、聞こうともしない周りの声を自然と集中して聞くようにしてしまう。静けさのなか聴こえる鳥の声が少し怖く感じたほどだったと証言した。
僕は急なポエマーが出てきたと思っている。
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南の島の最北端
彼はその日が旅の最終日だった初対面の女性から「見たら涙が止まらなくなった」と教えられたビーチに行った。
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号泣ビーチ
彼は、女性が彼に何を伝えたかったのかを軀で感じようとしたと証言している。彼はその象徴として体育座りを高校以来してみたという。
およそ10分もの間。座ってみたと証言している。
彼の感想は、「本当に何も思わなかった」と証言している。その彼の姿を見ていた地元の人達が世間話をしながら彼の前を通り、
「うるさくしてごめんなさいね」
と、気遣われたと証言している。まさか何も思わない結末を考えてもいなかった彼は、とにかく焦ったと証言している。焦ってバイクに跨がって頭の中に尾崎豊が流れて来たと証言している。
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お楽しみください
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思い馳せてください
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感じてください
彼は久しぶりのバイクから感じるままに風を浴び走り、昨夜の呑みすぎ、朝食の食べ過ぎからお腹が痛くなったと証言している。そして近くにあった施設に入ることになったと証言している。
彼は入場料300円を払い記念館へ入ったと証言している。石垣島には天然のヤシの木が見事に群生しているという。
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爬虫類もセットで見たいね
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ジュラシックパーク
彼はここで、女性に話しかけられたと証言している。現地の人なのか、スタッフだったのかは、不明だと証言している。
「この周辺のどっからでもヤシの木は普通に見えるからね。あんまりここには人が来ないのよ」
彼は冷静に核心を毒づいてくる女性に興味が湧いたと証言している。
僕はこういう人間っぽい話が大好きだと思っている。
彼はこの女性と約30分話したと証言している。その内容は、人生のFIRE目指して頑張れとひたすら応援されたと証言している。
彼はなんなら目指しても良いかなと、南国から飛行機通いで仕事もまんざらでもないなと感じたと証言している。その時は、なぜか成功する気持ちになれていたと証言している。
ここで、彼は一つの約束を実行したと証言している。東京にいる蝶に川平湾に行くと約束したことを思い出したという。
川平湾は石垣島の屈指の観光スポットで人が多い。約30人乗りのグラスボートに42歳の男が単身乗り込んだと証言している。ここぞとばかりにはしゃぐカップルの男を見て、心底ああはなりたくなかったが、ああだったなと悲しくなったと証言している。ちなみに目線を悟られないサングラスは、42歳の南国1人旅には必須だと証言している。そして、彼は船酔いしたと証言している。
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船酔いの42歳
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カップルの男への邂逅
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サングラス越しではわからない美しさ
彼はカップルだらけの観光地で急に家族を思い出したと証言している。
僕はさっきまでお前は、蝶との約束をこなしてたじゃないかと思っている。
近くにあった夜光貝のアクセサリーショップに入店し、妻と娘にお土産を購入したと証言している。
「コニシ。この後、俺はホテルに帰り夜の街へ出る。どうしても行きたかったお店だったんだ」
「どうしてそれをもったいつけるんだい」
僕は彼に尋ねた。
「うまく説明出来ない。とにかく聞いてくれ。記憶もあまり定かではなく、さらに写真もない。それでも良いか」
「それを話したかったんだろ」
なんのはなしですか
旅はクライマックスを迎える。写真もない。証言のみ。要するに自由に書いても良いってことになる。
僕は、それを楽しみだと思っている。
自分に何が書けるか、何を求めているか、探している途中ですが、サポートいただいたお気持ちは、忘れずに活かしたいと思っています。