ニューケインジアンの金融政策無効論、MMTの金融政策無効論
こんにちは、私は望月夜、あらため、望月慎@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧)
以前(2019/7/23)、AWニュースWeekly(ニコニコ動画・YouTube)の方でModern Monetary Theory(MMT)について語るという議題で出演させていただいたのですが、次回、2019/9/20(金)にて2回目の出演を予定しております。
次回出演時は、以前時間が足りず語れなかった『MMTによって防がれる様々な誤謬』(参考:Modern Monetary Theoryの概説(note版))について論じさせていただく他、上記議題、即ち『ニューケインジアンの金融政策無効論、MMTの金融政策無効論』についても論じさせていただくこととなっております。今回はこのテーマについて、出演番組で使用予定のスライドを交えつつ論じていこうと思います。
1.ニューケインジアンの金融政策無効論
……ニューケインジアンにおける量的緩和無効論
まず確認しておきたいのですが、ゼロ制約(名目金利のゼロ下限制約)における金融政策(この場合はいわゆる量的緩和のこと)が無効になるというのは、MMTに限らず、ニューケインジアンでも成り立つ話です。それが論じられたのがクルーグマンの新しい流動性の罠理論(It's Baaack: Japan's Slump and the Return of the Liquidity Trap )でした。(あるいは、井上智洋氏のゼロ金利下で量的緩和政策は有効か? -ニューケインジアンDGEモデルによる「信用創造の罠」の分析- もこの文脈の議論でしょう)
クルーグマン型の不況理論については、平易に解説したものとして拙note『なぜ異次元緩和は失敗に終わったのか』、テクニカルに解説したものとしては拙note『アベノミクス(ないしリフレ派)の理論、及びその欠陥(マニアック)』をおすすめします。
掻い摘んで言えば、何らかの理由で将来の成長予想低下や借入制約の厳格化が生じる場合、消費と貯蓄の異時点間選択の理論に従い、潜在貯蓄需要を満たすだけの投資水準を維持するためにマイナスの実質金利が必要になる、というのがクルーグマン型の不況理論、流動性の罠理論の骨子です。
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