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しんどいときは、そばにいて

桜のつぼみもほころび始め、保育園の入園もいよいよ。
今回は保育園生活とは切っても切り離せない、子どもの発熱時や体調不良時について知っておいてほしいことを書きました。

「 こんなときにかぎって…」 保育園からの電話

母子免疫も切れて初めての集団生活。
保育園では子どもの体調不良はつきものです。
久々に仕事に復帰して、まわりからもいろいろフォローしてもらって、さあ頑張らねば!そう気を張っているところに急に保育園からの電話。
ギクッとして電話出たら、「 お熱が出たのでお迎えお願いします。」

「 ああ…やっぱり…(涙目)」

これまた大事な会議や抜けられない仕事があるときにかぎって、かかってくるものなんですよね。

職場復帰したばかりでもうこれ以上まわりに迷惑をかけられない、そう焦る気持ちもわかります。よりにもよってどうしてこんなときに、そうがっくりくる気持ちもわかります。
もう休めないのにどうしたらいいのか、やり場のない苛立ちや怒り、どうにもならないモヤモヤ。
ちょっとくらい体調不良でもあずかってよ…。
そう思われる気持ちも痛いほどわかります。

保育園で働いている保育者自身も同じように家族をもち、子どもや家族の看病や介護に頭を悩ませている人が多いのです。

本当に悩ましい問題ですが、ここまでは大人の立場でのものの見方です。
では、子どもの立場から見るとどうでしょうか。


子どもも大人も、しんどいときは安心できる場所ですごしたい

発熱お迎え車中

幼い子はただでさえ自分の身体や心を自分でコントロールする術をまだ身につけていません。体調不良となると、それはなおさらです。
大人みたいに「 頭が痛くて…」とか「 体がだるくて食欲が全然ない 」とか、そういった言葉での表現もできないので、些細なことにも反応してぐずぐずと泣くばかりです。
いつもなら楽しく頑張れることも、ちっとも頑張れないのです。
普通の状態でも先を見通す力はまだまだ発展途上の子どもたち、体調が悪いとこの先自分がどうなるのか不安で心細い思いでいっぱいになるのでしょう。

そんなときに、少しでもヨイショが必要な場所にいたいでしょうか?
ただでさえコントロールがきかずに不安なところを、さらに緊張が強いられたり頑張りが必要な場所にいたいでしょうか?

なにも気にせずに心の底からくつろげる場所で、安心して甘えられる人にゆっくり静かにかかわってほしくないでしょうか?

この気持ちは、小さな子どもも大人もそうは変わらないと思うのです。


しんどいときにそばにいることは、なにものにも代えがたい大事な仕事

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しんどいときに大切な人がそばにいてくれた経験は、かならずその子のなかに残ります。
しいどいとき、心細いときに寄り添われケアされることによって、自分は大切に守られているという安心感、信頼感を得ることができるのです。その感覚は、その子が自分自身を大切に扱えるということに繋がっていきます。
そしてその子自身もまたしんどい人の気持ちがわかり、その人に寄り添えるようになることに繋がっていくのです。

このように、しんどいときに大好きな親にそばにいてもらうことは、子どもにとって大切な経験のひとつなのです。

心の成長は目には見えませんが、体調不良でお迎えのお願いの連絡がきたときは、今この子の自己肯定感やほかの人の苦しみに寄り添える優しさを育んでいるんだと、そしてそれはなにものにも代えがたい大事な仕事だと、少しでも前向きに感じてもらえたら嬉しいです。


休むときはじっくり、余裕をもって

また、体調不良時の休みかたにもすこしばかりご注意を。
熱が下がったからといってすぐに登園すると、けっこうな確率でぶり返してその日のうちにまた早退、ということが多いのです。
「 まだちょっと機嫌が悪いけど、熱は下がったな。これくらいなら大丈夫かな?」というときは、とくに要注意。
けっきょくずるずると中途半端に登園と早退を繰り返すことになり、親の精神的な負担が倍増することになります。

子どもの体調不良時は、状態にもよりますが、余裕をもって2,3日くらいは様子を見れるように心づもりしておいた方が無難です。
思いきってしっかり休むほうが、その後すっきりと登園を再開できることが多いです。


家族の体調不良で休める人間らしい社会に

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こう書いてしまうと、けっきょく親の負担は避けられないじゃないかと思われるかもしれません。

でも、子育てで重要な時期はその後に続く長い人生を思えば、ほんのいっとき。子が成人になる20歳( 来年には18歳になるのでしょうか )までのうちの、特に乳児期をていねいに大切に過ごすことが重要だと言われています。
こういう言い方は無粋ですが、人間としての根幹をつくる乳児期のかかわりが一番費用対効果がいいことは証明されていることでもあります。
大きくなってから取り返そうとしても、そこには気の遠くなるような負担がかかるということも人間の発達にはあるのです。

今は葛藤や苦しみのさなかでも、ふりかえればあっという間のこの時期を、子どもにじっくり向き合ってあげてほしいと思います。

そうは言っても、なかなかそれを許してくれない現状であることも承知しています。どうにもしようがない人のために、病児保育はもっと整備されるべきだと思いますし、はたらく親を支援する制度やサービスはもっともっと必要だと思います。

でもなによりもその前に、今社会を回している私たち大人がかつては自分自身も誰かにケアされてきた子どもであったことを思い出し、家族の体調不良でも気兼ねなく休むことができる人間らしい社会にすこしずつでも変えていけたら。
そんな風に願っています。

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