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ユング心理学 シャドーとペルソナ ヒプノセラピーepisode🥀10

前回に続き、ユング心理学に絡めてヒプノセラピーについて考えてみたいと思います。

ユングの提唱した概念の中でも、特にシャドーとペルソナは日常生活の中で実感しやすいものではないかと思います。日本語に訳すと、シャドーは影、ペルソナは仮面となります。

ペルソナは仮面、もしくは、役割とも言い換えられます。例えば、私たちは皆様々な役割を持っています。娘であったり、息子であったり、母親、父親、夫、妻、兄弟姉妹、孫、祖父母、友人、先生、教授、生徒、経営者、会社員、上司、後輩、同僚などなど。そして、時と場合に応じて、母親の顔、妻の顔、会社員の顔、と様々な仮面を付け替えながら日常生活を送っており、それは自分を取り巻く人々、社会に適応した自然な姿と言えます。

ペルソナは基本的に、性別や年齢、仕事や家庭での立ち位置、過去の経験に強く影響を受けているもの、と理解できます。本来ペルソナは、その人の全人格の中のある一部分なのですが、ペルソナと自分自身を同一視しすぎると、本来の自分が分からなくなることがあります。例えば、「自分が本当はどうしたいのか分からない」「自分らしさって何?」「何をしても充足感が得られない」等という思いを抱く時、ペルソナの問題が関わっいることがあり、ペルソナの背後にある自分自身との繋がりが薄くなってしまうと、ペルソナが自分のアイデンティティのように感じてしまうこともあります。

逆に言えば、自分がどんなペルソナを持っているかを理解し、そのペルソナを持つために手放しているもの、諦めているもの、否定しているものがあるか、あるとしたらそれは何か?を知ること、そうしたらそれはシャドー影に関わる、ある見方を提供してくれるかも知れません。

シャドーは影と訳されますが、簡単に説明すると、自分が自覚していない自分自身、もしくは、自分が自分と認めていない自分自身、と言い換えられます。この影という概念はとても面白くて、心の中では、無意識の部分を指します。子供の時から、世間的によくないとされていること(例えば恥や罪など)や、自分の嫌な面(引っ込み思案など性格の一部分)を、抑圧(意識から締め出して、無意識の中に押し込めること)することを繰り返していると、無意識の中に、自分が否定した自分自身が影として存在し、影があたかも一個の人格を持った存在であるかのように振る舞うことがあります。また、影を他人に投影(本来自分内側にあるものを、あたかも外側にあるものとして見ること)し、過剰に反応したり、感情的になったりします。

心理療法では、影を自覚し、受け入れ、自分自身と統合することが一つの道筋として知られています。夢分析が役立ちますが、実はヒプノセラピーも、この影に取り組むための非常に良い手段と言えると思います。次回、このあたりについて詳しく説明したいと思います。

セラピールーム アウロラ
渡邊真理乃
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