見出し画像

新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

10.反応

警察官がやってきてからは、鑑識などによる現場検証やロンドたちや事務局員からの聞き取り調査が行われた。血液が付着した車は証拠品として押収されるため、女性には代車が用意される。並行して周辺の捜索活動もされたが、凶器や不審な人物、怪我を負った者など事件に関係しそうな手掛かりは一切発見されず、一通りの確認を終えると彼らは速やかに去っていった。気付けば時は過ぎ、もうすぐ正午になろうとしている。

 じゃあ私はこれで失礼するわね。まだ事件が解決したわけじゃないし、あなたたちは呉々も気をつけて。

 はい。僕たちに関わったせいでご迷惑をかけてしまいすみませんでした。

 何度も謝らないで。私の意思であなたたちをここに送り届けただけよ。

事務局員たちは"報告"があるということでしばらく席を外していたため、3人で女性を見送ることにして共に車が停めてある場所向かう。女性は事件の顛末が気になるようで、何か進展があれば連絡することを約束してソナタと連絡先を交換した。

 送ってくれてありがとう。私の実家は近くよ。何かあったら駆けつけるから連絡してね!…って言ってもあなたたちなら私なんて足手纏いか。

 ありがとうございました。事件の進展があれば連絡します。もしかしたら犯人は近くに潜んでいるかも知れません。どうかお気をつけて。

 ええ。そうね。さっき実家に連絡して、誰か訪ねてきても絶対ドアを開けないように言っておいたわ。

 うん、それがいいねぇ。

女性は車に乗り込みシートベルトを締めるとニコッとしながら手を振り去っていった。ロンドたちも同じく、車が見えなくなるまで見送った。それにしても不可解な事件であり、車に付着した血液以外の情報は何もないため彼らも捜査を諦めた…かのように思われた。

 血痕は採取できてるね?

 あぁ、もちろぉん。

 お。ちょうど来たみたいだ。

一台の車がこちらに向かってやってきて3人の目の前で停まった。運転席の窓が数センチ開きロンドは旧友から受け取った血痕を隙間から入れるとすぐにエンジンがかかり車は去っていた。彼らはそのまま立ち話を続ける。

 挨拶もなく行っちゃったわね。

 そりゃそうさ。いつ誰に見られているか分からない。民間の、しかも殺人専門の調査会社の社員はそう簡単に素性は明かさない。自分を守るためにもね。

 違法なことも色々やってるでしょうしね。血痕の情報から誰の血液か特定するなんて民間企業じゃできないはずだわ、普通。

 …さて、あまり戻るのが遅くなると怪しまれる。監視カメラの数や位置も把握できていないから手短に状況を整理しよう。

 オーケェー。血液の状態や色から、車体に付着して間もないことが分かるねぇ。人血検査の結果は出ていないから人の血だと仮定すると、飛び散り具合や出血量からは生きている人間をお互い立った状態で鋭利な刃物で切り付けたことによるものと見られるねぇ。これだけの血が1人の人物から出たんだとしたら致死量…そして犯人もかなりの返り血を浴びているはずだぁ。

 でも警察の調べでは、凶器も人も何も出てこなかった。この事実から推測されることは…。

 よほど手際の良い者の犯行。僕らが車から離れ、そのあと君が起床して車から出て、僕らが戻るまでの数分間に被害者を現場で切りつけ、足跡などの証拠を隠滅して速やかに車に乗せ立ち去り、警察の周辺調査が及ばない遠くへ逃げ果せた。

 もしくは…まだこの近くにいるってことかしら。

 うん。もちろんその可能性もある。犯行後、倒れた被害者を担ぎこの建物内に侵入して隠れることだってできるからね。

 それにぃ…事務局や受講者の中に犯人がいるかも知れないねぇ。

 ああ。いまできる情報整理はここまでだ。うちの会社の鑑定結果が出ればかなり多くの新しい事実が分かると思う。それまでは、この建物の中に犯人がいる前提で、不審がられないように目立った行動は避けよう。じゃあ戻ろうか。

 ロンド、一つ気になることがあるんだけど…。

 なんだい?

 何であなたが仕切ってるのよ!リーダーは私でしょ?!

旧友は自分が言われたわけではないが体がビクッとなり、珍しく先頭に立ってそそくさと建物の入口へと歩き始めた。どうやらソナタの強い言葉と態度に恐れをなしているようだ。当の本人であるロンドはいつもどおりニコニコして特に気にしていない。ソナタにとってはその態度も気に入らないといった様子である。

#ロンドの旅
#ソナタの旅
#ロン旅
#ソナ旅
#ミステリー小説
#ソナタ
#ロンド
#カクヨム
#小説家になろう
#金賀こう
#斉田キョウ
#ミステリー
#小説
#新感覚
#新感覚解決しないミステリー
#解決しないミステリー
#解決しないミステリー小説
#キョウ
#こう
#メライ
#バルカ
#インスタ小説
#japanesenovel
#konovelchannel
#moteruchannel
#RondosJourney
#mysterynovel
#mystery
#novel
#モテルちゃんねる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?