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新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅 Chap2.アントワープの事件

3.草臥

やれることをすべて終えソナタは部屋を後にし、監視カメラの位置や周囲の足音、声などを気にしながら見つからないようこの建物からの脱出を図る。幸いなことに早朝なのか深夜なのか、人の出入りは多くないが、自分を殺人現場に放置した人物に常に監視されている可能性は拭いきれない。自身の衣服にGPSの類が付けられてないことは確認済みであるが最新の注意を払い行動するべきであろう。

ソナタの中で今後やることは明確であった。この事件の真犯人を探すと同時に、ルンビニの事件を含めた黒幕の存在を明らかにすることだ。それにしてもまずは栄養補給をすることが最優先事項である。何日間眠らされていたのかは分からないが、常に目眩がするほどフラフラでいますぐにでも倒れそうだ。途中トイレで手に付着した血液を洗い流すと共に水分だけは口にすることができたが、どこも消灯されて真っ暗で巨大な施設を、人目を憚りながら彷徨い続けるのはたとえソナタであっても骨が折れる。

満身創痍の状態で何とか出口と見られる扉にたどり着き外に出た。辺りはネオンの光で明るく照らされている。時間は分からないが人通りは少なくなく、ヨーロッパでよく見られる建築物の飲食店が軒を連ねていて、看板にはオランダ語が目立つ。どこでもいいので今すぐにでも店に入って食事を注文したいのだが金銭を一切持ち合わせていない。コトの経緯を説明することができない以上、警察や病院へ行くこともできないので飲食を諦め、捜査で得られた被害者の自宅と思われる住所に向かうこととした。語学堪能なソナタは道ゆく人に現在地と目的地へのルートを確認する。どうやらここはベルギーのアントワープのようだ。

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