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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

8.慄然

旧友が座っていた助手席側のドア外面全体にベットリとした赤いものが大量に付着している。ロンドが鼻を近づけ確かめると血のニオイがした。ドアやその周辺をよく見ると地面も含めて飛び散ったようなあとがあるためここで人が刺されたのか殴られたのか…そんな憶測がされる状況である。

 もうすぐ時間になるね。ひとまず僕らだけでも集合場所に向かおう。そこで状況を説明して警察を呼んでもらおう。

 そうね。私たちだけで彼を探すよりそのほうが良いわ。…こんなことに巻き込んでしまってごめんなさい。

 そんなことより、まずは彼のことが心配だわ。私も一緒に行って探すのを手伝うわ。

 …すみません。助かります。

3人は現場を保存するため車を置いて歩いて目的地へ向かった。とは言っても案内に書かれている集合場所はすぐそばであり、そこに近づくと数名の人間が立っているのが見える。すると、明らかに子供のような小さい体格の人物が小走りで彼らの元に駆け寄ってきた。

 ロンドォ、ソナタァ、俺を置いてどこに行ってたんだぁ?

 …良かった!無事だったんだね。怪我は?

 無事ぃ?怪我ぁ?何かあったのかぁ?

 ええ、彼女の車のドアに夥しい量の血液のようなものが付着していてね。私たちはてっきりあなたの身に何かあったのかと思って心配していたの。

 おぉ、それはやばいねぇ。どっかの誰かさんが今ごろ大怪我してるのかもしれないってことかぁ。俺は見てのとおりどこも痛くないよぉ。

 まずは良かった。これからけんしゅ…合宿の事務局にお願いして警察を呼んで、現場をよく調べてもらおうと考えていたんだ。

 それならあそこの人にお願いするといいよぉ。

旧友は3人を先導して初老の女性の前で立ち止まる。ロンドとソナタが顔を見上げ目を合わせると、背筋がゾクっとなると同時にとんでもないオーラを感じ、思わず数歩後ろずさんだ。この気配は良いものではなく明らかに悪い何かだったのだが当然目に見えるものではなく、言葉で説明できるものでもなかった。だが2人が同じもの感じ取ったことだけは事実で、顔を見合わせてお互いにそれを確認しあったのだ。

 おい、2人ともどうしたぁ?この人が事務局の方だよぉ。

 …初めまして。ロンドさん、そしてソナタさん。そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。噛み付くなんてことはしませんから。

若々しい透き通った声と口調で上品な言葉遣いが、より不気味さを増長させる。旧友は何も気付いていなさそうなところを見ると、必ずしも全員がこの"特別な何か"を感じ取っているわけではなさそうだ。

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