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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

9.波動

 は、初めまして。あの…ここに来る時こちらの女性の車に乗せていただいたのですが、少し車から離れて戻ってくると、車体に大量の赤い液体が付いていました。人間の血液ではないかと思っています。

 それは大変ですね。すぐに見にいきましょう。

ロンドは珍しくたじろぎつつ状況を伝えた。初老の女性がほかの事務局員と見られる人間に一言告げたあと、5人は車を止めてある場所へ向かう。道中では、女性がいるため"上"に関する会話は控え、当たり障りない言葉を交わした。ロンドたちは青空の下、野鳥や虫の鳴き声が聞こえる自然豊かでのどかな風景と、気温も湿度も高くなく過ごしやすく居心地が良い環境の中で、さっきの一件がなければ平和に研修が始まっていたのではないかと思いを巡らす。

 …たしかにこれは人間の血液のようですね。この量が1人の人間から一気に噴出したのであれば致死量でしょう。

 はい。僕は殺人事件専門の調査会社に勤務していて、このような現場に遭遇することもあります。鋭利な刃物でかなり深く広範囲に斬られなければこんな風に大量の血は飛び散りません。

 ロンドさんの経歴は伺ってます。警察もすぐには来れない山奥ですし、頼りにしていますわ。

傍から見ればおばあちゃんと孫が会話しているように映るのだろうが、関係性は研修の事務局と受講者、内容は殺人事件と思われる事象の考察である。

 まずは警察と、大怪我をしている方がいるかも知れないので救急車を呼びます。あと、ここまでの経緯を話してもらいたいのであなた方には途中から研修へ参加してもらうことにしましょう…そちらの女性も飛んだことに巻き込まれてしまいましたが、止むを得ません。同行していただけますか?

 はい…分かりました。

女性は当初実感が湧いていなかったが、時が経つにつれことの重大さをヒシヒシと感じ始めた。あの時この子たちを乗せなければいまごろ…という後悔が先に立つことはない。初老の女性は事務局員へ電話をして5人のもとへ呼び寄せた。現場の見張りを彼らに任せ、警察が来るまでは建物内の居室で待機することにした。

 ねぇ、研修ってなに?塾の合宿じゃないの?

 ああ。この塾では合宿のことを研修って呼んでいる…ただそれだけのことよ。

ソナタは入口へと向かう道中に小声で話しかけてきた女性に対し至って冷静に、さも当たり前のように不可思議なことを言い切る。そんなテンションで言葉を返せば人間は案外違和感に気付かないこともある。建物の入口に着くと他の受講者と思われる人間が複数立っていた。全部で10名ほどだろうか。数名で話している者もいれば、1人の者もいる。ロンドたちは彼らを横目に初老の女性に先導されながら中へと進む。目に飛び込んだのは一般的なオフィスのエントランスだ。受付ではユニフォームに身を包んだ2人の女性が笑顔で迎えてくれた。そのまま5人は受付の隣りにある部屋へ入室する。5人ほどが座れそうな革製のソファが向かい合い、その間にはガラスのローテーブルが置かれた広めの応接室だ。

 警察の方が車で皆さんはここでお待ちください。いま飲み物を持ってきますね。どうぞお座りになって。

ロンドとソナタはここに来る間も不気味な黒いオーラを強く感じていたが、彼女も"上"による特別な訓練を受けているのだろうか。

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