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ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件10.隠匿

 なぜそこまで言い切れるのです?

 ここまで来られて体感されたと思いますが、弊社のセキュリティは一般的なオフィスビルよりもかなり強固であることはお分かりでしょう。そして、その人気者は…この中で生活していたんですよ。

 ほう…つまり、誘拐事件だとしたら、犯人はセキュリティを突破できる内部の人間である可能性が高いということですね。

 はい。ただ警察にこの話をしても、元常務はすでに社員ではなくカードキーや生体認証も突破しようがないので無関係であるとの見解でして。

 それは私も同じです。元常務を疑っている特別な理由がおありのようですね。

 …まず、このビルはエリアが3つに分かれています。事務所エリア、社長室エリア、居住エリアとね。事務所エリアの入退は社員なら誰でも権限を持ちます。社長室エリアの権限は私と、幸引さんをここまで案内した男だけです。うちの人気者は社長室エリアの権限はありませんが、居住エリアの権限があります。逆に私と男はここに住んでいるわけではないので、その権限はないのです。

 居住エリアの権限を持つのは1人だけ…特別待遇ですね。

 理由は簡単です。その人気者は弊社の大株主なんですよ。私は元常務の一件で失墜した信頼を取り戻すため、絶対的なインフルエンサーを擁立することを思いつきました。こうしてSNS 事業によって得た収益で株式を保有させ、他社からの買収を免れた。期待以上の成果を残してくれましたが、私が目にかけた人物がまたもやトラブルに巻き込まれるとは…"歴史は繰り返す"どうやら迷信ではなかったようだ。

 察するに、元常務が居住エリアの元住人だったというこでしょうか。

 おぉ!さすが事件コンサルタントだ。そのとおり。実は弊社の手違いで元常務の生体認証を削除していなくて、居住エリアに入ることができてしまうことが判明したんですよ。

社長の態度は分かりやすい。自信満々のときはハッキリものを言うが、そうでない時は聞いてもいないことまで喋り、尋常じゃない量の汗をかく。貧乏を揺りをしながら顔の一部を覆ったりする仕草も目立つ。このやり取りのどこに事実ではないことが含まれているのか。まずはその矛盾を紐解く必要がありそうだ。


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