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ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件15.夜色

2人は車内で無言を貫いた。会社での出来事について答え合わせをしたかったが、運転手が男に会話内容を報告することを考えると何も話すことはできない。兄弟が住むマンションには車で20分ほどの距離だった。この辺りでは最も高いタワーマンションの最上階が兄弟の住まいである。運転手は車寄せに停車した。日が暮れてライトアップされた外観は、なんとも美しい。

 お近くでお待ちしております。

 ありがとうございます。助かります。

2人は降車してすぐにエントランスへ入った。

 あの衣類、そして毛髪…

 ちがうひと

 うん、そうみたいだね。

部屋番号を押してインターホンで呼びかけると、話しが通っていたのですぐに開錠された。入口にいたコンシェルジュは2人に対して深々と会釈する。彼女は住人の困り事や頼み事などを速やかに解決してくれそうだ。この住まいもSNS事業により得た巨万の富の一部であろう。すべてを享受せず妹や弟にも分け与えているところは立派である。ほどなく最上階のフロア到達し、玄関の前で呼び鈴を鳴らした。

 初めまして。幸引(こうひき)と申します。

 はい、どうぞ。

女性の声で室内へと誘われた。広々とした玄関には一足だけ靴が置かれている。家政婦のものだろうか。これを10代の若者が履いている姿は想像できなかった。そんなことを考えていると、スリッパでフローリングを擦る音が少しずつ近づいて来る。やがてブロンドの青い瞳の若い女性が現れた。ショートカットがよく似合っている。

 幸引さん、こんばんわ。兄の捜索をしてくれているのですね。ありがとうございます。

 初めまして。1日でも早く探し出したいと思っています。そのためにも、いくつかお聞きしたいことがあってお伺いしました。

目尻にシワができるほどの年齢ではないが、目と口がくっつくのではないかと疑うほど、これでもかとニッコリと、微笑む。対照的に、幼い娘は表情を変えない。父親のズボンを右手でつまみながら静かに目を瞑り微動だにしない。

 ええ。兄のためですので何でも答えます。では、こちらへどうぞ。

靴を脱ぎ、彼女の後ろを付いて行った。長い廊下の先にある扉を開けると、ダイニングとリビングが繋がった広大な空間が目に入る。1人の小さな男の子はソファに腰掛け、100インチ以上ありそうな超大画面でテレビゲームに熱中している。こちらに気付いているのか、いないかは分からない。2人は案内されるまま、10人以上で囲めそうな長いダイニングテーブルについた。カーテンのない窓からはユールマラの街並み、その向こうには広大な海を一望できる。

 お客様がいらしてるのにゲームなんてすみません。私たちは3人兄弟で、一番下の弟です。お嬢さんと同じくらいの歳でしょうか。

 とんでもありません。こちらこそ突然お伺いしまして。こちらは娘のバルカです。たしかに同じくらいに見えますね。

彼女はキッチンで飲み物の準備をしながら2人と会話を続けた。年齢にしては、流暢な世間話や客人への対応が小慣れている…小慣れて過ぎている。若干の違和感を覚えながらも、彼女が席についたタイミングで話を前に進めることにした。

 では早速ですが、確認させてください。

 はい。わかりました。

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