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新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件

5.仲間

 ロンド、メライ、バルカ、行ってくるわね。

 うん、気をつけて。お土産期待してるよ♪

 はーい!

他愛もない夫婦の会話、家族の団欒。これから待ち受ける過酷で長い長い旅のことなど、ここにいる4人には知る由もない。事件の概要を話し終えるといつもどおりサッと支度を済ませ出発した。娘たちは相変わらずの塩対応だが、新しい母親をすぐに受け入れられないことなど、理解に容易い。彼女たちとは、じっくり時間をかけて向き合うことにしている。今日は珍しい。"台風も逃げる最強の晴れ女"と、家族や友人たちの間では有名なのだが、出かけて程なくして土砂降りの雨となった。"上"が所有する飛行場までは車で移動するので特に問題はないのだが…。いつもと違うことが起きるのは、人によって多寡はあれど、気になるものである。最近頭の中では、事件のことよりも家族のことが大半を占めている。まずは家族のことを解決しなければ、仕事にも支障が出ると考えたのも、休業を決意した理由の一つだ。大粒の雨が車に当たる音と日常のモヤモヤが重なり、何とも居心地が悪い。こんな時は、何とかして事件のことだけを考えられるよう、意識を集中することにしている。少し前までは、捜査だけに熱中することが自然とできた。しかし、ここ最近は…。ずっと同じようなことがループして頭の中を駆け巡る。これを断ち切るため、バッグからタブレットを取り出した。無心で資料を読み返す。どうやら彼女はどんな迷宮入りの事件よりも、家族の問題を解決することの方が何倍も難しいと、痛感しているようだ。

 ソナタさん、到着です。

 ええ。

そう言いながらドライバーは車を降り、後部座席のドアを開け、トランクの荷物を取り出した。ソナタはタブレットを仕舞い、車を降りる。そこには見慣れた顔があった。

 やあ、ソナタ。

 あら、久しぶりね!なぜここに?

 たまたま仕事でね。君が来ると聞いたから顔を見ようと思って。

夫婦共通の旧友は、周りを見ながら監視カメラに映らない角度を改めて確認した。後で読めと小声で呟き、徐に小さなメモ用紙を手渡した。実は彼もまたロンドの異変に気づいており、唯一のソナタの協力者である。"上"にこちらの動きを悟られないよう、電話や電子メールのやり取りは避け、直接の会話や紙のメモを使うことにしている。今回も偶然を装っているが、彼の捜査状況を共有することになっていたので、事前に示し合わせていたのだ。目的を果たしたので必要以上の接触をしないよう、お互いすぐにその場を後にした。

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