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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

6.境界

3人は電車を降りてバスに乗り換えた。くねくねとした山道を登って下っての繰り返しだ。タウンの敷地内なのかどうかも分からないが、訪れたことのないエリアであることは間違いなかった。集合場所まではバスを降りてから1時間ほど歩かなくてはならない。小さく華奢な体に似合わない大荷物を持った彼らには過酷な時間となることは分かっていた。

 次のバス停で降りてそこから徒歩になるね。

 もう…なんでこんなところでやるのかしら。研修なんてどこだってできるでしょう。

ソナタは明らかに不満そうな表情を浮かべた。旧友は特に表情には出ないものの、どちらかといえばこの時間を楽しんでいる様子である。

 ロンド、君の身体能力でソナタと俺の荷物も持ってくれないかなぁ?

 はは。悪いね、僕の能力はそんなことに使うために開発されたわけじゃないんだよ。

ロンドは満面の笑みを浮かべ、さわやかに旧友の申し出を断った。ソナタは元々期待していなかったようでバスが停車すると荷物を担いで一目散に降りて行く。とぼとぼと歩き始めるとすぐに雨が降ってきたので、各々持っていた折り畳み傘を差してまた足を進めた。そんな中、彼らの横に1台の車が止まる。運転席の窓が開くと10代後半から20代前半の女性が話しかけてきたので、すかさず3人は足を止めた。

 ねえ、君たち。子供だけでこんなところでどうしたの?親はいないの?

 はい。僕たちだけです。この先にある施設に向かっています。

 施設…この先に何かあるのかしら?

 ええ。この案内によればあと50分ほど歩けばあると思います。

 50分?!そんな大荷物でこの雨の中そんなに歩くの?大丈夫?

 仕方ないさぁ。それしか手段がないんだからねぇ。

 …乗って。こんな子供を見過ごしては行けないわ。

 それは助かりますが、お断りします。私たちはあなたを信用できるだけの情報を持っていません。

 思ったより君たちは大人なようね。じゃあこれでどうかしら?

女性は名刺を提示し自己紹介を始めた。その内容が本物であるかどうかまでは確かめられなかったが3人は車内をくまなく調べ他の人間も、武器や発信機の類も見当たらなかったため乗車することに決めた。

 ありがとうございます。雨も降ってきて、正直あの山道をこれ以上歩きたくなかったので助かりました。

 君たちは不思議ね。まるで大人と話しているみたい。

 …ところで、あなたはどこに行こうとしていたんですか?

 ああ、私は実家に帰る途中だったの。

 あなたは住民…ですか?

 住民?そりゃ実家の住民と言えば住民ではあるけど?

どうやら、彼女はタウンの住民ではない…もしくは、そう演じているだかなのかも知れない。

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