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ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件16.既視

 貴女が警察にお話しされたことは概ね社長さんや秘書さんから聞いたので今日は伺いません。僕から確認したいことは1点だけ…お兄さんが失踪前にSNSに投稿したこの2枚の写真です。よく見るとジーンズのラベルの数字だけが加工されて、"SOS SlS"と読めるのです。

 …なるほど。だから私を訪ねてくださったんですね。

 はい。貴女自身に何か助けを求めるようなことが起こっているのでしょうか。

 ----そうですね。実は、1年ほど前からずっと誰かに付き纏われているんです。兄と一緒に警察へ何度も行ったんですが何もしてくれなくて。社長さんにも相談して、その人物を突き止めようと調査したのですが、全く情報を得ることもできず、とても困っているんです。最初は民間のボディガードを雇って外出していたのですが、日に日に恐怖感が増して、いまでは家から一歩も出ることができなくなってしまいました…。

手足が震えることもなく、しっかりとロンドと目を合わせながら淡々と言葉を口にしているようにも見える。自宅は安らぎの場で、ここであれば恐怖心も和らぐということなのだろうか。

 それは大変おつらいですね。嫌なことを思い出させてしまい申し訳ありません。今回のお兄さんの失踪と何か関連はあるのでしょうか。

 そう思い、警察にも社長さんにも話しました。私がほとんど外出しなくなったから、今度は兄を狙ったんじゃないか、と。

 彼らの反応は?

 兄の住まいのセキュリティは完璧であり、私と同じく外出時はボディガードをつけていたことから、犯人像はただのストーカーまがいの人物ではないと、一蹴されました。

話は続いているが、幼女はふと椅子から降りると、一人で遊んでいる男の子の元へ向かった。皆さんは彼女が他人に興味を示すなんて珍しいと感じるだろう。しかし、彼女の目的はあくまでも捜査である。その優れた聴力で彼がいま何をしているのか察知した。そしてこの情報が、今後の自分たちの行動を決めることになる。

 しょうぎ、わかるの?

 …。

 このまえきたおねえさんが、おしえてくれたよ。かてるほうほう。しりたい?

 …。

男の子は手際良く駒を並べて見せた。

 Climbing silver.

 すごい!よくしってるね。もしかしてきみかな。おねえさんからのでんごんがあるよ。

 …。

 "ここで待ってる。"だって〜。

 …。

幼女はいつものように微動だにせず、父親の元へ戻っていった。どうやら義母が待つ場所が分かったようだ。バルカが気付いたように、皆さんもこれまでの情報とラトビアのことをほんの少し知っていれば、きっと正解に辿り着くことができるだろう。次回、いよいよ…。

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