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2022年10月の記事一覧
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
13.脅威
ソナタとクライアントは夫の自宅を後にして、あらかじめ落ち合うこととなっていたカフェへそれぞれの車で向かった。これまでの捜査でソナタの中では"ある仮説"ができていて、車中ではその検証をするためタブレットを取り出し、撮影した"台本"を読み始める。中盤まで読み進めていくと、やはり彼女が予想していたシーンが見つかった。ここからは、証拠を提示して事故ではなく事件であることを証明しなくてはならな
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
12.不審
そうでしたか。それはお辛いですね…。もし可能ならその台本のコピーをとらせていただきたいのですが。
…御社の上の方から、できるだけ協力するよう言われているからね。仕方ない。
ありがとうございます。車で待たせている者に作業させますので、こちらへ呼んでも差し支えないでしょうか。
ああ。どうぞ。
台本をタブレットでスキャンしている間、事件にまつわることを雑談や世間話をしながら
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
11.同僚
ノックの後、ドアが開くと男性が部屋に入ってきた。
こんにちは。この家の主人です。遠くからよくぞお越しで。
こんにちは。エピソードのソナタです。よろしくお願いします!
笑顔で名刺を差し出すと、主人は表情を変えず無言で受け取った。
先輩、お久しぶりですね。お元気そうでなによりです。
ふん。お前も相変わらずだな。
さあ、お二人ともどうぞお掛けになってください。
主人
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
10.栄光
老人は2人を案内した。壁や床などの内装には濃い茶色の木材が使われていて、時計やカーテン、生けられた花や花瓶など、どれをとっても主人のこだわりが感じられる。応接室まではいくつかの部屋を通り過ぎ、何人もの使用人とすれ違った。
こちらでございます。
老人は扉を開け2人を中に誘導すると、座って待つよう促し会釈をして立ち去ろうとしたが、ソナタが呼び止める。
すみません!お聞きしたいこ
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
9.檀那
周辺の調査を進めている最中、1台の車が近づいてきた。目の前に止まりドライバーが後部座席のドアを開けると、紺色のスーツを着た初老の男性の姿が現れ、ソナタの元へ歩み寄る。キレイなシルバーの髪はきっちり7:3に分けられ、同じくシルバーの口髭がよく似合う人物だ。背筋がピンとして堂々としている様からは、まさに"紳士"という印象を受ける。簡単に挨拶を済ますと早速事件の話を始めた。
この事件、ソ
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
8.複眼
ジェット機が到着すると、すぐに事件現場へ向かった。そこでクライアントと合流する手筈になっている。初めて訪れた国だが迷うことはない。"上"の手配した車に乗り込むだけだ。事件の資料から移動手段に至るまで、捜査に必要なものはすべて用意されている。社員は事件を解決することだけに集中できる環境が整っているのだ。
道中は牛車や馬車とすれ違った。周りには広大な野原が広がっている。外灯がないため、夜