ファームトゥテーブルのパイオニア。80%の野菜を自分たちで育てるレストラン〈デ・カス〉
オランダの首都アムステルダム。緑あふれるフランケンデール公園の一角に、僕がずっと訪れたかったレストランDE KAS(デ・カス)がある。今年の2月、ついにこのレストランを訪れることができた。
「デ・カス」とは、オランダ語で「温室」を意味するという。その名の通り、このレストランは、ガラス製の温室の中にあるレストランだ。
レストランのコンセプトを一言で表すと「ファームトゥテーブル」。生産者の顔が見える食材を使っているレストランのことを「ファームトゥテーブル」というのが一般的で、日本国内でもこういったレストランは近年増えているけれども、なんとこのデ・カスは自社農園を持ち、野菜の80%を通年通して自給しているという。
畑は全部で3つある。キッチン横にある、温室内の畑(下の写真)。レストランの前にある、屋外の畑(今回は冬だから何も栽培していなかった)。そして、10kmほど離れたベームスター地域にある自社農園だ。今回訪れたのは冬だったため、温室内の畑しか見ることができなかったが、冬以外の季節は屋外の畑はもちろんのこと、10km先の自社農園を訪れるツアーもあるそうだ。
レストランの畑には2名、10km先の畑には3名の野菜栽培専属スタッフがいるとのこと。
メニューはもちろん、自分たちで栽培した野菜を中心としたコースメニュー。どれも、野菜本来の味と食感を活かしたメニューだった。肉はないけれども、しっかりとした味のソースが野菜とマッチしていてかなり満足感あります。見た目も色鮮やかで美しいです。何よりも、自家製の野菜を使用しているというのが、デ・カスの最大のアドバンテージなのだと強く感じさせてくれる料理です。
セロリのディップ。
カブ。
ホタテとベビーリーフ。
チコリーとナスタチウム。
白身魚とケール。
今でこそ「ファームトゥテーブル」を謳うレストランは多いですが、これを15年前から実践しているというのは驚きです。さらに生産者の顔が見えるというだけでなく、80%もの野菜を自分たちで作っているというのは、彼らの本気度を感じます。
また、デ・カスはレストランとしてのサステナビリティにも力を入れています。屋根にはGIPV(ガラス埋め込み型の太陽光発電システム)を設置し、レストラン全体の電力の25%をカバー。
また、近隣の風力発電から25%、小水力発電から25%、残りの25%だけ火力発電からの電力を使用するという風に、可能な限りグリーンな電力を使用しています。
レストランの外では、生ゴミの堆肥化も行なっています。1日およそ15kgほどの生ゴミが出ているようで、それをこのコンポストボックスに入れて堆肥化し、その堆肥を自社菜園で肥料として再利用するという循環システムを作り上げています。堆肥化までかかる時間はおよそ1ヶ月ほど。夏場だともっと早いとのこと。
ファームトゥテーブルを目指すのであれば、もはや自分たちで野菜を作るしかない。そう強く感じさせてくれますね。
こんにちは。ベトナムのホーチミンに住んでます。Pizza 4P'sというレストランのサステナビリティ担当です。