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しばしの休憩/怒涛の半年を軽くつぶやく

ケイヒロ、ハラオカヒサ

2週間のご無沙汰でした

2021年の初夏から書き進めてきた『コロナ禍カレンダー考察』は1週間に記事を2本公開するペースが続き、準備を含めると数本分を同時進行させるスケジュールがあたりまえになっていました。

ネット上にある情報や報道だけを追うなら別ですが、記事を書くにあたってインタビューと調査を行っていたため文字通りの自転車操業です。

そこまでやらなくても、と身近な人々に言われたのは一度や二度ではありません。しかしコロナ禍は状況が刻々と変化したうえに問題が山積みで、情報を追い続けていなければ整理すらままならなくなるありさまでした。

ではなぜ整理したり考えたりしなければならなかったか説明させてください。

まず私たちはコロナ禍を記録するところからはじめました。それが考察のもとになっている『コロナ禍カレンダー』です。


次に私たちは様々な切り口から記事を書きましたが、反マスク・反ワクチンの人々が集団から離脱するためのノウハウを提供したり、ウレタンマスク使用者の心理を記事にして、これらの問題に苦慮していた方々から大きな反響をいただきました。

また誤解や誤認が多く、政治的立場のみから語られがちだったワクチン政策やマスク配布政策について整理する記事を発表しました。


いずれもできごとを追っていたから書けた記事です。1本の記事には、それ以前に整理しておいたできごとと考察が背景にあります。そうでもしなかったら小さな事実は埋もれてしまい記憶は揮発してしまっていたでしょう。

インタビューや調査だけでなく、読者のみなさんからのフィードバックもリアルな声として企画に反映されています。

反マスク・反ワクチン・陰謀論を離脱するうえで悩みを抱えた人々やご家族からの相談が続いて、私たちの処理能力を超えた時期がありました。こうした声こそリアルで貴重なコロナ禍の事実で、SNSなどで見られるのとまったく違う陰謀論者たちの実態を知ることができました。またデマや陰謀論ではありませんが断れない仕事で感染して発症した人の後悔など、想像もしなかったできごとを垣間見る経験もしました。

そして記事が生まれる、といった繰り返しでした。

これらによってわずかであってもコロナ禍の諸問題解決に貢献できたと私たちは自負しています。そして記事を紹介してくださった皆さんに心から感謝申し上げます。

現在もインタビュー、調査、相談は継続していますが、第5波が落ち着きワクチン接種も順調に進んでいるため新たな記事の発表をしばし休憩しています。休憩は遅い夏休みであると同時に、インタビューや調査にかかった経費をなんとか回収する別の自転車操業を始めなければならない側面もあります。


批判より圧倒的に相談が多かった

さて、デマや陰謀論にはまった当事者と家族の方々から「どうしたらよいのか」と相談が入り始めたのは『反マスク・反ワクチンから抜け出したくなったら』を掲載する約1ヶ月前、『彼女が慈善事業から、コロナは茶番、ノーマスクピクニックに変わるまで』を発表した直後です。

やがて相談件数が加速度的に増え、デマや陰謀論の特性を調べるだけでは限界があるのを知りました。

また相談件数より圧倒的に少なかったうえに想定内の事態だったのですが、デマ発信者や陰謀論側の人々から攻撃的であったり理解不能な言葉がぶつけられました。「他の陰謀論者とひとくくりにされた」「自分は違う」「偉そうにしている」「頭が悪い」「死んでいいよ」「私は世界を知っている」と彼らは言います。

馬鹿にされたと感じるのかもしれませんが、幾度かの困難がありながら計6時間におよぶインタビューをしたり、彼らを救うための援助に努めたりしません。むしろ陰謀論者をコロナ禍をともに生きる隣人として向き合ってきたのは前述の通りです。

まさに典型的な例を紹介しましょう。この人物は私たちに限らず、SNS上でさまざまな人に「底意地の悪さ」「メス」などの攻撃的な言葉や奇怪で不気味なイラストや動画を一方的にぶつけていました。

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その言葉が批判として成立しているならありがたく耳を傾けますが、記事を読んでいないのが明白な難癖や、はげしい思い込みからの罵声は陰謀論者のサンプルに組み込みカタログ化する以外に使い途がありません。

こうした言いがかりが想定内だったのは、私たちが震災と原発事故をめぐるデマや陰謀論に取り憑かれ人々の問題に関わった経験があるからです。デマや陰謀論を流す人々と、騙される人、これらの影響を被る人との関わりで経験したことが繰り返させれたのでした。

当時から私たちの目的は誰かをバカにするためでも陰口を叩くことでもありません。

『コロナ禍カレンダー考察』もまた「できごとを記録し、考え、解決の糸口が見つかれば活用する」だけです。意図通りに伝わらないこともあれば逆恨みもあり消耗しますが、大多数の方々が趣旨を理解してくださって、これが取材をして記事を書く私たちの燃料になりました。


コロナ禍の次へ

第5波は収束して11月初旬現在、新規感染者数はかぎりなく減っています。収束は不可能だったとしても、収束後の世の中を考えるよい機会かもしれません。

以前紹介したように、コロナ後の自分を想像できない(あるいは、したくない)人がいます。たった2年程度でも私たちの経験は過去に例がないもので、さまざまな習慣や常識が激変した結果、2019年に戻ることを不安に思う人がいても不思議ではないでしょう。

ただし筆者である私たちは新たな時代を恐れてはならないし、まして新たな難問や騒動がはじまり記事を量産するような状況が続くことも望んではいません。

とはいえ『コロナ禍カレンダー考察』を終わらせる状況にはなく、コロナ禍で生じたひずみを正せないまま次の時代へ向かう人たちの問題が既に始まりつつあります。そこにはコロナ後の自分を想像できない人がいて、コロナ禍よ続けと心の底から考えている人もいます。デマや陰謀論を抱えたままの人々はコロナ禍の収束さえ誰かのたくらみだと言うでしょう。

東日本大震災と原発事故からはじまった心の問題は10年経っても解決していません。しかもコロナ禍でデマに騙され続けたり、陰謀論を語っている人々の多くが被曝デマを引きずったままです。ここに新規参入組が加わったと考えるとよいでしょう。彼らは、自分は最大の被害者であり抵抗する権利があると考える人たちです。

次回は、このあたりの話題を記事にできればと準備しています。

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