シロクマのことだけは考えるな!/植木理恵

https://www.shinchosha.co.jp/book/129992/

読了日2020/01/30

前々から気になっていた植木理恵先生の本書。
なんで「シロクマ」?

ネタバレにはならないだろうし多分本書のような内容なんてネットでめちゃめちゃ出回っているはずなので、簡単にいうと、

シロクマは心理学的にはなんのシンボル(象徴)でもないから。

だそうだ。
つまり心理学的にはなんの意味もない。
シロクマかわいそう……。

それはまあいいとして、なんでシロクマのことだけは考えるなというタイトルなのか。

人にはありがたいことなのか恨めしいことなのか悩ましいが、
「忘れる」機能がついている。
だが厄介なことに「大切なこと」は忘れてしまうのに、「嫌なこと」は意外と忘れられない。

でも生きていく以上、誰だって嫌なことは忘れたい。
私は何もかも忘れたいが。

では忘れるにはどうすればいいのか?

忘れる!
絶対忘れる!
と決意する。
するとあら不思議、人の脳は忘れられません。

ところがどっこい、
忘れられなくてもいいや、あはは〜。
なんて思っていると、案外ケロッと忘れられる。

これの実験に使われたのがシロクマの映像だったという。
実験者は被験者3グループに、
「覚えていてください」
「覚えても覚えてなくてもいい」
「シロクマのことだけは考えるな」
と伝える。

一年後、シロクマの映像を強く覚えていたのは「シロクマのことだけは考えるな」と言われていたグループだった。

人は忘れようと意識した瞬間にまた記憶に忘れようとしたものを強く覚えてしまうらしい。
だから忘れたいものは無理して忘れようとするのではなくて、いろいろ思い返していくうちに記憶からどんどん薄れていくので、そのときを待つのが良い。

いわゆる忘却曲線というやつだ。
高校受験のときに先生から教わったと思うが、人の記憶の定着率というのはあるときを境にグッと低下するので、定期的な学習が必要になってくる。
真に受けた生徒は田舎に残り、真に受けることもなかった生徒の方が上京して立派にやっているような気もするが(私などどちらでもないので最悪オブ最悪の下の下の下)。

心理学入門書には最適なほどわかりやすくとっつきやすい文章と、植木理恵先生のお人柄がにじみでている。
この人も怒ったりするんだなあ、とテレビで見るくらいには好きなので意外だった。
かわいい。

植木理恵先生は他にも本をたくさん出しているようなので読んでみたいと思うし、また別な心理学の先生の意見も取り入れてみたいから、いろいろな人に手を伸ばしてみたいな。

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