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KPI集計を行うためのSalesforceのオブジェクト設計とは

Salesforceをフル活用して売上を伸ばすために

SalesforceはCRMツールをリードする存在として、様々な他ツールとの連携やAppExchangeというアプリケーションプラットフォームを通じて絶えず進化を遂げています。
ただし、Salesforceはさまざまな企業がそれぞれにカスタマイズして使用することが前提とされており、SaaS特有の指標、例えばARRの時系列分析などを行うには適切なオブジェクト設計がなされている必要があります。
今回は、カスタムコードを使用せずにリカーリングビジネスの売上を集計するためのSalesforceのオブジェクト設計の方法についてご紹介します。

商談オブジェクトの設計

商談オブジェクトはSalesforce純正のオブジェクトです。
企業によっては、新規の契約や契約内容の変更など、一つの商談に契約を複数含んでしまうことがあるかもしれません。
売上を正しく把握するためには、商談と契約は1:1の関係で保存する必要があります。
これにより、商談を最小単位として集計を行うことができます。
また、商談には種別という項目がデフォルトで存在します。
商談に種別を紐づけることで、契約形態による集計が可能になります。
種別はカスタマイズ可能で、3つのカテゴリーに紐づけて管理を行う必要があります。

New Contract:新規の契約の場合に紐づける種別。

Renewal:期限が切れる契約を更新する際に紐づける種別。

Co-Termed Contract Amendment:既存の契約に変更がある場合に紐づける種別。

日付の管理

正しいデータの集計をする上で、日付を正しく扱うことは非常に重要です。
集計においては特に、3つの日付項目を確認する必要があります。

Close Date
商談のクロージングの日に当たります。注意しないといけないのは、この日付は顧客から「契約します」という意思表明を受けた日付にし、実際に契約が開始された日付とは別で持っておくことです。

Contract Start Date
契約開始日にあたる日付です。デフォルトでは商談に存在しないため、こちらに関しては設定が必要です。

Contract End Date
契約終了日にあたる日付です。この項目もデフォルトでは商談に存在しないため、設定が必要です。解約や早期の更新などで当初の予定よりも早く契約が終了する場合も、変更をする必要があります。

契約変更を正しく記録する

契約期間内での契約の変更に関しては、慎重に扱う必要があります。
正しい集計を行うためのポイントは、元の契約を変更せずに変更内容を新しい商談として扱うことです。
例えば、元の契約が年間100万円だったものが年間120万円の契約にアップセルした場合を考えます。この場合、元の契約を120万円に変更するのではなく、新しい20万円の商談を作成することで、前の項で取り扱った日付を用いて正しいMRR/ARRの把握に繋がります。

イレギュラーに対応するには

商品によっては、お試し期間や割引などが適用されることが多いと思います。
こういったイレギュラーな対応に関しても考え方は同じで、お試し期間や割引の期間と本契約の商談を別で管理することで、正しい値の集計につながります。
Salesforceではカスタムフィールドを使うことで、こういったイレギュラーな契約に対するロジックを組んでおくことも可能なので、慣れている方に関しては、そちらを活用することで業務の省力化を実現してみてはいかがでしょうか。

もう一歩踏み込んだ分析をしたい!

ここまで、売上を伸ばすためのSalesforceの基本的な設定について説明をしました。
これで正確なデータ集計のための分析の基盤が構築できました。
営業戦略の策定のためには、このSalesforceのデータをもとに、MRRの要因を分析したり、既存と新規のMRRの割合を見て新規の伸び率を見たりなど、もう一歩踏み込んだ分析が必要になってくると思います。
下記の記事では、もう一歩踏み込んだ詳細の分析方法についても解説していますので、ぜひご覧いただければと思います。


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