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世のため人のためを思えなかった自分を僕は悪いと思わない

近頃の若者は、と大きなくくりで人を判断するのは好まない。

けど、僕の肌感からいっても、3,000人を対象にした「Z世代会議」の調査からいっても、Z世代が特異に社会や環境への意識を高く持っていることは間違いなさそうです。

先日、よく話す若い子がポロッとこんなことを話してくれました。

「社会のためとか、環境のためとか、そういう意識でやりたいと思えることがないんですよね。よくないですよね…」

そういうことが悩みになるとは。ちょっと驚きでした。

というのも、僕が20代の頃にそんな大それたことから自分の行動を決めたことなんてなかったから。それどころか、会社のためとすらあまり思っていませんでした。

そして、今振り返っても、別にあの頃を恥ずかしいとは感じません。

影響できる範囲が決めること

先ほど述べたように、若い僕は決して世のため人のため動くような、利他的な精神に満ちた人間ではありませんでした。

20代の頃は、自分の成長のことばかり、30代になってCROOZに来てからは会社の成長ばかりが頭を占めていたくらい。

しかし、40代に入った今は、何か社会のためにできることはないか、若手起業家のためにできることはないか、地方のため、子供のためにできることはないかと考えるようにもなっています。

相変わらず、会社の事業成長や組織についてのことの方が考える割合は大きいんですけどね。

では、なぜそんな風に変わってきたかと考えてみると、いろいろあると思いますが、いちばん大きな要因は、できることが増えて影響できる範囲が広がったからだと思うのです。

現実的にいって、僕が新卒の頃のスキルやモチベーションで「世の中を変える」を追いかけるのはあまりに荒唐無稽でした。

カップ麺しか作ったことがないのに、麺や出汁から世界最強のラーメンを作ろうとするくらい現実味がなかった。

愛社精神など持たなくてもよい

できることが増えれば、感謝されることも増えます。

ただ自分のためにやっていたことで、やたらと感謝される日が来る。影響できる範囲が広がっている証拠です。

そして、幸いなことに、人は感謝されると嬉しくなる生き物。

思考の整理のため、好きで書き続けていた趣味のブログを誰かが読んでくれていて、それがきっかけで新しいなにかに挑戦できた。

そんなことを知ったら、自ずと視座が上がります。私が書いているのは、どこかの誰かの役に立っているものなんだと。

大きなことを考えるのは、そうなってからでも十分です。

というかそもそも、大きなことを考えているから偉い、なんてことはないんです。各人各様でよい。

そうやって割り切れず、かつ急に世のため人のためを思えないなら、まずは自分のためにできることを増やせばいい。それは、小さくとも偉大な一歩です。

世界のホンダを生んだ本田宗一郎もこう述べています。「愛社精神など持たなくてもよい。自分自身のために働け。会社のために働くなどとけっして思うな」

強く在るために、小さく始める

さっき、自分のためにやることを、小さくとも偉大な一歩と書きました。何を大げさなと思うかもしれませんが、本心です。

伝わるかわかりませんが、ひとつ、たとえ話をさせてください。

適当なサイズの穴に、どこかから引っこ抜いてきた100人分の日陰になれる大きな木を突っ込んだとしましょう。周りをざっと土で埋める。

これでは、土の中で根が張り巡らされません。少し風が吹くだけでも、簡単に倒れてしまうでしょう。根腐れもしやすく、まず長くは持ちません。

思いつきのような大志とは、これと同じようなもんです。少なくとも、僕はそう思っています。

逆に、小さい苗木のうちなら、同じことをしても簡単には枯れません。ゆっくりとではあっても、しっかりと根を張り、かんたんには折れなくなります。

何かを強く大きく育てたいなら、ごく小さく始めたらいい。

前に「日銭を稼ぐこと」の重要性について書いたけれども、これも、小さく始め、しっかり根を張った土台を作る話です。同じ構造をしている。

日銭を稼ぐことをしっかりやって、徐々に仕組み化していったCROOZは、手堅く成長し続け、大きな賭けにも手を出せるようになったのでした。

無理のない小さな一歩は、誰が何と言おうと偉大な一歩なのです。

良き農夫のように気長に

自分のため、からでいい。

「やらされ感」のあることで
本来の実力を発揮することはできません。

家族のため、会社のためにと思おうとしても、『こうあるべき』自分を演じながらやっていると、「やらされている」ような状態が続きます。

無理に人を気遣い、感情を抑制して生活していると、自分が何をしたいのかすら分からなくなり、落ち込みやすくイライラしやすくなります。

それでは、もったいない。

折れずにやり抜けることが、あなたが世界に貢献する武器になります。

良き農夫のように気長に、コツコツと、小さな芽から育てていってください。