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ノマドランドを観て

(※随分前に書いて下書きのまま放置していたものに書き足した)

日曜の朝、布団を干し、部屋を片付けて一息。さて、今日は何をしようかと考え、昨日のようにするわけにはいかない!と思った私は、家を出て、一人映画館に向かった。

昨日はコロナ禍になって時々やってくる「無気力モード」に苦しんだ。特に予定もなく一日が始まり、パソコンを開いては、だらだらとネットサーフィン。何もやる気になれないんだけど、何もやれない自分に嫌気がさすっていう繰り返し。「あーーーーーーーー!!!」って叫びたいくらいだったけど、叫んだところでこの気持ちが晴れるなんていう軽いものでもなかったし、なんせ家には父がいたから、叫んだりしたら本当に心配されるとも思った。でも自分の中のいらいらをどうにも片付けられなくて、こんなことコロナ前にはあったっけ、それとも嫌なことはすぐに忘れちゃうお気楽な性分のせい??

またいつものごとく前置きが長くなってしまったが、そんなこんなで昨日はかなり内容のない一日だった(午後、母親に誘われて、往復2時間半くらいウォーキングをしたら、かなり気分も回復して、ぐっすり眠れたというオチを一応書いておこう)から、今日は何かしよう、そういえばみたい映画あったなあ、ということで映画館に足早に向かった。

新聞の映画紹介のページでたぶん1ヶ月前くらいから気になっていた「ノマドランド」。あまり日本人が観たがらないような映画だろうとどっかで偏見があったから、チケットを予約することなく、上映開始5分前に映画館にダイブ。予約画面で、「△」の表示にびっくりしたものの、なんとか両隣に人のいない席をとることができた。

久しぶりの映画館での映画観賞とあって気分が上がっていたのと、昼をスキップしていたためお腹がすいていたのもあって、柄にもなくポップコーンセットを買った。が、やはりこの選択は間違いだったことは後に記す。

席につくと、両隣にはまだお客さんがいなかった。予告編で流れる映画はアクションものばかりで、画面上で次々と人が死んでいく。いくらフィクションだからって、無差別に人が殺されていくアクション映画が私は小さい頃から苦手だ。大量のポップコーンをばかみたいにひたすら口に運ぶ時間とさせていただいた。

ー観賞後ー

一度も寝なかった。うとうとすることもなかった。

「ん?なにそれ、映画で寝るってどういうこと???」

と思われた方もいるだろう。

私は映画を見ると途中で眠くなることがある。大抵の場合は、ストーリーに面白みを感じなくなり、少しでも退屈になると眠気が襲ってくるというパターンだ。もしくは、ただ単に睡眠不足で眠くなってしまう場合もある。家族で映画を観ていると、私が途中でうとうとすることがしばしばあるから、家族には少々ばかにされている。あとは、劇場だと場内が暗いため、眠くなりやすいとも感じる。

つまり、寝なかった/うとうとしなかったというのは、私にとって「良い映画だった」という一つの基準なのだ。(なんて低レベルなんだ、と自分でも思うが、これが正直なところだ)

少々失望されたかもしれないが、それはさておき、とてもいい映画だった。観終わったあとに心の中に湖の水面の静かな波が広がっていく感じの満足感。静かに、でもたしかに感じる満足感。とても満たされた。

アメリカの広大な景色がところどころで散りばめられており、それだけで劇場に足を運んだ価値があった。日本にはあの規模でのダイナミックさはなかなかないだろうというくらいの自然。あたり一面建物が何もなく、ただただ荒野や岩肌が見える場所は、私にトルコのカッパドキアを想起させた。歩いても歩いてもどこにもたどり着かない大地にいる時、不思議と不安ではなく希望を感じるあの感覚。自然の偉大さはそういうところにあるのかもしれないなんて思わせてくれた。

※以下は時間をおいて書き足した部分のため、文章の鮮やかさに欠ける。途中で体力尽きてしまい、観賞後すぐに感想文を完成させなかったことを後悔している…

「生きる」ことの尊さみたいなものを表現している映画だとも思った。映画で描かれているのは、車上生活者たち。季節労働をしながら、「ノマド」(遊牧民)のように場所を転々とする。最低限のものしか持たず、衣食住が全ての世界。朝起きて、ご飯を食べて、周囲に駐車している「ご近所さん」とお話しして、夜になったら寝る。彼ら彼女らの生活には娯楽や遊びはない。でもなんだか満ち足りているように見える。なぜなのかは分からない。でも想像するに、最低限のものがあって、自分でこしらえたご飯を口にして、おしゃべりして、寝る、そういう日常の営みをしている時に「あー私今生きてる」って感じられるのだと私は思うし、それこそが生きるよろこびなんだろうな。逆に遊びや娯楽を必要以上にしてしまうと、日常の営みをする暇がなくなってしまって、遊びをしているから幸せかと思いきや、思わぬところで幸せを逃していたりなんてこともあるのだろう。

旅の素晴らしさも教えてくれた。私のモットーのようなもの「旅するために生きる。生きるために旅する。」を改めて心の中で唱えたくなるような、そんな作品だった。行く先々で新しい出会いがあって、刺激がある感じ。

ハードな場面もあったし、すべてが美しかったわけではない。ただ、私にとっては希望を静かに感じ取れる映画だった。何か道に迷うことがあったらまた観ようかな。お気に入り映画の一つであることは間違いない。

前置きが長いだらだらレビュー、失礼した。






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