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【カウントダウン in NY】人生最高の瞬間をもう一度

時を刻む秒針が今でも思い起こさせる。あの人生最高の一瞬を。

大晦日の朝。空腹のせいで寝不足気味の最悪の朝。
僕は人生最高の瞬間のために、最悪の朝を迎えた。

今日はタイムズスクエアのカウントダウン日だ。

ルームメイトはもうすでに向かったようで、一人で用意を進める。
タイムズスクエアにはトイレが無いため、空っぽの胃袋をさらに空にして準備完了。

オムツを履き、最低限の荷物と食料と共にいざニーク・タイムズスクエアへ。

リサーチ通りゲートが開く午前11時に到着!

と思ったら、ゲートがほとんど閉まっているし、普段は優しい警察の人たちがすごくピリピリしている。

話を聞くと、なんと今年はBTSが来る影響で前前日から大勢の人が来ていて、すでにほとんど満員といった状態とのこと。

だからといって、前日から断食して、朝からバスと電車を乗り継いでニューヨークまで来ておめおめと帰れるか。

血眼になって空いているゲートを探す。

見つけた!ゲートに入場するための列だ!

列に並んでいると、人との出会いを求めて、友人からの誘いを断り、一人でやってきていた僕に話しかけてくれる気さくな外国人たち。

同じく一人で来ていたアジア人が同じ日本人だと知ったときはさすがに驚いた。

楽しく話しているのも束の間、なんと自分たちの並んでいるゲートが閉まってしまった。

また、ゲート探しが始まる。これまでにどれくらいかかっただろうか。

そして、ようやく見つけたゲート。中に入ると、人人人人。

そこから、僕の記憶は断片的なものになっている。
意識を失っていたわけではない。覚えていないわけでもない。

ただ、単純にすることがなかった。そのため、記憶に残ることがあまりにも少なかった。


その場で知り合った人たちと他愛もない話をしたり。

たまたま出会った日本人と盛り上がったりもした。

極寒の中、ただ立ち続けるだけ。

それが何時間かたった頃。
ついにステージでのパフォーマンスが始まった。

時刻は午後6時。あと6時間なのか、まだ6時間なのかわからない。
ただ、気持ちを紛らわすことはできた。


その後も1時間ごとに10秒ほどのカウントダウンが繰り返され、更にはPost Malone やBTSがステージに立つ。本番への期待が高まっていく。

2019年も残りわずかというところで、ジョンレノンのImagineの大合唱が始まる。
これほどまでに胸に染みた音楽は今までになかった。



メロウなサウンドが、もうじき終わってしまうという気持ちと、ようやくカウントダウンだという気持ちを掻き立てる。


そしてやってきたカウントダウンの瞬間。


60秒のカウントダウンがタイムズスクエアでこだまする。
1秒数えるごとに胸がはちきれそうなくらい興奮する。


目の前で男性がプロポーズをし、周りのテンションも最高潮。


10! 9! 8! 7! 6! 5! 4! 3! 2! 1!

Happy new year!!!!!!!!!!!!

あのとき心の底から喜んだ2020年の到来。


かつて僕たちが、夢のような時間を過ごしたあの場所は今、様変わりしてしまった。

もう2度とカウントダウンにはいかない。
あれは人生で1度の経験がいい。


過去の僕はそう言っていた。


けれども、今はあの場所に立ちたくて仕方がない。
自分たちは今、世界の中心にいるだと思えたあの場所に、あの瞬間に。

立ちたい、もう一度。

どれだけ時が経っても。


戻ってこれたんだ。そう思えるから。

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