嫉妬で身動きがとれなくなったら「舞台裏」を想像してみる
昨日、ようやく重い重い一歩を踏み出してきました。
というのも、ここのところずっと「いつか本屋をやりたい」としつこく周囲に言っていた私。住み慣れた大好きな荒川区という街で、本屋を開くことがいつしか夢になっていました。
とはいえいきなり固定の本屋をやろうとしても無謀すぎるに違いない。まずはポップアップなどいろいろなイベントに出店してみて、知見を増やしたい!と思い、1年ほど前にSPBSという本屋さん主催の「移動式本屋のはじめかた」というオンライン講座を受けるなどしていました。
講座を受けたのが出産前だったこともあり、産後落ち着いたらどこかのイベントに出店したいというのが、2023年の目標の一つでした。
でもなんだかいろいろと言い訳をして逃げていた私。ようやく6月25日(日)に、二子玉川のたまがわBOOKフリマというイベントに参加する夢が叶ったのです。
行動力のある方からすれば「なんだそんな大したことない」と思われるようなことでしょうが、逃げてばかりの私にとって、このたった一回のイベント出店は本当に大きな一歩でした。
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思えばフリーランスの道を選んで、早4年半。
会社に勤めていた時の私を知っている人からすると、行動力がなくいろんな思いでがんじがらめになり、恐怖で前に進めなくなっている私を見たら「あの朝子さんが?」と驚かれるかもしれません。
そのくらい会社勤めをしていたころは、猪突猛進で怖いものなど何もありませんでした。なんでも挑戦させてくれる風土があった当時の会社には、本当に感謝しています。
でも裏を返せばあの頃の私は、会社という大きな存在に背中を預け、助けられていました。資金は潤沢にあり、一緒に目標を志す仲間がいて、失敗は一緒に尻拭いしてくれる上司がいてくれました。
いま何か挑戦しようとすると、お金は出せるの?誰と一緒に進めていけばいい?失敗したらどうしよう……と、尻込みしてしまう自分がいます。それは年齢を重ねるごとに強くなっているような気がします。
そうこうしているうちに、前をひた走り、働くことや表現することを謳歌する、同年代の友人知人たち。
SNSで彼・彼女らの発信を目にするたびに、悔しくて苦しくて。投稿を見るのが辛くて、ミュートにしてしまった人も何人もいます。
でもいつまでも、そんな嫉妬の権化のような私でいることで果たしていいのだろうか。もちろん答えはNOです。でもやっぱり前に進めない……そんなことを繰り返していました。
ある日思い立って時間をつくり、なぜ彼らに嫉妬してしまうのかを紙に書き出してみたのです。
するとそこに挙げられた項目は、俯瞰するとどれも頑張れば私にもできることばかりです。
そう。「頑張れば」が前置きに入ります。「努力すれば」、私にもできることばかりだったのです。
本当に当たり前のことをいいますが、どんなにすばらしいキラキラと輝く人でも、そのアウトプットをするまでには、とんでもない努力をしているはずなのです。
文章が上手くて嫉妬してしまうあの人は、一人もアクセスがなかったころからブログを書き続けているのかもしれません。
写真が上手で、気づけば大手企業やタレントさんと仕事をするようになっているあの人は、手を震わせながら営業活動をしていたかもしれません。
おしゃれでセンスのいい暮らしを発信しているあの人は、インテリアをいくつも無駄にして、センスを向上させてきたのかもしれません。
水面より上は美しく見える鳥も、水中ではがむしゃらに足をばたつかせている。「見えない努力」を、私はできていただろうか。
そんな悔しくて仕方のなかった人の「舞台裏」に想いを馳せてみると、途端に嫉妬は、尊敬に変わります。
「うわ~、その努力、私には絶対できない」と思ったりすることもあれば「うん。それなら私も頑張って、いつか同じステージに立ちたい」と思えたり。
そう、何よりまず私に足りなかったのは、自分自身が「苦しい」「苦手」と思うことにチャレンジして、うんと「かがむ」ことだったのです。
そうして話は戻り、冒頭のポップアップイベントへの出店につながります。
「お客さんが来なかったらどうしよう」
「おしゃれな見せ方にできなかったら恥ずかしい」
「選書がしょぼいと思われたらどうしよう」
結果的に選書はしょぼかったし、センスのある人と一目置かれる店づくりには程遠いし、お客さんは立ち止まってくれても買ってくれないことも多かったです。
本の仕入れ代や交通費、荷物の配送費、出店料など諸々の諸経費を考えたら、大赤字!本当に商売は難しいものだなあと改めて感じました。
でもそれ以上に、大きな学びが山ほどありました。これは一度でもお客様に相対して見なければ、きっと分からなかったことだと思います。
37の歳にもなって、何を言っているんじゃいっていう話なのですが……。
今の私にとっての舞台裏は「勇気を出して、一歩を踏み出すこと」だったのだなと、改めて気づかされました。
過ぎ去ってみれば「なんだそんな簡単なこと」なのだけれど。もしかしたら私が憧れているあの人たちも、そんな小さな恐怖の階段を一つずつ克服したからこそ、今があるのかもしれません。
最後に一歩を踏み出す勇気をくれた、移動式本屋の講座の同期のみんなや、休日に1日中子どもの面倒を見てくれて「行っておいで」と送り出してくれた夫の協力あってこそ、私のこの気づきがうまれました。
そんな周りのサポートに感謝しつつ、また次の恐怖の階段を上るために、舞台裏で必死に汗をかいていこうと思うのです。
ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!