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大学一年生が化学で途方に暮れないために道しるべをたてる

私、今でこそ「化学好きです」といっておりますが、大学に入ってすぐ化学がチンプンカンプンになってしまいました。

何を勉強しているのか理解できず、戸惑っているうちに、15回の講義はあっという間に終わり、試験はなんとか解けて単位は取れたけど、あの科目って、なんのために勉強したんだろう・・・。

あとになって、「あそこで習ったことは、こういうことだったのか!」とわかり、そのとき知っても理解できなかったかもしれないけど、でもやっぱり教えてほしかった。


先達はあらまほしきことなり。


そんな私みたいな人が、これからも生まれるかもしれません。


そこで、私自身が大学の化学の入り口に掲げてほしかった「道しるべ」を、書き残したいと思います。


高校までの化学から大学の化学に進むときに、つまづきが起こる原因はなにか?


それは「物理化学」が原因だと思います。


それって、物理なの?化学なの?と、名前からして戸惑いますが、英語で書けば、Physical Chemistry。物理的な化学。

物理の理論や手法を使って化学を考えていこう!という分野です。


大学一年生では講義名が「物理化学」になっていないことも多いです。「化学熱力学」、「量子化学」「化学結合論」など、さらに難解なイメージに。

もはや力学って書いてあるものもあるし・・・。

大学には学習指導要領もないので、大学や教科書ごとに力を入れて教えられるポイントや説明の流れが違うということも、混乱させる要因かもしれません。


こんな、みんなを困らせそうな学問が、なぜ生まれてきたか?


これは私の理解ですが、化学の「なぜ」を解消するためだと考えてます。


化学って、暗記科目のイメージがありませんか?

すいへーりーべを覚えて、これとあれが反応して、これはこんな構造持っていて、これは酸性で、これはアルカリ性。

これらは、これまでの化学者たちによって、実験などをもとに経験的に集められた知識を、まとめたものです。

でも、なぜそうなるの?と聞いても、高校までは十分に答えられなかったかもしれません。


こういった化学の「なぜそうなるのか」に、物理の考え方にもとづいた理屈を与えて、現象をさらに理解し、説明していく。

その理屈を理解した上で、便利な道具として使おう!というのが物理化学です。


そして、この物理化学が、大学化学の基礎となります。


物理化学は、いくつかのパートから成り立ちます。

上でも出てきた「化学熱力学」と「量子化学 」。あとは、「統計力学」や「反応速度論」も入ってきます。

ここでは初めの2つを見ていきましょう。


化学熱力学は、化学反応がどちらに進み、平衡状態ではどうなる?という問いに答えてくれます。

物理的な知識としては、熱や仕事、エネルギー、加えて、エントロピーなど難しい概念を経て、その後、化学の問題を取り扱うことが多いです。

分子や原子を直接扱うというよりは、全体的な目で現象を見て(巨視的といいます)理解していくのが、化学熱力学です。


一方、量子化学は、ミクロなものを見ていきます。

高校の物理で勉強した、原子モデルや、原子の電子軌道を、分子に発展させます。

シュレディンガー方程式というものが出てきますが、これが分子に適用すると、分子の安定な構造が決まったり、反応しやすい部位を示すことができたりします。


ここで書いたような、物理化学の構成がわかっても、内容自体は難しく、講義を聞いただけでは理解できないかもしれません。


でも、物理化学の先には、分析化学、有機化学、無機化学、生化学といった個別の基礎科目や、材料化学、医薬品化学、食品化学、環境化学、地球化学といった、応用分野が広がっています。


化学に興味がある人には、その難解さもふくめて、物理化学を楽しんで学んでみてください。

この文章が、少しでも誰かの理解のきっかけになれば、うれしいです。


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