見出し画像

6.1.キャリアコンサルティングでは売れない

企業領域に続く次のターゲットは、対個人です。キャリアコンサルティングを商品として、対個人BtoCあるいはCtoCでの稼ぎ方です。

キャリコンはやっぱり1対1のキャリアコンサルティングをやってなんぼでしょ!という思いは理解できるのですが、私はどちらかというと、でもなくはっきりと企業領域を進めています。

なぜならば、1.個人が提供価値の対価として支払える金額がどうしても企業領域と比較すると低くなる、という稼ぎの面、2.個人向けではどうしても企業領域と比較すると一人では多くの人を救えない、という貢献の面、3.そもそもキャリアコンサルティングというものが一般的ではなく、どうしても企業領域と比較するとビジネス化に苦労する、という商品の面、があるからです。というか企業領域でも1対1のキャリアコンサルティングできますし。

そうはいってもこの変化の激しい時代、キャリアコンサルティングは時代に求められているのは確かで、一昔前と比較するとハローワーク等の公共機関や大学のキャリアセンターといった教育からも、民間の人材派遣や紹介会社といった需給調整機関からもニーズは高まっています。

これだけ色々なところで活躍しているのだから、多方面からキャリコンは求められているんだな、と思いがちですが、個人向けのキャリアコンサルティングが普及しているかと言えば残念ながら前述の機関以外ではまったく普及していないのが現実なのです、個人向けキャリコンは。

キャリアコンサルティングでは売れない

タイトルからして私たちキャリコンを全否定しているように思えますが気のせいです。

キッパリ言い切ります、個人向けにキャリアコンサルティングしまぁす!では売れません。もし、あなたの商品が個人向けキャリアコンサルティングしかないのではあれば、ほぼ間違いなく稼げないので諦めましょう。

理由は3つあります。1.一般には知られてない。2.名称が何をしてくれるのか分からない。3.どんな効果があるのか簡単に説明できない。うぉ、セルフ・キャリアドックと同じだ。ああ、キャリアコンサルティングにはもう一つあった、4.必ず終わりが来る。なので理由は4つですね。

キャリアコンサルタントの知名度のなさを嘆く限り、キャリアコンサルティングも同様です。だったら私が知名度を上げてやる!という方、その意気込みや良しですが、ビジネスにおいてわざわざマイナスからスタートする苦労はしない方が賢明です。

同じキャリコンあるいは心理系の方になら通じますが、それ以外の一般人にはそれが何なのか理解して頂くことから始めなければならないのは、シンプルでないので売れません。商品説明はシンプルに、その効用も顧客の脳に突き刺さるベネフィットを簡潔に、が売れる商品なので、

「キャリアの、コンサルティング?それって一体、何のため?」の前に、「それって一体、何???」状態です。国家資格です!国(厚生労働省)も推奨しています!とアピールしても、キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティングという名称を知らない人にどんな資格でどんなことをやり、どんな効果があるのか説明するのがとても大変です。

また不思議なことに、何人かのコーチングの民間資格と国家資格キャリアコンサルタントの国家資格を持っている方のホームページを拝見したことがあるのですが、料金表を見ると経営者向けエクゼクティブコーチは1時間5万円設定なのに、キャリアコンサルティングは1時間5,000円なんですよ。なぜ同じ値段にしないのか(怒)。

コーチングとキャリアコンサルティングでは設定したペルソナ、ターゲットが異なるかもしれませんが(そう考えればエグゼクティブコーチは経営者向けと謳っているから企業領域ですね)、なぜ同じ人間が行うセッションなのに単価が10倍違うのだ(怒)。

あ、ここまでボロクソに書いていますけど、私はキャリアコンサルタントという資格が大好きですし、もっと広めて知名度も上げて、社会のインフラにしたい想いで一般社団法人リベラルコンサルティング協議会まで作ってしまった男ですから、これからの労働力流動化で個人が生きやすくなるためにも、人生100年時代のライフシフトに個人が対応するためにも必要な資格だと思っています。

ですが、ですよ?その効果を説明できないんですよ、簡単には。セルフ・キャリアドックと同じようにキャリアコンサルティングも。

もしキャリアコンサルティングを売るならば

続きですが、キャリアコンサルティングが売れない最大の理由、それは4.必ず終わりが来ることです。

倫理規定でありますからね、私たちはクライエントに依存されてはいけませんしさせてもいけません。常に終わりがあることを意識して、新しい環境への適応が完了したと双方が納得したうえで、終了としなければならない。ということは、企業領域のようにずっと顧問といった契約が継続的に続いていく(私も長い顧問先は3年目に突入しました)ことは規定上ないんです。安定的な稼ぎにはそれが最も大切なものなのに。

企業領域は、企業相手なのでいろいろ手伝えるんですよ、経理のお手伝いで入ったのにシステム周りも面倒みて、そのうち評価制度や業界特有の営業手法の研究まで任されるようになる等、多方面に支援できます。ニッチで契約した後はいろんなことで貢献できるのが企業領域のいいところ。

またコーチングも特に終わりは設定しないはずなので(流派によりますかね?)、クライアントに依存させて継続させているいけないコーチの方もいらっしゃいます。倫理上どうなんですかね?

当然、個人向けキャリアコンサルティングにも企業領域と同様、いやそれ以上にコンセプトと商品を考える必要がありますが、特に商品についてしっかり考えないと稼げないんです。いわゆる高額商品化が必須となります。

時給計算では売れません。キャリアコンサルティング1時間5,000円では、月100万円稼ぐのに毎月のべ200人とキャリアコンサルティングしなければならず、まずそんな集客は不可能です。それもキャリアコンサルティングには終わりがあるのだから、毎月毎月集客に追われる結果、忙しいのに稼げない状態に陥るでしょう。

せめて1時間3万円、できれば5万円まで値段設定を上げられれば、月2回セッションするとしたら月5人も集客できればいいので、なんかできそうな予感はしてきますが、それでも厳しいですね。キャリアコンサルティングの実績を作りつつ高額化商品にするのが、個人向けキャリアコンサルティングで稼ぐためには欠かせません。

もちろん、競争力あるコンセプトに基づく商品になっているキャリアコンサルティングであることが前提であり、そうでもないのにいきなり高額化するのは、単なる詐欺以上に私たちキャリアコンサルタントの名声を地に落とす行為なので控えてくださいね。結構起業コンサルタントの世界には「最初から高額商品を作らないと稼げない」というところを強調している人たちもいるのです。

が、当たり前ですが商品の提供価値を金額換算したらそれだけの値段がつけられる、というのを自分で説明でき、かつ自分が自信をもってセールスできるのが前提ですので、果たしてあなたのキャリアコンサルティング、HOW MATCH?

高額商品にするためには


高額商品は掛け算でできあがります。その公式は、価値換算額×期間×パッケージです。

基本となる顧客への提供価値、キャリアコンサルティング前の現在の姿と、キャリアコンサルティングで行動変容起こした結果、クライエントに訪れる理想の状態を比較したギャップが大きければ大きいほど価値換算額は増えていきます。この価値換算額はイコール時間単価あるいは1セッションの価格ですが、これに期間やパッケージ化を掛け算していくことで高額商品が作れます。

まず初めに考えるのは、時間単価を引き上げることです。もちろん商品の本来価値が低いのに上げるのはいけません。ですが、私見ですがキャリアコンサルティングの市場価格は安すぎます。何より専門家が全身全霊をかけて行っているのに「安くなっていますよ」とか「ボランティアでやっています」とか嬉しそうに照れ笑いしている場合ではありません。

利益が取れない薄利多売ですと疲弊しますし、何より疲弊した状態では価値あるキャリアコンサルティングはできないですよね。これまた私見ですが、私たちキャリアコンサルティングは全力を尽くすなら1日2人が限界なのでは?と思っています。前準備も必要ですからね、カウンセリングだけでなくコンサルティングするのであれば。

それと、商品の価格=提供価値なので、あまりに低い単価の商品ではその価値しかないと判断されますし、私たちもそこまで全力でできないですよね。

もしキャリアコンサルティングで1時間5万円取ったのなら、どうしますか?

絶対にクライエントに後悔させない、何らかの変容を起こすと決心するのではないでしょうか。その逆にボランティアだったら、そこまでの提供価値を届けようと考えますでしょうか。

つまり、ある程度の高額化は私たちにも、そして顧客にとってもメリットがあるということです。ですから、堂々と市場価格より値上げしていき、そしてそれを市場価格へとしていきましょう。

次に期間です。これは長期化するということで、もし単発の1回こっきりのセッションを提供していたのなら、それを全〇回や、月2回の6ヶ月契約、1年契約と長期で提供することを考えていきます。

私たちキャリアコンサルティングは1回で終わることはほぼないです。自己理解→仕事理解→啓発的経験→目標設定→方策の実施→適応、とまでいくには間違いなく3ヶ月間以上かかりますので、悩みを解消して理想の状態にすることを目指して、長期化させてみましょう。

最後に、パッケージ化です。様々なオプションを組み合わせてメニューとして提示して、その分高額化することです。

これはその人のコンセプトに基づくので、例えばよくある転職支援であれば、転職先の紹介はいくら、ジョブカード作成支援はいくら、面接ロープレはいくら、など基本のキャリアコンサルティング以外のオプションを最初に伝えることで、高額化します。

メニュー化することで提供する価値と価格が明確となり、顧客が考えてもいなかったニーズも満たせる可能性がありますので、ついでにそれもお願いしますとごく自然に高額化ができるかもしれません。これは企業領域でも同じですね。単価を上げつつ長期のパッケージを商品として設計しましょう。

個人から求められるために

パッケージ化された商品は、結果として高額になります。それは顧客にとって理想の自分になるための課題解決が見える化しているからであり、ステップが明確だからなので、価値を感じやすいんですね。

目標までなめらかなステップを作り、それをあなたが伴走支援しながら寄り添っていきさえすれば、きっと高額商品も売れるようになります。

当たり前のことですが、それが顧客からのニーズであれば、の話です。個人向けキャリアコンサルティングを商品とする場合でも、もちろんコンセプトや商品の「何を(WHAT)」で検討していますが、ではなぜ個人向けキャリアコンサルティングではほとんどの方が稼げていないのでしょうか?

資格の知名度もあるでしょう、市場価格もあるでしょう、終わりもあるでしょう。しかし何よりも、キャリアコンサルティングというものの対象が限定され過ぎていることが最大の理由です。ターゲットが狭い。

厚生労働省のホームページにも書いてありますね、「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。そして私たち「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。

という文に書いてあることだけを業務領域としているので、当てはまる人はだいたい企業にお勤めの方か、企業に勤めようとしている方に限定されます。それ以外の、もう定年に達した方や家庭に入られている女性の方、就職を考えていない青少年が事実上対象になっていないことがあります。

なので、今現在のキャリコンは、企業内で活動するキャリコンでない限り個人向けキャリアコンサルティングでは稼げていないし、実戦を積むのさえ一苦労しています。

しかし、それはあくまでも現在は、です。これからの時代、今までの職業生活設計は根底から覆ります。職業能力の向上もAIやIoT、RPAの発展で今まで求められていた能力とは違うものが必要となっていきます。そして企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関といった場所以外でも、キャリア形成を主体的に行わなければ時代に対応できなくなる個々人のキャリアコンサルティングを行うために、私たちキャリコンはいつでもどこでも求められるようになるのです。

いや、そうは言っても、自分のコンセプトに合う方と会える方法が分からない。そんな声が聞こえてきますので、次回はどうやったらあなたの理想の顧客に会えるのか、その方法をお伝えします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?