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3.1.キャリコン×◯◯×◯◯

あなたは何の専門家ですか?と聞かれたら、答えられますでしょうか。「キャリアの専門家」はNGワードです。

これで言葉が詰まってしまった方、安心してください。大多数のキャリコンの方が答えられませんので。

キャリコンになるために30万前後の養成講座に通って、頑張って勉強して、クライエントのキャリア支援に必要な理論やスキルを習得しました。

では、いざクライエントのためにキャリアコンサルティングしていきます!となったときに、資格勉強で学んだことしか頭になく、やれ就職相談だの転職相談だの、復職相談だの実技試験の事例にしか対応できない。そんなことにお金を払う文化は日本にないから当然のように顧客が見つからない。

心当たりがある方、大丈夫です。どの資格にも言えることですが、何のために資格を取ったのか、忘れがちになるんですよね。

元々、あなたは国家資格キャリアコンサルタントをなぜ受験しようと思ったのでしょうか?人材派遣会社や人材紹介会社の方であってもです。何かをしたくて、やりたくてこの資格を取得したのですよね?それを思い出してみましょう。

「あなたはめでたく、国家資格キャリアコンサルタントを取得しました。本当に、頑張りましたね。・・・それって一体、何のため?」×3。

強みのない人はいない

ビジネスは一種の競争ですから、何の特徴や強みもないままで成功することはありません。キャリコンです!って言うだけで成功するなら苦労しませんからね。

キャリコンにもう1つ、できれば2つ掛け合わせたい、あなたの強みを。キャリコン×◯◯×◯◯。それがあなたの価値になる、選ばれる理由になりますので、強みを把握することはビジネスを考える前の前提です。

そうそう、国家資格キャリアコンサルタントを取得した方々なら、確実に1つ強みがあるんですよ。あ、キャリコンは強みではないですよ。

その強みとは、資格取得の動機となったモノです。その強い想いは、そのまま強みになります。後述しますが、ミッション・ビジョンになり得るモノなのです。

いやいや、「自分には強みがない」と思っているあなた。私にはお気持ちが分かりません。正直理解に苦しみます。だってあなた、これを読んでいるってことはキャリアコンサルタント有資格者か、キャリコンに興味がある人ですよね?

そうであるなら、キャリアコンサルティングの手法で、キャリア形成で一番最初にクライエントに行うのは、何でしたっけ?基本的な態度ではなく、ラポールでもなく、手法で。

そう、自己理解ですよね。私たちはクライエントに対するキャリアコンサルティングで自己理解を促進させることができても、何故か自分自身の自己理解ができていないのです。不思議ですよね。

私たちには強みがあります。少なくとも、一度でも社会に出たことがある方であれば、会社なり家庭なり、はたまた趣味のサークルや町内会で頑張って仕事をしてきたのであれば、強みがないなんてことはありません。あり得ません。

ツールを使ってみる

キャリコンであるあなたの自己理解が進んでいない、キャリコンっぽい言い回しにすると「自分自身のキャリア形成を戦略的に描けていない」のが、自分自身の強みが分からなくなっている原因です。

強みは誰にでもあるものですが、本人はそのことに気付きにくいのです。なぜならば、他の人にとっては大変なことでも、特に意識しなくてもあっさりできてしまうことこそ、あなたの強みなのだから。となると、これはもう自分自身をキャリアコンサルティングする、セルフキャリアコンサルティングするしかないですよね。

コーチングの世界でもセルフコーチングというものがあり、自分の内面にある問題に気付き、その改善策を自分で考えることができます。コーチングは現在と未来のあるべき姿とのギャップ埋めなので、目標設定にはとても良い手法ではありますが、過去から現在に至る棚卸しという自己理解を進めるには、キャリアコンサルティングが良いですね。

自分に質問して気付きを得ることもいいですが、どうせならキャリコンのアセスメントツールを使いましょう。ただ、ここでの自己理解はあくまでビジネスで使える強みの発見、が主題ですから、間違えても試験勉強で学んだアセスメントツールを使わないように。

オススメは、①天職の輪、②わたしの履歴書ですね。わたしの履歴書に興味がある方は下記サイトを確認して貰えればとして、ここでは天職の輪を使って自分自身の棚卸しをしていきましょう。

わたしの履歴書

天職の輪とは?

キャリア教育の分野や、新入社員向けのキャリア研修などで、自己認識を深めたり確かめたりする目的でよく使われるWill、Can、Mustからなる3つの輪です。この3つの重なり合いを見つけていこう、それがあなたの天職だ、やるべきことだ、というものですよね。昔はリクルートの人事評価で、今はサイボウズの人事評価制度でも使われています。で、3つの重なり合いが、あなたがキャリコンに掛けるべき◯◯×◯◯の結果となります。方程式だと、キャリコン×◯◯×◯◯=天職、ですね。

天職の輪①

あなたの特徴や強みが入る◯◯の分析に、3つの輪が持ってこいです。

ここで注意しなくてはならないのは、Will、Canについてはそのまま日本語で「やりたいこと」、「できること」でいいのですが、mustは「やるべきこと」ではありません。「やるべきこと」=真ん中です。それに、そもそもやるべきことだとShallですよね。

なので、mustはこう訳すはずです。「求められていること」だと。

どのビジネスも顧客から必要とされないと成り立ちません。自分から顧客を作っていけば良い、では押し売りですし、良い商品作れば顧客は後から付いてくる、といった昔の製造業的発想は令和の時代では古いですし、キャリコンを前提としたスモールビジネスでは顧客の悩みありきですからね。

顧客から「求められていること」、それこそが「稼げる」になるので、天職の輪はこんな感じになりますね。これなら納得。

天職の輪②

それと、Will、Can、Mustの順番です。

そのままこの順番が本当は理想なのですが、自分がやりたいことをやればいい、と言われて「じゃあこれやります」とハッキリ言える人は余りいません。この天職の輪をキャリア研修で実際に企業研修している私ですが、なかなかやりたいことって出てこないんですよ、特に企業勤めの長い方は。

企業内でやりたいことはあっても、そういった制約がない、コーチングの質問でいうと「もし何も制約がなく、何でもできるとしたら、あなたは何をしたいですか?」に答えられません。

ですので、やりたいことを考えるのは最後にして、まずは自己理解として「稼げること」と「できること」から棚卸しをしていきましょう。最初は「稼げること」からやっていくと、発想が「できること」の枠に捕われない自由な発想ができるので良いと思います。

天職の輪の考え方

3つの輪が重なっているところを説明しますね。

天職の輪③

「できること」と「稼げること」が重なっている部分には、「安定感」が入ります。

あなたが考える、想定している顧客から求められていて、必要とされていること、いわば「稼げること」を、自己理解を進めて自分が得意なこと、具体的には持っているスキルやノウハウ、強みといった「できること」で達成できるのならば、それはもう「稼げること」間違いなしですよよね。

自分が苦もなくできることでお金を稼げるのであれば、ビジネスが安定しますし、何より精神的に追い詰められません。まずここを目指しましょう。稼ぎが安定しないと、自分がやりたいことを好きなようにやれないです。

私で言えば、IT企業への技術研修や、Excelマクロを用いた雑プロで業務効率化、補助金申請支援、といったシステムエンジニア時代の遺産や中小企業診断士の業務がこの「安定感」に繋がります。

ここを突き詰めていくと、稼げます。生活も安定するでしょう。

でも、それだけ。つまらないです。

何のために独立したのか、副業しているのか分からなくなるので、やはりある程度稼げる見込みが付いた時点で「やりたいこと」のエッセンスもビジネスに取り入れないといけません。

「やりたいこと」が「できること」になったら、なんか「ワクワク」してきませんか?これがやりたくて独立した、副業したことができるようになり、さらにそれで「稼げること」にもなったら、それはもう「夢」が手に入ったと同義だと思います。

「できること」で「稼げること」を実現しつつ、「やりたいこと」も小さいながらも加えていって、3つの輪の大きさを揃えていきましょう。大きさが揃ったとき、それがあなたの天職=「やるべきこと」となります。

次回から、この3つの輪をさらに細分化して考えていきます。

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