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⑥気持ちがついていかない

歩ける人が羨ましい

入院中はリハビリと検査以外の時間はやることがないのでテレビを見る時間が増えました。

そこでファッションショーが開催されましたという内容のニュースを見ました。

私は見ていて羨ましくなりました。

普通は

きれいまたはかわいくていいなぁ

スタイルが良くていいなぁ

あの服かわいいなぁ

なんてことを思うでしょうが私がその時思ったのは

あんなヒールの高い靴を履いてるのに普通に歩けていいなぁ

でした。。

歩けるのが羨ましくて仕方なかったです。

その時の私にはモデルの美しさもスタイルの良さ、素敵なファッションは全く目に入りませんでした。

歩けないということはそれくらい私にとって衝撃だったのです。

異常事態なので当然といえばそうなのですが、もう現実に気持ちがまるでついていかなくて、どこに取り残されているのかもわからない状態でした。

私は何と闘い何に苦しんでいるんだろう

私はしばらく確定診断がつきませんでした。

実は今でも確定ではないのです。

検査するにしてもリハビリオーダーを出すにしても医師による診断、病名をつけることが必要となります。

そのためについた病名がギランバレー症候群でした。

その病名だと思うという医師もいれば、違うんじゃないかという医師もいました。

その約5年後に視神経炎になっているので、多発性硬化症の可能性もあるのです。

(多発性硬化症の症状として視神経炎がでることもあるし、視神経炎単発で発症することもあるが、どちらか判断するのは難しい)

ちょっと話がそれましたが、病名がわからない恐怖がずっとついてまわっていたんですね。

病名がわからないということは、自分の余命が迫っているのか、生命は関係ないのかもわからないということです。

または進行性なのか、回復するのも。

そう思うと怖いなってのが伝わるかと思います。

そんな怖さを振りはらうために私は医学書を病室に持ち込んでいました。

病気が見えるという本、医療従事者なら知っている人も多いと思います。

その脳神経編を何度も見ました。

自分の症状とギランバレー症候群の症状の共通点を探すのです。

そして予後の悪い、できれば違ってほしい疾患のページも見るんです。

そして今度はその疾患と当てはまらない部分を探すんです。

例えば「症状は手からくる」と書いてあったら「私は脚からきたから違うな」とかそんな感じに。

これを何度も何度もやりました。

当たり前ですが本に載っている情報は何回見たって一緒です。

私の症状だって最初の数日過ぎたら多きな変化はありません。

なので結果は毎回同じなんですが、神経難病の中で唯一にちかいくらい予後の良いギランバレー症候群であってほしい、その他のどんどん進行していく疾患や余命も短いような病気であってほしくない

その一心で何度も何度も見ました。

ほら、こんなに当てはまるんだからギランバレー症候群なんだ

だからピーク過ぎたらどんどん良くなるし復職もできる

そう自分を励ますしかなかったのです。

ベテランの神経内科医が分からないのに新人理学療法士の私に分かるはずなんかないんですけどね、でもそうやって自分を納得させることしかできなかったのです。

何と闘ってるのか分からないって怖いです。

歩行器をゲット

入院してすぐはバランス検査の結果が悪すぎて車椅子で過ごしていたのですが1週間ほどして再検査したら点数が上がり歩行補助具を使って自立レベルに達したので、私は歩行器をゲットしました。

歩行器で院内は自由に歩いていいことになったのです。

というか、リハビリの後そのまま歩行器で病棟に戻って主治医に

「歩行器で1人で歩いていいですか~?」と聞いて←すでに歩いているけど

自ら許可をとるという職員ならではな感じでした。

先生に聞く前にちゃんと担当の理学療法士の許可はとってます笑

歩行器を手に入れて、トイレも車椅子でなく歩行器で行くようになったんですが、歩行器の方が断然ドアの開け閉めがしやすかったです。

やっぱり車椅子のが楽というのは、いつでもそうというわけではなかったと分かりました。

院内の売店に買い物も行きやすくなりました。

車椅子だと低い棚の物しか取れないから買い物大変なんですよね。

そして車椅子という低い目線で1週間過ごしていたので歩行器になって元の高さに目線が戻りちょっと良くなったことを実感したりしました。

何かの例えじゃなくて物理的に視線、見える世界変わるんですよ、車椅子って。

立位でいることが格段に減るからね。

歩行器になってからは自主練として病棟を歩いていたけど1週100m歩くのがすごく大変でした。

それでギブアップしてすぐ部屋に帰ってましたね。

体力が全然なんだなって悲しくなるくらい分かりましたね。

つづく

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