見出し画像

文学フリマ東京振り返り

11月24日、第二十九回文学フリマ東京、無事終了いたしました~!
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました!
そして当日行けなかったけど本が欲しいって方々のため、さっそくBOOTHで通販始めたのでよろしかったらこちらからどうぞ!!

と、いきなり宣伝から始まりましたが、
今回の文学フリマ参加をつらつらと振り返ってみようと思います。


なぜ文学フリマだったのか?

文学フリマとは、文学――文章作品の同人誌即売会、簡単に言えば文章版のコミケみたいなものであり、実を言うと僕は、漫画家のくせにそのコミケにすらろくに行ったことのない同人門外漢であった。
それが今回、初めて即売会に出品側で参加してみたのだけど、それがなぜコミケやコミティアじゃなくて文学フリマだったのか?

近頃は1億総クリエイター時代とか出版不況だとかってのもあって、プロの漫画家同士の間でも出版社と仕事するより同人の方が食えるんじゃないかなんて話が出たりもする。
まあだからと言うわけでもないんだけど、前々から一度同人活動に触れてみたいという気持ちはあったんですよね。
ただ、試しにちょっとやってみるにはハードルが高いと言うか、変な話、漫画の同人誌はプロの作家として出すからには失敗できないみたいな思いがあって、で、力入れたもの描くなら本業でやれや、なわけで。まあ、二次創作やエロといった同人界の売れ筋にあまり筆が進まないってのも大きいんだけど。

そんな折、とあるSNSを通じて知り合った人たちが文学フリマに出るサークル仲間を募っていると聞きまして。
文章ものなら本業の合間でもやれそうだし、まあよしんば本がまったく売れなくても精神的なダメージは低かろう、とそんな気持ちで参加を表明したわけです。
まあサークルで合同って形じゃなくて、ブースを分け合うだけでメンバーひとりひとりがそれぞれ一冊ずつ出すってのは誤算だったんだけど、それでもマンガ一冊描くよりは楽だろう、とそんなナメた気持ちだったのです。
――最初は、ね。

初めての本作り~執筆編~

とは言えいざ書こうとなると何を書いたものか悩みまして。
「過去絵でイラスト集」とかでもいいと言っていただいたりもしたものの、実のところ仕事以外で描いたイラストってそんなに数がないし、新規に描き下ろそうという気はあまりなかった。そもそもそれならコミケに出るべきだろう…
かと言って創作小説とか書き始めたらむしろ本業に差し支えるし、〆切までに書き上げられる気もしない。となるとエッセイのたぐいか…
とまあ、色々と考えた末、簡易なエッセイに過去絵の挿絵をつけてページ数を稼ぐという方向で考えはじめました。
そして過去絵や過去作を漁ってるうちに、いっそ過去作のアーカイブにしようと、内容も固まっていったわけです。
そうしてできたのが、今回の「もりたま読本」です。

書く内容が固まったはいいが、作業は当初の想定よりもだいぶ大変でした。
ブログなんかで、文章を書くこと自体にはある程度馴れてるつもりだったけど、書いてみると全然ページが埋まらない。
もちろんページあたりの文字数なんて任意なんだけど、図表との兼ね合いもあって最初から文庫本用の二段組のテンプレを使用して執筆したので、なおの事。(書くにせよ読むにせよ、いつの間にか随分と長文離れしていたものだと感慨にふけったりもしたのだけど、まあそれは余談ですね)

加えて、昔の記憶を思い起こしたり過去作のデータを調べたりにも思いの外時間を取られることとなりました。
当時の手帳やらなにやらを引っ張り出して確認取ってみたら創作時期が記憶と矛盾してたりとか、そーゆーのがポロポロ出てくるし、そもそも記録がなくて確認のしようもないなんてこともざらにある。
かてて加えて、この手の作業は大掃除の時に出てきたアルバムよろしく大量の無駄な時間を要するもので。ついつい手を止めて思い出にふけったりしちゃうんですよねぇ。

そんなわけで、気づけばなんだかんだと丸々数ヶ月以上を執筆に費やしてしまいました。正直、労力も時間も同ページ数の漫画を一本描くのとあまり変わらなかったかも知れません。
まあでも、その甲斐あってなかなかちゃんとしたものが出来たと思います。
校正にも時間かけましたしね。どうやら、誤字脱字をチェックしたり少しでも読みやすくなるように改行を工夫したりなんだりといった作業、割と好きみたいです。

初めての本作り~印刷編~

印刷所に印刷をお願いするというのも、初めての経験でした。
あまり大量に刷りすぎても元を取るのが大変だし、少なすぎて足りなくなるのもなんだかなぁだし、難しいものです。
なるほど出版社はこーゆーこと(校正とかもだけど)を全部やってくれてるんだよなぁ、と改めて有り難く思ったりしましたね。

初参加だと20冊も売れれば良いほうだと聞いていたので、20冊で印刷代がペイ出来てかつ単価が高くなりすぎないラインで…と考えて、結局表紙もモノクロで60部を刷りました。
ただ、事前にpolcaで10冊が売れたこともあって表紙の紙をレザックという革っぽい加工の紙にして、さらに高級感を出そうとPP加工(マットPPにしました)も追加したんですが、これはちょっと失敗だったかも知れません。レザックとPPの相性なのか、表紙がちょっと反っちゃって見栄えがあまりよろしくなかった。
と言うか、当日他の皆さんの本を見て、やはり表紙モノクロは地味だったなぁと言うのが正直なところ。
どうせ表紙にオプションつけるならフルカラーにしとけば良かったですね。

いざ、文フリ東京当日

いやはや、正直こんなに賑わうものだとは思ってなかったですねぇ。
ブースの数も一般来場者の数も、なんだ活字好きってまだまだこんなにいるんじゃん! って感じでした。
これだけの本の数々の中で自分の本を初見で買って貰うことのハードルの高さに、当日になって気が付きましたよね。
一応ツイッターとかで告知はしてたけど、考えてみればただでさえ多くもない僕のフォロワーさんのほとんどはここにいる人達とは別のクラスタだったりするわけで、その意味でほんと準備不足だったな、と。

まあでも、一応当日に10冊を売ることが出来ました。
事前のpolca分も含めて、ちょうど印刷代分がはけたって感じですね。

総括

書く、刷る、売る、と初めての経験がいっぱいで、総じてとても楽しかったですね。参加してみて本当に良かった。
特に売る、に関しては本業だと基本的に編集部任せにしちゃいがちなところで、かつ苦手とするところでもあるので、とても勉強になりました。
(まあ「苦手である」がはっきりしただけでそこを改善できるかはまた別問題なのだけど。でも、苦手な部分はいっそ人に任せるのもアリかも知れないですよね)

次回もまた参加するのか、あるいはこの経験を活かして今度はコミケとかに出てみるのか、その辺りはまだわかんないですけどね。


そんなこんなで、だらだら書いてたらまた随分と長くなってしまいました。(でも、本にしたらほんの数ページにしかならないんだよなぁ笑)
最後に改めて、通販のリンクを張って締めとさせていただきます。
ここまで読んでいただけたあなたなら、きっと楽しんでいただけること請け合いですよ!


この記事が参加している募集

イベントレポ

文学フリマ

気軽にご支援よろしくお願いします!