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【1分小説】二等賞とほろ苦カフェラテ

お題:「カフェラテ、我慢、体操服」
お題提供元:お題bot*(https://twitter.com/0daib0t)
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 カフェラテなるものが苦手だ。コーヒーが飲みたいならコーヒーを飲めば良いし、牛乳を飲みたいなら牛乳を飲めば良い。どっちつかずなんてずるい。

 あたしは確かにコーヒーを頼んだのだけれど、目の前に置かれたのはカフェラテ。抗議の意を込めてママを睨むと、

「だってあんた、コーヒー飲めないでしょ。こないだ散々苦い苦いって泣いたでしょうよ」
「でもあたしはコーヒーが飲みたいって言ったのよ」
「また残すくせに」
「残さないんだから!」

 体操服の小学生だからって、ママはいつもあたしを子供扱いする。ここにいるのはこの前のあたしじゃなくて今のあたし。コーヒーの飲めるあたし。

 けれど、グラスの中で混ざってしまったコーヒーと牛乳はもう分けることはできない。あたしも大人なので、我慢して飲んであげる。大人だから泣かない。足の速さだけが取り柄だったのに、運動会の徒競走で一番になれなかったけれど、大人だから、まあ世の中そんなもんよねという風を装って、澄ました顔をしている。

 ママに優しく肩を叩かれる。

「頑張ったね」
「頑張ってない!」

 コーヒーと牛乳の混ざりものみたいに、中途半端に負けるのが一番嫌いだ。

 冷たいカフェラテは、ほてった体に優しく沁みた。