会社に行くまでを”ドラマ”する
通勤の目的は、会社に行くこと、そして、家に帰ること。
”味気ない”当たり前のことだからこそ、通勤の時間を『充実した時間』にしたいと思っています。
私の場合、もっぱら本を読んで通勤の時間を過ごします。
この日は、又吉 直樹さんの【 東京百景 】にのめり込んでいました。
電車が会社の最寄り駅についても、私はまだ本の中です。
あかん。降りないと乗り過ごす。
通勤中の自分が、本の中にいる自分に叫びます。
ギリギリ飛び降りたものの、通勤を再開することができず、その場に立ち止まりました。
「又吉 直樹さん、おもしろ過ぎです。どのタイミングで”しおり”を入れればいいのですか?」
と本を読み進める私。
とにかく、”しおり”を早く入れなさい。
と言う通勤中の私もいます。
そうこうしている間に、次の電車がホームにやってきます。
そして、立ちすくむ私を邪魔そうに避けていく人たちを見て、「ハッ」とします。
この人たちは通勤しているのだろう。
通勤は、会社に行くため。会社に行くのが目的であるなら、会社へ”前進”しかしないだろう。
会社に行くのが目的である以上、立ち止まったり、戻ってみたり、遠回りしてみたり、などは必要ではなく、通勤中は前進のみが求められます。
しかし、必要とされないこと、意味のないことに意味をもたせることができれば、目的に到達するまでの過程を大切にできる、そんな人生を過ごせるのかもしれません。
そして、それは『充実した時間』を過ごすヒントになると思いました。
ちょうどそのころ、無事に本から抜け出せた私は、人が少なくなったホームから慌てて会社へ向かいます。
邪魔なところに立っていて、すみませんでした。
ありがとうございます!